京都市議会 > 2020-02-28 >
02月28日-03号

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  1. 京都市議会 2020-02-28
    02月28日-03号


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    最終取得日: 2021-07-19
    令和 2年  2月 定例会     令和元年     定例会       京都市会会議録 第3号     令和2年2月市会                       令和2年2月28日(金曜日)出席議員(64名)   1番 神谷修平議員   2番 小山田春樹議員   3番 くぼたまさき議員   4番 兵藤しんいち議員   5番 豊田恵美議員   6番 井上よしひろ議員   7番 山本恵一議員   9番 やまずまい子議員  10番 かまの敏徳議員  12番 菅谷浩平議員  13番 小島信太郎議員  14番 松田けい子議員  15番 かわしま優子議員  16番 平山たかお議員  17番 加藤昌洋議員  18番 平井良人議員  19番 やまね智史議員  20番 鈴木とよこ議員  21番 大津裕太議員  22番 こうち大輔議員  23番 片桐直哉議員  24番 国本友利議員  25番 青野仁志議員  26番 森田 守議員  27番 田中たかのり議員  28番 山田こうじ議員  30番 山本陽子議員  31番 江村理紗議員  32番 宇佐美賢一議員  33番 天方浩之議員  34番 平山よしかず議員  35番 吉田孝雄議員  36番 みちはた弘之議員  37番 さくらい泰広議員  38番 赤阪 仁議員  39番 とがし 豊議員  40番 ほり信子議員  42番 森川央議員  43番 中野洋一議員  44番 湯浅光彦議員  45番 しまもと京司議員  46番 椋田隆知議員  47番 下村あきら議員  48番 くらた共子議員  49番 河合ようこ議員  50番 樋口英明議員  51番 山岸たかゆき議員  52番 安井つとむ議員  53番 曽我 修議員  54番 西村義直議員  55番 吉井あきら議員  56番 田中明秀議員  57番 寺田一博議員  58番 西野さち子議員  59番 玉本なるみ議員  60番 井上けんじ議員  61番 大道義知議員  62番 津田大三議員  63番 中村三之助議員  64番 橋村芳和議員  65番 繁 隆夫議員  66番 富 きくお議員  67番 井坂博文議員  68番 加藤あい議員欠席議員(2名)  11番 森 かれん議員  29番 森田ゆみ子議員欠員(1名)   議事日程   開議日時 令和2年2月28日(金)午前10時第1 請願の付託及び陳情の回付第2 議第1号ないし議第17号,議第19号,議第20号,議第22号ないし議第26号,議第29号ないし議第37号,議第42号,議第290号ないし議第293号,議第296号,議第297号,議第303号ないし議第312号,議第314号及び議第316号ないし議第320号 令和2年度京都市一般会計予算 ほか55件第3 議第18号 京都市浄化槽保守点検業者の登録に関する条例の一部を改正する条例の制定について第4 議第21号 京都市職員の懲戒免除及び職員の賠償責任に基づく債務の免除に関する条例の一部を改正する条例の制定について第5 議第27号 食品衛生法等の一部を改正する法律の施行に伴う関係条例の整理等に関する条例の制定について第6 議第28号 京都市災害弔慰金の支給等に関する条例の一部を改正する条例の制定について第7 議第38号 指定管理者の指定について(保健福祉局関係)第8 議第39号 指定管理者の指定について(保健福祉局関係)第9 議第40号 指定管理者の指定について(子ども若者はぐくみ局関係)第10 議第41号 指定管理者の指定について(子ども若者はぐくみ局関係)第11 議第294号 京都市国際親善交流基金条例の一部を改正する条例の制定について第12 議第295号 京都市印鑑条例の一部を改正する条例の制定について第13 議第298号 京都市地区計画の区域内における建築物等の制限に関する条例の一部を改正する条例の制定について第14 議第299号 京都市緑化・公園管理基金条例の一部を改正する条例の制定について第15 議第300号 市道路線の認定について第16 議第301号 市道路線の廃止について第17 請願審査結果について(教育福祉委員会)第18 議第285号ないし議第289号,議第302号,議第313号及び議第315号 令和元年度京都市一般会計補正予算 ほか7件(予算特別委員長報告)~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ 〔午前10時開議〕 ○議長(山本恵一) これより本日の会議を開きます。 本日の議事日程は,席上に配付いたしておきました。 本日の会議録署名者を指名いたします。田中たかのり議員とほり信子議員とにお願いいたします。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ○議長(山本恵一) 日程に入ります。 日程第1,請願の付託及び陳情の回付を行います。 今回受理いたしました請願30件及び陳情7件は,お手元に配付してあります文書表のとおり,所管の常任委員会に付託又は回付いたします。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ○議長(山本恵一) 日程第2,議第1号ないし議第17号,議第19号,議第20号,議第22号ないし議第26号,議第29号ないし議第37号,議第42号,議第290号ないし議第293号,議第296号,議第297号,議第303号ないし議第312号,議第314号及び議第316号ないし議第320号令和2年度京都市一般会計予算,ほか55件,以上56件を一括議題といたします。 昨日の議事を継続し,質疑を続行いたします。 湯浅光彦議員に発言を許します。湯浅議員。 〔湯浅光彦議員登壇(拍手)〕 ◆(湯浅光彦議員) おはようございます。右京区選出の湯浅光彦でございます。公明党京都市会議員団を代表し,曽我修議員,平山よしかず議員と共に京都市令和2年度予算案について質疑をさせていただきます。市長及び関係理事者におかれましては,市民にとり希望あふれる誠実なる答弁をお願いいたします。まずは,令和2年冒頭を飾る,全国的にも注目を集め2月2日に行われました京都市長選挙において,我が公明党として全力で支援させていただきました門川市長が4期目の当選を果たされました。心からお喜び申し上げます。投票率が年々低下する中にあって,前回から5.03ポイント上がり40.71パーセントと20年ぶりに40パーセントを超え,結果,21万640票と相手候補を5万票近く離しての大勝利でありました。未来の京都をつくる会が一致団結するとともに,寒さ厳しき中にあって,公明党を御支援くださる党員支持者の皆様の公認候補に勝るとも劣らない献身的な支援の賜物であったと改めて感謝申し上げます。本当にありがとうございました。今回の立候補に当たり,市長は3期の実績を強調することなく,実績があるからこそ,次の4年,挑戦と改革により,課題解決と未来の展望を開く大事な選挙であると訴えられました。財源の根拠もなく,いたずらに実績の上にあぐらをかき,課題だけをいかにも強調する候補者に対し,門川市長の真摯な姿勢と責任ある展望に多くの京都市民が,この先4年間の京都市政のかじ取りを託された結果であります。公明党市会議員団としても市長と共に,侃侃諤諤の議論を交わしつつ,緊張感を持って,共に誰一人取り残さないとの持続可能な都市を目指すSDGsの理念を具現化するため,市民のための市政運営に取り組んでまいる決意であります。どうかよろしくお願いいたします。 あわせて,新型肺炎コロナウイルス対策については,選挙中ではありましたが,議会として山本恵一議長より緊急対策の要望を提出していただいております。事態は変化しており,引き続き対応に当たっていただくことを強く要望しておきます。 〔山本議長退席,青野副議長着席〕 ◆(湯浅光彦議員) (続)それでは質疑に入ります。市長は,くらしに安心,まちに活力,未来に責任の三本柱を基に141項目の公約を掲げ,これらを踏まえての1年目となる予算編成が組まれましたが,想像以上に厳しい中での予算編成であったと推察できます。令和元年度の地方交付税の減収,法人市民税の税率を引き下げる税制改正等により一般財源収入が大幅に減少する中,特別の財源対策として行政改革推進債51億円の発行,調整債23億円発行,公債償還基金119億円を取り崩しての予算編成です。公債償還基金残高は1,355億円となり,本来2,033億円あるべき残高の3分の1を取り崩すことになります。思えば12年前の門川市政1期目のスタートも,リーマンショックや地下鉄の1日4,600万円の赤字など厳しいスタートでありました。市長は常日頃より,縮み志向に陥ることなく市民生活を守り,活力ある京都の未来のために,必要な財源は確保すると今までからも実行され,私としても,厳しい財政状況ではありますが,市民生活の安心安全をしっかりと守り,子育て支援など将来を見据えた先行投資も不可欠と思っております。個別事業については,予算特別委員会の審議を経てといたしますが,まずは,141項目公約実現に向けての来年度予算への反映及び今回の選挙結果を受け,今後4年間の市政運営についての決意をお伺いいたします。 次に,命を守るための環境先進のまちづくりについてお尋ねします。我が党の山口那津男代表は,激動する国際社会や相次ぐ災害,少子高齢化など日本を取り巻く環境,課題が厳しさを増す中,安心と活力に満ちた未来をどう開いていくのか,公明党は,与党として日本のかじ取りの一翼を担い,その重い役割を果たしていかねばならない。そう考えたとき,未来への責任として持続可能な世界を残すため,人類社会が抱える課題を包含した国連の持続可能な開発目標いわゆるSDGs,そして地球温暖化対策の国際的な枠組みであるパリ協定,いずれも30年を目標達成年次としており,2030年までの10年間は未来を決する重要な期間であるとし,併せてグテレス国連事務総長が,気候変動問題を私たちの時代を決定付ける問題と警鐘を鳴らしたように,今,国際社会はこの危機感を共有しながら,持続可能な社会の構築へ共に行動を起こし始めようとしていると表明しております。 また,皆様も既に御承知のとおり,スウェーデンの高校生であるグレタ・トゥーンベリさんが気候変動の対策強化を訴え始めたグローバル気候ストライキは,昨年サミットが開催されたときにも,温暖化防止の緊急行動を求める行進が185箇国で実施され760万人以上が参加しました。パリ協定の達成を目指すNGOのミッション2020で議長を務めたクリスティアナ・フィゲレス氏は,ストライキに参加している人々,特に青年たちは科学を理解し,気候変動が自分たちの人生に及ぼす影響を理解するとともに,気候変動の問題に対処することは可能であることを知っているからだと言及しています。一昨年は,京都市でも地震,台風,集中豪雨と立て続けに災害に見舞われ,門川市長陣頭指揮の下,被災者住宅再建等支援金を京都市単費において実行されたことは,今もって評価しております。災害が起これば今まで築き上げてきた暮らしや生活を土台から崩してしまいます。そしてそれは高齢者や子供,障害者など社会的弱者に対し,より多くの損害を与えます。くしくも4年前の2月市会における代表質疑で,私はこの気候変動によってもたらされる災害に対し,京都市としての適応策を定めていくことを求め,その後,地球温暖化対策計画に新たに適応策が位置付けられました。市長は2050年CO2排出正味ゼロを,日本の自治体の首長として初めて宣言し,現在では,この日本でも人口で約5,000万人が2050年CO2ゼロ宣言の下で暮らしています。 先日,気候変動に関する世界の科学的知見を評価して政策決定者に提供し,ノーベル平和賞に続いてKYOTO地球環境の殿堂入りを果たされたIPCCのホーセン・リー議長が,最初に宣言した京都にならって,日本の多くの自治体に宣言が広がっていると門川市長のリーダーシップを高く評価されました。また,リー議長自らがIPCC京都総会の成果をIPCC京都ガイドラインと呼ばれたことは,世界の科学者たちの京都への熱い期待を表したものと言えます。そこで,SDGsの目標年度である2030年に向けて,地球温暖化を1.5℃に抑えるための行動の10年をこの京都市においても,この青年たちの思いや行動に応え,共に取り組んでいくことが必要と考えますがいかがでしょうか。今後重要となる適応策についての取組の方向も併せてお答えください。 以上,前半の質問といたします。 ○副議長(青野仁志) 門川市長。 〔門川市長登壇〕 ◎市長(門川大作) 湯浅光彦議員の御質問にお答えいたします。 今後4年間の市政運営についてでございます。この度の選挙では,公明党をはじめ幅広い政党,関係団体の皆様,多くの市民の皆様から力強い御支援と御信託を賜り,引き続き市政を担わせていただくことになりました。二元代表制の下,市会の先生方と車の両輪となって,お約束した公約全てを確実に実行し,147万市民のために,未来のために全身全霊を捧げる,その決意を新たにいたしております。私は,市長就任以来,財政が厳しくとも,決して縮み志向にならず行財政改革を断行し,市民の命と暮らしを守る,福祉,教育,子育て支援の充実をはじめ,京都の今と未来に必要な政策に果敢に取り組んでまいりました。この間,京都のまちの幅広い魅力と都市の総合力,都市格が大きく向上し,多くの市民の皆様と共に進めてきた京都のまちづくりが,国内外から高い評価をいただいております。 しかし,これからの4年間が京都の未来にとって極めて重要であります。もとより4期目はこれまでの延長ではありません。新たな挑戦と改革により,京都のまちづくりを新たなステージへと高めてまいります。財政は更に厳しい。改めて強く実感しておりますが,来年度予算は,次の京都へスタートを切る大事な予算でございます。141の公約の8割以上を計上し,市民の皆様にお約束したくらしに安心,まちに活力,みらいに責任のまちづくりをスピード感を持って力強く進めていく予算といたしました。今後4年間,ぶれることなくお一人お一人のお声を大切にする現地現場主義と,共に汗する共汗に徹し,緊密な府市協調や国との強固な連携の下,147万市民の皆様とワンチームになって,安心安全で活力にあふれ,誰一人取り残さないSDGsの理念を生かしたまちづくりに果敢に挑戦してまいります。 次に,地球温暖化対策についてでございます。私たちはこの地球を未来の子供たちから借りています。未来の子供たちに豊かな地球環境をお返しできるかどうか,今,私たちはその瀬戸際に立っています。2050年CO2排出正味ゼロに向けた環境審議会への諮問において私はこう訴えました。SDGsとパリ協定が共に目標とする2030年までの行動の10年が,将来世代に持続可能な未来を残せるかどうかを決する重要な10年となります。気候変動の影響を最も受け,また,これを食い止める行動の担い手となるのが青年たちであります。彼らの思いを共有し共に行動していくことが,2050年ゼロ実現への鍵になるとの湯浅議員の御意見に私も同じ思いでございます。 このため,地球温暖化対策条例の改正,また,今後の10年が計画期間となる次期地球温暖化対策計画の策定に当たりましては,IPCC報告に基づく気候変動対策を求める大学生をはじめとする若者世代との意見交換や市役所の将来を担う若手職員による議論など,青年たちの参画の下に検討を進めてまいります。これらを原動力に全ての世代,あらゆる主体による行動につなげ,2050年の脱炭素社会の実現を目指してまいります。また,気候変動の影響が今後深刻さを増すと予測される中,この影響を最小限に抑えるための適応策の重要性が高まってきております。そのため,これまでの緩和策に加えまして,適応策を条例の新たな柱に据えるとともに,京都府との協調の下,大学・研究機関や企業の知恵も結集し,京都における地域気候変動適応センターを令和3年度中に設置するなど,適応策の位置付けと取組体制を強化し,都市のレジリエンスの向上,誰一人取り残さないSDGsの達成につなげてまいります。以上でございます。 ○副議長(青野仁志) 湯浅議員。 〔湯浅光彦議員登壇〕 ◆(湯浅光彦議員) 次に,多文化共生のまちづくりについて質疑いたします。平成30年公明党市会議員団は誰一人取り残さない,京都市における持続可能な開発目標,いわゆるSDGsの推進に向けた提言を門川市長に提出し,それを受けて京プラン基本計画,実施計画の施策・事業をSDGsの指標に位置付け直し,その達成に貢献されようとしていることは高く評価するものです。この提言に続き,今年度出入国管理及び難民認定法の改正を踏まえ,今後,外国籍市民の増加が予想されることから「外国人との共生をかんがえる-ともに支え合う文化が息づくまち・京都をめざして-」と題しての政務調査研究報告書を2月20日門川市長に提出いたしました。現在,京都市においても,多文化共生のまちづくり推進プロジェクトチームを発足させ,関係部署が連携して取組を推進され,評価しております。そのうえで行政機関に任せるだけでなく,議員団としての独自の視点に立ち,有識者との意見交換や川崎市をはじめとした他都市への現地調査を実施してまいりました。そもそも京都市には昭和53年に,「全世界のひとびとが,人権,宗教,社会体制の相違を超えて,平和のうちに,ここに自由につどい,自由な文化交流を行う都市」とうたう世界文化自由都市を内外に宣言し,この崇高な理念の下,今日まで京都市民が営々と築き上げてきた歴史があります。私どもはこの精神を尊重し,これからの共生社会とは人権,多様な価値観,多様性と文化を尊重し合い,対等な関係を築こうとする京都ならではの地域社会を目指してまいりたいとの思いより,提言としてまとめました。具体的には,京都市における在留外国人,とりわけニューカマーと呼ばれる方々を念頭に置きつつ,その現状と課題について調査したところ,外国人労働者が激増する他の大都市に比べ,今後,京都市は留学生を中心に一定の割合で外国人が増えていくものの,それほど急激な増加はないと推測しました。 そのうえで,今回の調査における提言として,日本語・日本文化教育の充実,日本人とのコミュニケーション支援,多文化共生推進体制の整備を三本の柱とし,細かくは11の提言としております。全ては紹介できませんが,外国人が日本で暮らしていくうえで,その基礎となる日本語習得のための教育は最も重視すべきテーマです。学校児童生徒はもとより成人・高齢者向け日本語教育の支援が重要であり,それを支える日本語教育ボランティアの育成が必要です。また,市内各地域に住む在留外国人や外国人地域コミュニティの実情を把握し,その意見や細かなニーズを京都市や各区,関係機関等に届け,逆に行政の意向を分かりやすく伝える人材が必要であり,いわば多文化共生コーディネーターと呼ぶべき専門人材を育成し,主要な地域に配置することが求められます。多文化共生推進体制の整備として,まずは,平成20年に行われて以来実施されていない在留外国人の意識と実態についての調査を改めて早急に実施することも必要です。るる述べてまいりましたが,この提言を踏まえ,門川市長には具体的な一歩を更に踏み出していただきたいと存じますがいかがでしょうか,お答えください。 次に,この秋に公明党が実施した幼児教育・保育の無償化に関する実態調査報告書に基づき,幼児教育・保育についての質疑をします。昨年10月,公明党として市民から強く要望いただいておりました幼保無償化が,政府・国の施策と相まってスタートいたしました。事業が始まるまでには,保育園,幼稚園,保護者の方々からは期待と不安が私どもにも寄せられ,京都市会においても準備段階から議論を積み重ねてまいりました。10月よりスタートしましたが,公明党は「小さな声を聴く力」とポスター掲示させていただいておりますが,今回の幼保無償化についても,ただ単に政策を実現できたから終わりではなく,その政策が有効であったか,また課題は出てきていないのか,特に今回の幼保無償化に当たり,政策の目的であった家庭と経済的負担の軽減を図る少子化対策と,生涯にわたる人格形成と義務教育の基礎を培う幼児教育の重要性の2点が達成されたのか,当該分野の有識者ヒアリングによる検査内容の確認を行なったうえで報告されたものです。昨年11月11日から12月20日にかけ,全国の公明党議員2,982名により調査票に基づく対面形式での聞き取りを行い,利用者1万8,922名,事業者8,502事業所の計2万7,424名から回答を頂き,さらには1万1,254名が自由記述による意見をお寄せいただきました。京都市内でも御協力いただきました皆様に心から感謝申し上げます。 調査の結果得られた一つ目の成果は,利用者の約9割が評価をするとされ,経済的負担に関しても「負担が減った」と回答した人は65.5パーセントでありました。二つ目の成果としては,今後取り組むべき課題として,幼児教育・保育の現場における質の向上と受け皿整備であることが明らかとなりました。具体的には,利用者に対する今後取り組んでほしい政策との質問に対し,第1位は,保育の質の向上,50.1パーセント,第2位,ゼロから2歳児の無償化の対象拡大,38.8パーセント,第3位,待機児童対策,36.6パーセントでありました。また,事業者が求める施設の安定的な経営を続けるうえで期待する政策では,第1位,人材の育成・確保への支援,87.8パーセント,第2位,事務負担の軽減,61.9パーセント,第3位,運営費への補助,60.7パーセント,第4位,障害のある子供の教育・保育の充実でありました。私の伺った方々もほぼ同様のお答えを頂いたところです。市長は,待機児童の解消,処遇改善等々,他都市に先駆けて子育て支援に尽力されてきたことは十分に承知し,評価しております。そこでお尋ねいたします。調査結果に対する市長の御感想及びこの結果を踏まえ,市長として今後どのように取組を進めていかれるのかお答えください。 次に,文化を基軸としたデジタル産業振興について質疑をいたします。門川市長の事業の進め方の大きな特徴は政策の融合であります。振り返りますと,文化とものづくりが融合して伝統産業が生まれ,文化と観光が融合して観光産業が飛躍的に成長しました。今,産業分野で最も大きな技術革新が起こっているのがICT技術,いわゆるデジタル技術であります。文化とデジタル技術の融合により,京都の歴史文化に新たな価値を生み出し,ここにベンチャー企業が加わることにより文化デジタル産業を生み出すときが来ていると考えます。京都は,歴史を通して世界に誇る建築物,日本庭園,仏像などの文化財を生み出してきました。さらに,町衆の力により生活文化の集大成ともいうべき町家が建てられ,びょう風や掛け軸など数えきれない宝が蔵に保管されています。 一方,京都の強みは大学のまちであり,世界最高水準の先端技術のまちでもあります。門川市長は,コンテンツ産業ということで,まずはマンガ,アニメに着目し,これらの産業化を進めてこられました。この間,画像技術,映像技術は飛躍的な革新を起こし,VR,ARなど以前はアニメ,ゲームなどコンテンツ業界だけのものであったものが,今や観光振興や災害対策にも活用されています。私は京都が生み出してきた文化遺産,京都でしか伝えることができない歴史哲学を,世界最先端を誇るデジタル技術と融合させることにより,新たな文化デジタル産業を創出するべきと考えます。京都の歴史,日本が築いてきた世界に誇る文化をデジタルデータとしての保存・継承するとともに,世界に発信するデジタル文化遺産として,文化デジタル産業の創出に取り組むべきと考えますがいかがでしょうか。 最後に,発達障害者支援についての取組について質疑いたします。公明党として毎年,経済,医療,福祉などの各種団体の皆様と政策懇談会を実施させていただいております。その団体の一つである京都府自閉症協会の方々は,自閉症児の療育,教育,福祉,労働などの充実,自閉症の正しい理解の普及,啓発などを目的として専門家の先生方と協力して活動しておられます。昨年の11月9日には,京都府自閉症協会50周年記念大会を開催され,上野千鶴子先生を講師に迎え「“わたし”を取り戻す いつか親業を卒業する日のために」と題した記念講演や,門眞一郎先生をコーディネーターとして村松陽子先生をはじめとしたパネルディスカッションが行われ,私も興味深く拝聴させていただきました。自閉症については,私が初めて議員となったときに比べれば,関係者の御努力により社会での認知度も随分と上がってきたと思いますが,まだまだ課題も多く存在します。特にお子さんが小さなうちはともかく,成人を迎えられるようになると,社会との接点も多くなるとともに保護者の方の心配事も年齢を重ねるごとに増えてまいります。多くのお声を頂きますが,例えば成人の通所事業所において,年1回以上の基本的な健康診断及び歯科検診の義務付け,これをしていただくことや,電車やバス乗車中に災害やトラブルが発生した場合,聴覚情報だけでなく,電光掲示板を利用した視覚情報の提供などです。 その中で特に今回お尋ねしたいのは,強度行動障害をお持ちの方への継続的な支援についてであります。行動障害のある人が生活介護事業所に通所する際,事業所の送迎車に複数で乗車できないことも多々あり,親が自ら送迎しなくてはいけない。支援する事業所は専門性や経験が必要なため,通所しても長続きしないケースもあり,その都度,事業所探しや障害特性の説明をしなければならないなど,特に家族の負担も大きく,さらには重度であれば受けられる事業所そのものが限られております。京都市としては,行動障害をお持ちの方に今まで以上に寄り添う支援が必要ではないでしょうか,お答えください。 以上で私の質疑を終わります。御清聴,誠にありがとうございました。(拍手) ○副議長(青野仁志) 門川市長。 〔門川市長登壇〕 ◎市長(門川大作) 引き続き,湯浅光彦議員の御質問にお答えいたします。 多文化共生のまちづくりについてでございます。この度,公明党京都市会議員団から11の御提言を含む具体的かつ貴重な報告書を頂戴し,じっくりと拝読させていただきました。この報告書につきましては,本市の国際交流会館での現地調査も含め本市の取組について検証し,高い評価を頂くと同時に,他都市などの実態も踏まえ,更なる施策の充実に向けた示唆に富む内容であり,改めて深く敬意を表し御礼申し上げます。本市では,世界文化自由都市宣言の崇高な理念の下に多文化共生のまちづくりを進めております。御提言に関する事業といたしまして,市民ボランティアの皆様との協働による国際交流会館での日本語クラスの運営や,国の多文化共生マネージャー制度を活用した人材育成などを幅広く実施してまいりました。さらに,昨年設置した多文化共生のまちづくり推進プロジェクトチームで必要な施策の幅広い検討を行い,今回の市会においても,テレビ電話型翻訳タブレット端末を活用した区役所・支所における窓口サービスの充実などの予算を御提案させていただいているところであります。 また,湯浅議員御指摘のとおり,多文化共生社会の実現には,日本語習得のための教育が欠かせない要素でございます。そのため多様化する日本語学習のニーズに応えることができるボランティア育成の取組などを更に充実させてまいります。今後とも頂いた提言をしっかりと踏まえまして,プロジェクトチームでの検討結果なども生かしながら,多文化が息づくまち・京都の実現に向けて,市民の皆様と共に取り組んでまいります。 次に,幼児教育・保育の無償化についてでございます。今回の無償化を契機とし,全ての子供たちに安心かつ安全な環境の下,本市ならではの質の高い幼児教育・保育を提供する。私の思いと湯浅議員に御紹介いただいた調査結果は全く同じでございます。まず,保育の質の向上に向け,他の指定都市に先駆けまして本市独自に認可外保育施設に関する基準適用を令和3年4月に前倒ししたほか,園外での交通安全対策の実施など安心安全の確保を第一に取組を進めております。令和2年度では,幼児教育・保育関係予算として総額555億円を計上しており,本市独自に国の基準を上回る保育士の配置や給与の充実を行い,加えまして,保育の担い手確保の充実を図る等により質の向上を図ることといたしております。 また,全ての子供たちに幼児教育・保育を推進するため,保育園等での医療的ケア児の受入支援の充実に加えまして,新たに幼稚園での受入れを行うことといたしております。さらに,保育園等の必要な地域への重点的な整備を図るため,令和2年4月には242人,さらに令和3年4月以降に向け400人の受入枠を拡大いたします。そして待機児童ゼロの継続にとどまらず,市民の皆様に保育所等に入所しやすいと実感していただけるよう取組を進めてまいります。今後とも,全ての子供たちの健やかな育ち・学びのため,幼児教育・保育関係者や地域の皆様と一緒になって全力で取り組んでまいります。 以下,副市長が御答弁申し上げます。 ○副議長(青野仁志) 岡田副市長。 〔岡田副市長登壇〕 ◎副市長(岡田憲和) 私からは,文化デジタル産業の創出について御答弁を申し上げます。湯浅光彦議員御指摘のとおり,デジタル技術を活用した文化遺産,産業への活用は,貴重な文化資源の継承と共に,それを支えます伝統産業の活性化にも大いに寄与するものと考えております。本市では,これまでに二条城二の丸御殿を精密に再現したVR映像や,京北の山国神社が所有する江戸時代に模写された巨大な世界地図の高精細デジタルスキャン,また明智光秀が築城した周山城跡を航空レーザーで測量したデータを基にした模型の作成,また産業技術研究所における西陣織の能装束のデザインの商品開発にデジタルデータを活用するなどの取組を行ってまいりました。昨今,急速に進展しておりますVR等のデジタル技術は,アニメ・ゲームのみならず観光,文化など様々な分野で活用の広がりを見せており,既に市内においても文化遺産をデジタルデータ化し事業展開を行うベンチャー企業が生まれてきております。こうした動きを後押しし,新しい事業,サービスを次々と創出していくためには,既成概念に捉われない柔軟な発想が重要でございます。今後とも,大学やマンガ,アニメ,ゲーム,映像制作などのコンテンツ関連企業,AI・ICT関連の先端産業,クリエイティブ人材などの参画を得ながら,世界文化交流祭,KYOTO STEAMの取組をはじめ文化・伝統産業や科学・技術を融合させた文化産業の振興に全力で取り組んでまいります。以上でございます。 ○副議長(青野仁志) 村上副市長。 〔村上副市長登壇〕 ◎副市長(村上圭子) 私からは,発達障害者支援についてお答えいたします。湯浅光彦議員御指摘のとおり,発達障害に伴う強度行動障害のある方を適切に支援していくためには,発達障害に対する専門的な理解や経験が求められます。現在本市では,国の基準を上回る独自の補助金制度により,46の事業所において常勤換算で90名を超える職員を加配することで,重度障害のある方を積極的に受け入れる事業所を支援しているところでありますが,さらに発達障害に対する専門性を持って障害特性に応じた適切な対応ができるよう,職員の支援技術の向上や,支援に関わる事業所,関係機関の間で支援に必要な情報が共有できる仕組みが求められております。このため,令和2年度から,京都市発達障害者支援センターに地域支援マネージャーを3名配置することにより,事業所を個別に訪問して支援方法を助言し,事業者の専門性や対応力の向上を図ってまいります。あわせて,発達障害のある方の障害特性や支援の経過などの情報をまとめた個別支援ファイルを新たに導入し,御家族の方が各支援機関と共有することで,ライフステージを通じ一貫した支援の実施ができるようつなげてまいります。今後とも,発達障害のある方が社会の中で生き生きと生活でき,御家族の方々も安心できるよう,誰一人取り残さない社会の構築に向けて全力で取り組んでまいります。以上でございます。 ○副議長(青野仁志) 次に,曽我修議員に発言を許します。曽我議員。 〔曽我修議員登壇(拍手)〕 ◆(曽我修議員) 伏見区選出の曽我修でございます。公明党京都市会議員団を代表し,湯浅光彦議員,平山よしかず議員と共に質疑をさせていただきます。市長,理事者におかれましては,何とぞ誠意ある御答弁をよろしくお願い申し上げます。 質疑に入らせていただく前に,門川市長,4期目の当選,誠におめでとうございます。どうか市長,京都市内外に山積する課題に対し,より一層現地現場主義に徹していただき,市民の小さな声にも耳を傾け,スピード感ある市政の推進に取り組んでいただきますよう心からお願い申し上げます。 まず初めに,京都アニメーション火災を受けての命を守る避難行動についてお尋ねいたします。昨年7月,私の地元伏見区の京都アニメーション第一スタジオにおきまして,死者36人,負傷者34人という極めて痛ましい放火火災が発生いたしました。世界中に大きな衝撃を与えたわけであります。いまだに強い憤りと深い悲しみの中にあり,お亡くなりになられた方々の御冥福を心よりお祈り申し上げます。また,現在も懸命に治療を受けられている方々の一日も早い御回復をお祈り申し上げる次第でございます。この事態を受け,京都市では,直ちに市長をトップとする緊急検証対策チームを立ち上げ,市内の280施設に対する建物調査や防火指導,ガソリンスタンドでの販売規制の要望などスピード感のある対応をなされました。その結果,本年2月1日から,ガソリン販売の規制を強化。ガソリンを携行缶で小分けに販売する際の身分証による本人確認,使用目的の確認,販売記録の作成などが法令上義務付けられ,今回の事件は,消防法も建築基準法もきちんと守った施設で,避難訓練にも熱心に取り組み,消防局から表彰を受けられた事業所で起こった火災であります。市長も,今後どういう対策が採れるのかしっかりと検討すると方針を示されておられますように,ハード,ソフトの両面での適切な対策を講じていくことが重要であると考えます。 先日,都市計画局では,建築士などの業界団体を対象として「命を守る建物にする心得集」と題したガイドラインを策定されました。今後一定のハード対策を求めていかれるものと思います。そして,消防局においては,今回の火災の様々な検証結果を踏まえ,命を守るための避難行動に関する指針を策定し,広く市民・事業者の皆様に対する周知・指導を行っていく予定と伺っております。つきましては,この命を守る避難の在り方に関する指針は,どのような内容で,いつ頃策定し,公表されるのか,また,市民,事業者の皆様により迅速な避難行動や,建物の安全性を高めるための対策を自主的に講じていただくために,具体的にどのように取り組まれようとされているのかお答えください。 最後に,このような事件を,二度と起こしてはならない,また,この教訓を後世に着実に伝えていくためにも,命を守る対策に引き続き全力で取り組んでいくべきと考えます。緊急検証対策チームの今後の展開を踏まえ,市長の御決意をお伺いいたします。 次に,救急安心センター事業についてお尋ねいたします。救急安心センター事業は,急な病気やけがなど,救急車を呼ぼうかどうか判断に迷うとき,電話相談により,医師や看護師にその症状の緊急度を判断してもらい,緊急性が高い場合は119番につなぎ,緊急性が低い場合は,お近くの医療機関を案内するサービスです。国においても,早期にサービスを開始するよう各市町村に求めております。既に,東京,大阪をはじめ全国16の地域でサービスを開始し,現在では,全国の人口割合で見ますと43.9パーセント,約2人に1人の方がこのサービスを享受できる状況にまで拡大してまいりました。また,先行都市の利用者アンケートにおいては,その9割が「大変役に立った」と回答するなど,提供するサービスの内容も非常に有効であることを示しております。 私自身,増加し続ける救急件数への対応や市民の不安解消など,安心安全を提供できる事業として大きな期待を寄せており,京都市においても早期に事業化ができるよう,これまで予算・決算の総括質疑や常任委員会においてもその実現を強く求めてきたところでございます。一昨年には,門川市長と西脇知事との協議の結果,府内全域での事業化に向け,一気に前進し,そこから府内市町村,消防機関・医療関係者の検討会において制度設計や費用負担などの議論が重ねられました。そして,いよいよ来年度からの実施に向けた予算が計上されております。そこで伺います。この救急安心センター事業は,来年度のいつ頃からのスタートを予定しているのか,事業概要やサービスの特長,さらには,京都市の救急医療体制における効果・メリットなども併せてお答えください。また,殊この京都市においては,より多くの市民がこのサービスを享受できるよう事前の周知広報が大変重要であると考えますがいかがでしょうか。長年にわたる府市連携の成果が実を結んだものでもあります。市長の決意も含めてお答えください。 次に,働き方改革についてお尋ねいたします。少子化社会に伴う労働力人口の減少,また改正労働基準法による長時間労働の是正など,一層の生産性の向上が求められる社会情勢の中,働き方改革の積極的な推進は時代の流れであり,避けて通ることのできない重要な課題となっております。民間での働き方改革の取組を促進するためにも,まずは市役所が率先して取り組まなければなりません。昨年9月,同僚の平山よしかず議員,そして青野仁志議員,兵藤しんいち議員と共に,茨城県にRPA,ロボティック・プロセス・オートメーションの導入の状況を視察してまいりました。担当者の方とのヒアリングでは,例えば,市町村からの報告があったデータをシステムに入力する業務の自動化では,作業時間の8割以上の削減が可能となった,それだけでなく業務プロセスを見直し必要性を検証することは,業務改善を進めていくうえでの大きな財産となったと導入効果について述べておられました。 御承知のように,RPAは,定量的・大量に処理しなければならない業務をパソコン上のソフトウエア型のロボットが代行・自動化するものであります。私たちは,人工知能やRPAなど,ICTツールの活用は極めて大きな可能性を秘めており,今後ますます重要なものとなってくると考えております。ただし,単純に機械化による業務の効率化や,それに伴う従事時間の削減を目指すことが目的になってはなりません。あくまで市民サービスの向上が大前提であります。RPAなどのICTツールを活用し,単純な作業を極力減らすことで,職員が本来の能力を創造的で高い付加価値を持つ業務に集中するとともに,より市民に寄り添った対応への時間に充てるなど,多様化する市民ニーズに対応していくことが何よりも重要であります。また,こうした働き方改革の取組を推進することで,職員が地域で活躍し貢献する時間を生み出すなど,真のワーク・ライフ・バランスの実現にも大きく寄与するものと期待しております。今年度,本市では,庁内向けの説明会を実施し,RPAに適した4業務を対象に試行実施を行い,年間の作業従事時間の8割程度が削減可能であるなど,大きな効果が見込めると伺っております。そこで,現在それらの結果を踏まえ,来年度本格導入に向け,AIやRPA等をはじめとしたICT技術の積極的な活用について今後どのように取り組もうとされているのかお答えください。 次に,医療的ケアが必要な子供たちへの支援について質問いたします。先ほど,湯浅光彦議員からも詳しく紹介がありましたように,私ども公明党は,今月6日,幼児教育・保育の無償化に関する実態調査の最終報告を発表いたしました。調査では,利用者の9割が幼保無償化を「評価する」と回答した一方で,保育の質の向上と受け皿の整備の2点が今後の課題として浮き彫りになりました。この中で私は,受け皿の整備につきまして医療的ケアを必要とする子供への支援の強化が,23.9パーセントもあることに注目いたしました。昨今の医療の進歩により,人工呼吸器や胃ろう等を使用し,たんの吸引や経管栄養など医療的ケアを受けながら生活する子供たち,いわゆる医療的ケア児が増加しています。平成28年で全国に約1万8,000人と推計され,平成18年から10年間で約2倍となっています。本市においても100名を超える医療的ケアが必要とする子供たちがおられるわけでございます。 こうした中,平成28年度には,国において児童福祉法が改正され,自治体に対して必要な支援体制の整備を行う努力義務が課せられました。しかし,医療的ケア児への支援には様々な課題があります。例えば,看護師などの人材を配置する預かりの場の創設,地域の医療的ケア児を支えるコーディネーター等の人材育成,保護者を支える相談体制の充実,保護者の就業を支える支援など,医療や福祉が一体となって地域で子供を支えていく体制の確立が急務となっております。 子ども若者はぐくみ局では,子供から若者までの切れ目のない支援を掲げ,子育てを応援する様々な取組が行われており,これまでから,先進的な取組として保育園において医療的ケア児の受入れを行っており,私の地元伏見区においても,一部の保育園において医療的ケア児を受け入れていただいております。令和2年度の予算においては,新計画の下,新たな取組として幼稚園や学童クラブにおいても医療的ケア児の受入れを行うとのことです。これまで,医療的ケアを要する児童は,卒園後,小学校に入学した子供であっても,放課後の居場所は放課後等デイサービスしかなかったことを考えると,放課後の選択肢が更に広がることになり,歓迎すべき取組であると考えております。私は,医療的ケア児が身近な地域で安心して過ごすことができる環境作りに向け,これまで以上にしっかりと取り組んでいただきたいと考えております。今後ますます拡充されることを期待して,この度の医療的ケア児の受入れの拡充を進める決意,先ほど私が述べました課題を踏まえた今後の取組についてお考えをお聞かせください。 次に,令和2年度から小学校で新学習指導要領が全面実施されます。その新たな取組として,プログラミング教育と並んで目玉事業の一つが,英語教育の充実です。小学校5・6年生で外国語が,それまでの外国語活動から,教科として位置付けられ,さらに,3・4年生で外国語活動が前倒しスタートし,早くから英語に親しむ機会が設けられます。我が国では,長い間,中学校・高等学校で6年間英語を勉強しても,それを生かせる力が子供たちに身に付いていないと指摘されてきました。そのことを受け,平成23年度の学習指導要領改訂・実施に合わせて,小学校での外国語活動が導入され,この度の改訂で外国語の教科化と授業時間数の増加,さらに早期化が図られることになりました。子供たちが,読む・書くに加え,話す・聞くを併せた英語4技能をしっかりと身に付けているかどうか,今後ますます世界のボーダーレス化,多様化が進展する中で,コミュニケーションの共通言語である英語の4技能を,しっかりと学校教育の段階で身に付けることができるようにすることが大変重要であると考えます。 本市では,これまでから,外国語指導助手ALTの配置充実や,小学校での英語の専科教員の配置の充実,またイングリッシュシャワーなどの子供たちが学校生活で日常的に英語に触れる機会の創出に努めるとともに,中学校での授業改善にも取り組んでこられました。小学校から大学入試まで,それぞれの段階において英語教育の改革が進んでいく中,社会に出てから英語を活用できるための4技能の習得にもつなげていくためには,まずは,義務教育9年間の英語教育の在り方が重要だと考えます。本市として,小中一貫教育の視点も踏まえ,英語教育をどのように充実させていくのか,教育長の御所見をお伺いいたします。 最後に,向島ニュータウンの活性化についてお伺いいたします。市長は,3期目の市長選挙における公約においてもニュータウンの活性化を掲げられ,総合的なまちづくりビジョンを策定し,活性化に取り組むと約束されました。これを受けて,地域住民や事業者,学識経験者などによる向島ニュータウンまちづくりビジョン検討会が設置され,七つのワーキンググループでの熱心な議論を経て,平成29年3月には向島ニュータウンまちづくりビジョンが策定されました。ビジョンには,向島ニュータウンの目指すべき姿として,誰もが活き活きと暮らせる向島ニュータウン,暮らし心地を誇れる多文化・多世代共生のまち,が掲げられ,地域の力を引き出し,高め合いながら,向島ニュータウンに関わる全ての主体がそれぞれの役割を持って共に連携・協働して目指すまちの姿に取り組むとされております。 あわせて,平成29年度からおおむね4年間に検討,または取り組んでいくアクションプランがまとめられ,今日まで順次取組が進められてまいりました。例えば,まちの魅力向上に向け,うっそうと木が生い茂っていた向島中央公園が美しくリニューアルされました。そして新たな魅力ある教育環境の整備として,待望の向島秀蓮小中学校が開校,また,住宅供給公社所有地を活用した新たな商業施設ニトリさんの誘致など,目に見える成果が着々と生み出されてきました。さらには,多文化共生を目指すまちにふさわしい,向島二の丸小学校跡地へのアフリカの遺児のための教育研修施設の整備も具体的に協議が進められております。何より,この間,地域住民をはじめとする皆さんの主体的な活動が目に見え,正に地域活性化に向けた動きが進んでいることを実感いたしております。 市長は,今回の選挙公約においても,向島ニュータウンの更なる活性化を掲げられました。是非これまでの地域主体の取組を引き続きしっかりとサポートするとともに,安心して暮らせる暮らし心地を誇れるまちを目指し,分譲共同住宅の耐震化の支援や,市営住宅入居者の住み心地の向上に向け,老朽化した浴槽の改善などについても,是非とも取り組んでいただきたいと思います。さらに,私は向島の活性化を一層加速するためには,新たな活力を生み出す人口の流入に向けた受け皿としての住宅の整備が重要であると考えます。ついては,それを目指すニュータウン内の住宅全体の在り方の検証は,現在のアクションプログラムにおいては,将来構想として検討を始める段階にあると位置付けられておりますが,今こそその具体化に向けてスピード感をもって取組を進める段階に来ていると考えますが,今後の取組について市長のお考えをお伺いいたします。 以上で私の質疑を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手) ○副議長(青野仁志) 門川市長。 〔門川市長登壇〕 ◎市長(門川大作) 曽我修議員の御質問にお答えいたします。 京都アニメーション火災を受けた命を守る避難行動についてでございます。まず,お亡くなりになられた方に哀悼の誠をささげ,被災された方へのお見舞いと一日も早い御回復をお祈り申し上げます。今回被害に遭われた企業が,消防法と建築基準法を遵守されている中で発生した火災であり,そこから得るべき教訓を重く受け止めねばらない。そうした思いの下に私を先頭とした緊急検証対策チームを立ち上げ,消防局,都市計画局,伏見区役所をはじめ全庁を挙げて取り組んでまいりました。命を守る避難の在り方に関する指針につきましては,厳しい煙の中,避難された方お一人お一人から聞き取りを行い,避難の状況等について分析・検証を行った結果,煙が流入しない安全な避難路の確保,階段以外の窓やベランダから避難器具を使用して屋外へ逃れる手段の準備,煙から逃れ一時的に避難できる場所の確保を含め,7項目の命を守る安全対策を掲げており,3月中に策定し公表いたします。 今後は,事業所と市民の皆様に本指針の内容を実践していただくために,煙の中での行動の難しさを理解していただく動画等の作成と事業所ごとの訓練を組み合わせ,命を守る避難行動につながるよう指導をしていくとともに,2月にまとめ,公表しました命を守る建物に関する心得集も連携しまして,しっかりと活用して建物の安全性の更なる向上を図ってまいります。また,この指針などを国にも情報提供し,この事件からの教訓としていただくよう取り組んでまいります。今後も引き続きソフトとハードの両面から命を守る対策を推進し,安心安全な京都を目指してまいります。 次に,救急安心センター事業についてでございます。これまで西脇知事と長寿社会を見据えた消防の救急体制と医療の連携について意見交換を積み重ね,この度,府市協調の大きな成果として府内消防本部との共同事業により,市民の皆様を24時間,365日サポートする救急電話相談窓口いわゆる#7119を本年10月1日から開始します。政令指定都市を含む全市町村と府県が連携して,費用負担もし合って区域全体で#7119を実施するのは全国で初めての例でございます。 また,京都府内のこの度の事業の特長は,救急の電話相談だけではなく,高齢者や持病のある方には掛かり付け医をお聞きし,在宅療養あんしん病院をはじめ,相談者に適した医療機関を御紹介するなど,救急と医療が連携した事業となっております。本市の救急医療体制に与える効果は幅広いものがございますが,増加の一途をたどる救急出動件数を抑え,必要な方の所に速く救急車が駆け付ける体制をより強化するとともに,救急医療機関の負担軽減も期待いたしております。事前広報につきましては,市民しんぶんをはじめ市の様々な広報媒体を活用するだけでなく,京都府や京都府医師会,民間団体とも協力して取り組んでまいります。今後とも府市協調の下,市民生活の更なる安心を確保してまいります。 次に,医療的ケア児への支援についてでございます。全ての子供たちの健やかな育ちと学びを徹底して支えていく。この思いの下,今回,私は,医療的ケア児の受入支援の充実をはじめ,子育て家庭等の孤立ゼロを目指すことを市民の皆様にお約束いたしました。保育所等での訪問看護の利用に医療保険が適用されず,また国からの補助も極めて少なく十分でない中,本市では,平成30年度から多額の財源を投入し,看護師を配置できるようにし,2年間で累計22名の医療的ケア児を保育園等で受け入れるなど,全国に先駆けた取組を進めてまいりました。来年度は,独自に約1億円の予算を計上し,保育園での受入拡充に加えまして,新たに私立幼稚園及び学童クラブでの受入れを行ってまいります。さらに,医療的ケア児に係る医療福祉,教育,保健等の関係機関が協働し,御本人の状況に合わせ様々な支援を重ね合わせることが不可欠であるために,早期に協議の場を設置し,コーディネーターの育成も含めまして,身近な地域で子供やその御家庭をしっかりと支える体制づくりをスタートさせます。引き続き,国に対し十分な財政措置等を要望するとともに,子供一人一人に適切なケアが行き届く取組を充実し,誰一人取り残さない社会を実現してまいります。 次に,向島ニュータウンの活性化についてでございます。向島ニュータウンは周辺の農地や緑あふれる公園など,自然環境の豊かさ,団地ならではの人の温かさといった魅力あるまちでありますが,まち開きから40年以上が経過し,全国のニュータウンと同様少子高齢化等の課題が表れてきております。現在,曽我議員御紹介のとおり,平成29年3月に幅広い住民の方々の御参加の下策定した向島ニュータウンまちづくりビジョンに基づき,地域主体の活動が大きく盛り上がり,進み,さらに,向島二の丸小学校跡地へ、アフリカ支援100年構想に基づくアフリカ遺児のための教育研修施設の整備が具体化されつつあるなど,多文化・多世代共生を目指す地域力の高まりを実感するとともに,将来に向けたまちづくりの機運がより一層高まってきていると認識しております。 さらに,小中一貫の向島秀蓮小中学校の開校で,若い世代の関心も大きく高まり,新たな子育て世代の受皿としての住宅整備も重要となってきております。このため,今後は中学校跡地や市営住宅の空家を活用した子育て世帯等を対象とする新たな住宅の供給に向けて,地域の皆さんと共に力強く取り組んでまいります。なお,セーフティネットとしての市営住宅の役割をしっかりと果たしていくため,老朽化し破損した浴槽については,本市の費用負担において改修してまいります。 以下,副市長及び関係理事者が御答弁申し上げます。
    ○副議長(青野仁志) 岡田副市長。 〔岡田副市長登壇〕 ◎副市長(岡田憲和) ICTを活用した働き方改革についてでございます。少子化等に伴い労働力人口が減少する中,職員の真のワーク・ライフ・バランスを実現し,必要な市民サービスを提供していくためには,業務の効率化や生産性の向上を図ることが必要不可欠となっており,そのためには,定型的な作業を自動化するRPA等をはじめとしたICTの積極的な活用が重要であると認識しております。とりわけRPAにつきましては,定型的な業務を大幅に省力化・効率化できるものであり,曽我修議員御指摘のとおり,今年度,庁内の4業務を対象に試行実施を行ったところ,年間の作業従事時間の8割程度の削減が可能な業務もあるなど大きな効果が見込めることを確認いたしました。現在その結果を踏まえまして,導入に適した業務の見極めを行っているところであり,その結果を踏まえまして,来年度は本格的に導入を進めてまいります。 またRPAに加えまして,手書き又は活字の文字を電子データに変換するAI-OCRの導入や,執務室以外の場所でも業務の遂行が可能となるモバイルワークを積極的に実施することで,AIやICTを活用した働き方改革を強力に推進してまいります。今後,年々多様化,高度化する行政課題に即応していくために,ICTを積極的に活用し,業務の効率化や生産性の向上を図り,市民サービスの更なる向上を図ってまいります。私からは以上でございます。 ○副議長(青野仁志) 在田教育長。 〔在田教育長登壇〕 ◎教育長(在田正秀) 英語教育についてでございます。曽我修議員の御指摘のとおり,世界のボーダーレス化,多様化が進展し,外国語で多様な人々とコミュニケーションを図る能力の育成が必要となる中,義務教育9年間の英語教育の在り方が極めて重要となっております。本市では,これまでから先進的な英語教育の実践を基に,新学習指導要領による小学校5・6年生及び3・4年生の英語に関する授業時間数の増を先行実施するとともに,中学校ブロック内で同じALT,英語教育外国人指導員でございますが,小中学校を巡回指導する配置上の工夫や,中学校の英語科教員による小学校での専科指導等の充実を進めてまいりました。今後,小学校での学びを中学校に確実につなぐため,小中学校の教員が連携して作成する中学校入学当初の指導案の活用,また,英語力の把握と授業改善のため,中学校で試行的に実施しております民間検定試験の小学校への拡大,さらには小学校3・4年生以降の学習につなげる小学校1・2年生での英語活動を本市独自に全小学校に本格導入するなど,義務教育9年間を通して,体系的に聞く・読む・話す・書くの4技能の育成を進めてまいります。今後とも,本市の強みである小中一貫教育を最大限に生かし,ALTの段階的な増員など体制充実を図りながら,京都ならではの英語教育の充実に努めてまいります。以上でございます。 ○副議長(青野仁志) 次に,平山よしかず議員に発言を許します。平山議員。 〔平山よしかず議員登壇(拍手)〕 ◆(平山よしかず議員) 西京区選出の平山よしかずです。湯浅光彦議員,曽我修議員と共に公明党京都市会議員団を代表し,市民生活を豊かにし,京都の未来を開く視点で質疑いたします。市長並びに関係理事者におかれては,前向きで誠意ある御答弁をお願いいたします。 最初に,市長の政策推進及び141のお約束実行のための財源に関して質問します。昨日も,自民党議員団の富きくお議員から御指摘がありましたとおり,先の京都市長選挙では,他の候補者が,自身が当選したらすぐに実行する項目を並べ,すぐやるパッケージとネーミングした年間70億円の政策なるものを打ち出しました。そして,京都市はお金がないと言うけれど,これだけのことが市の予算の1パーセント未満でできます。ないのはお金やのうて,市長のやる気ですと,70億円は市の年間一般会計予算約8,000億円のわずか1パーセントにも満たないから,すぐにお金が出せるとけん伝していました。私は驚きました。この候補者の方は御存知なかったのでしょうか。前提が全く間違っています。8,000億円という金額は,まさに京都市一般会計予算の総額であり,市が自由に使える財源は,市税や地方交付税などを合計した一般財源のうち,人件費,公債費,社会福祉費及び道路の維持補修費などを除いた,令和2年度予算案でいえば567億円の金額となります。70億円という額はこの約12パーセントであり,かの候補者が,どうだと言わんばかりにアピールしていた1パーセントの10倍以上の割合に上ります。しかもこのいわゆる市が自由に使える財源も,市民生活の向上や京都の発展のための事業予算に充当しているわけで,市長の一存のみでどうとでもなるものでは当然ありません。この前提の下で市長は予算案を作成し,私たち市議会は議論を重ねています。 つまり,私が驚いたのは,この候補者を推薦された日本共産党に所属する市会議員の方々がいながら,先の前提と相反する主張をなぜ,かの候補者が持ち出されたのか,どうしても理解できないからです。前提が間違ったままたった1パーセントという言葉がけん伝されれば,多くの市民の誤解を招き,あまつさえ行政の停滞を引き起こしかねません。市長選後,かの候補者はSNS上で,予算の1パーセントで何ができるか,全国の自治体で分析してみたら面白いのではと発信をされているようです。間違った前提をただすどころか,いつの間にか政策よりもたった1パーセントとの言葉が先走りしているように見え,私には,誤った情報に基づく言葉の危うさが感じられました。だからこそ,行政当局と並んで私たち市会議員も,正しい情報を自らの支援者,市民の皆様へ伝えていく責任と使命を引き続き果さねばなりません。本議会に上程された令和2年度京都市予算案等に対し,私はこれまで以上にデータに基づいた精査を行い,緊張感を持って審議に当たってまいります。 先の京都市長選挙では,京都市民の皆様には,こういった誤った情報に惑わされることなく,門川市長の地に足の着いた政策とその実行力を選択されました。市長には,その期待に応え,市民の皆様へお約束した141の公約実現へ取り組んでいただきたい。公約実行の前提として,厳しい財政状況にある本市にあっては,裏付けとなる財源確保・財源創出に市長が強いリーダーシップを発揮し結果を出す必要があります。財源創出・確保は,収入を増やし,支出を減らすことが王道です。世間ではクラウドファンディングによる資金調達が広く行われるようになりました。他都市において民間事業者の結果に応じて行政が対価を支払うソーシャル・インパクト・ボンドの導入事例も見られます。本市としても民間活力の導入,民間資金の獲得など,新たな官民連携の手法も検討し財源創出に努めるべきではないでしょうか。また,4期目の門川市長だからこそ,事業の再構築・スクラップ・アンド・ビルドを思い切って実行することができると考えます。事業を点検し,再構築していくための体制と仕組みづくりを具体的に行い,目に見える形で成果を出し,財源確保に結果を上げるべきです。市長のお考えをお伺いいたします。 次に,大半が市街化調整区域である西京区・大原野地域活性化の課題解決について質問します。西京区・大原野地域は,紫式部ゆかりの小塩山をはじめとする西山連峰とその麓に開けた丘陵地に,勝持寺,善峯寺,大原野神社といった歴史ある寺社が並び,米やタケノコ,ナスをはじめとする農業が盛んな,京都市内にありながら豊かな自然に包まれ,人々の生活の息遣いが聞こえるすばらしい地域です。しかし,近年は農業従事者の減少や少子高齢化などの影響で地域の人口減少が著しく,加えて,住宅等の建築に強い規制がある市街化調整区域の土地利用規制のままでは,持続的な農業の継続,集落の維持・継承,ひいては定住人口に支えられた生活の保全が困難と,大原野在住の多くの方々が危機感を抱かれています。 一方で,大原野地域は,洛西ニュータウンや向日市・長岡京市の市街と近接し,JRや阪急の駅も近く,京都第二外環状道路の沓掛・大原野インターチェンジがあるなど,非常にポテンシャルの高い地域であり,行政の適切な施策によっては活性化の芽が大きく花開くことは間違いありません。これまでも地域代表の方々が地元議員と連携し市へ要望を重ねて来られましたが,土地利用規制の高い壁を乗り越えることは困難でした。しかし,後継者不足に加え,親の介護の問題,家庭の支え手の減少,買物の不便,少子化による地域コミュニティ維持への不安などの危機感が近年一層高まる中で,昨年末には,改めて地域代表の方々と地元議員が,地域住民の住まい確保と地域外からの移住者の受入れに関する思いを要望書として門川市長へ提出されました。これを受けて,市長の141のお約束には,市街化調整区域の集落の持続可能な発展に向け,地域コミュニティの維持・活性化,必要な住宅の確保,働く場の創出,移住の促進などにつなげるための新たな戦略的手法の検討など,総合的な対策を進めますと記載されました。門川市長には大原野住民の気持ちと危機感をしっかりと受け止めていただいたと地域代表の方々も評価されています。市長には,この4年間で,大原野地域活性化のために強力にお取組いただきたいと改めてお願いします。 そこで,市街化調整区域である大原野地域において,これまでかなわなかった土地利用に関する法律規制をクリアして,活性化を進める新たな戦略的手法とはどのようなことを検討していかれるのか,現時点での市長のお考えとその決意をお聞かせください。また,大原野地域側では,京都市と一緒に手法や進め方を検討し,実行していく体制が既に出来上がっていると聞いています。本市としてどのようなスピード感をもって手法の検討・実行を進めていくのか併せてお答えください。 ここまでを前半の質問とします。御答弁をお願いします。 ○副議長(青野仁志) 門川市長。 〔門川市長登壇〕 ◎市長(門川大作) 平山よしかず議員の御質問にお答えいたします。 財源創出についてでございます。将来にわたって市民の皆様の命と暮らしを守り,活力あるまちづくりを進めていくためには,力強い経済を実現し,市民生活を豊かにすることにより税収の増加につなげることが必要でございます。一方で,高度成長期のような右肩上がりの税収増が見込めない現状において,これまで公費で提供してきた行政サービスについて可能なものには民間活力を導入し,効率化や公費負担の軽減を図ることも重要でございます。現在,官民挙げてSDGsの理念の実現に取り組む中,本市はソーシャルビジネスの聖地として注目を受けており,官民連携を更に進めていく環境が整いつつあります。来年度予算におきましても,例えば密集市街地の防災性や住環境の向上を図るため,産官学金で組織する京都市路地再生プラットフォームでの議論を踏まえ,地域や民間事業者との連携による路地再生の取組を開始いたします。くわえまして,再生医療分野の研究開発への支援に当たり,クラウドファンディングによる資金調達を図るほか,平山議員御紹介のソーシャル・インパクト・ボンドについても,他都市の先行事例も参考に,成果指標の設定等の課題克服に向けて検証を進めてまいります。 また,スクラップ・アンド・ビルドにつきましては,新規事業の立案に当たり,事業開始当初の目的を一定達成したものや事業手法に工夫が必要なものを廃止するなど,18事業について再構築したほか,22の事業で民間資金の獲得や事業の自走化等の見直しを実施いたしました。これらにより40億円の財源を捻出したところでありますが,持続可能な財政の確立に向けまして,引き続き国に対して地方交付税の必要額の確保を強く求めるとともに,財源創出のための体制強化や新たに設置する外部有識者会議においては歳入・歳出両面にわたって市民ぐるみでの議論を行い,市民参画の下,改革を進めてまいります。 次に,大原野地域の活性化についてでございます。平山よしかず議員御指摘のとおり,大原野をはじめとする市街化調整区域では,人口減少・少子高齢化の進行,農業従事者の減少等による集落の維持・継承や農業の継続などが大きな課題となっており,地域の持続可能性について私自身も危機感を持っております。一方,これまで市街化調整区域においては,都市計画法に基づく開発許可基準により,土地利用を規制してきた結果,農地や山林,自然景観等,それぞれの地域の良いところが大切に守られてきました。 このような緑豊かな自然環境を今後も守りながら地域のまちづくりを進めていけるよう,平成31年3月に策定しました持続可能な都市構築プランにおいても,市街化調整区域を農林業や観光等の産業の振興等により,地域の生活・文化等を維持継承していくエリアと位置付けており,その担い手となる定住人口の確保が極めて重要であると考えております。そこで,これまで守ってきた自然環境の良さと定住人口の確保による持続可能な集落の維持・発展を両立させるために,スプロール的な乱開発はしっかりと防ぎ,農業等の振興,コミュニティの維持・継承,子育てしやすい環境整備を進めることで,若者も安心して住み続けられるよう地域の皆様の声をしっかりとお聞きしながら,地区計画や開発許可の制度はもとより,都市計画のあらゆる手法を柔軟に駆使するなど様々な観点からその可能性を追求し,スピード感をもって実現を図ってまいります。 ○副議長(青野仁志) 平山議員。 〔平山よしかず議員登壇〕 ◆(平山よしかず議員) 続いて,本市の強みを生かした新産業振興と働く場の創出について質問します。京都で最大の産業は,観光ではなく製造業です。西陣織,友禅染,京焼に代表されるような伝統的な工業,そして現代的なハイテク工業が京都の製造業の土台となっています。1200年の都の歴史から生まれた高いものづくりの技術力,琵琶湖疏水の水力発電で新しい工場を生み,路面電車を走らせた気概や進取の精神,これらものづくりの精神と技術に集積する大学の知が相まって,名立たるハイテク企業が京都で生まれ,日本のみならず世界をリードしています。 さらに京都の産業振興には,産学公の公,公が積極的に関与してきたことも特筆すべきことです。明治初期,鴨川の西岸に舎密局と呼ばれる理化学の専門研究所が造られ,陶磁器生産の技術改良,染料や薬品の開発などが行われ,近代京都の産業を支えました。現代では,京都市産業技術研究所やASTEMが産業振興の要となっています。また,京都リサーチパークをはじめとする新産業育成支援拠点・機関が活躍しています。京都の強みである産学公連携を生かした産業振興が,働く場を創出し,市民生活を豊かにし,京都の未来をひらくてことなってきました。 時代の変革期である今,京都の未来の礎となる新たな産業振興が重要であり,その大きな柱がスタートアップ事業です。少子高齢化による人手不足が深刻化し,環境問題への対応が世界的潮流となっている現在,国においては,短期間でイノベーションや新たなビジネスモデルの構築,新たな市場の開拓を行う起業や新規事業の立上げを意味するスタートアップの仕組みを構築し,グローバル市場で活躍するベンチャー企業などを次々と創出することが最重要として,スタートアップ・エコシステム拠点都市公募を開始しました。本市は府と協調し,京都,大阪,兵庫の京阪神として応募する意向とお聞きしています。また,京都府,経済界,大学などと共にスタートアップ企業輩出支援の推進協議会を設立したともお伺いしています。京都市の産学公連携の強みこそがスタートアップ事業支援に最適であり,国のスタートアップ・エコシステム拠点都市に選定されるよう最大限の努力を望みます。そこで,本市の新産業振興におけるスタートアップ事業支援の必要性をどう捉え,拠点都市公募に臨まれるのか,お考えと決意をお聞かせください。 また,スタートアップ事業支援を本市の産業と中小企業の足腰強化に生かし,働く場の創出と市民生活の豊かさへつなげていくことが事業支援のもう一つの意味です。例えば,私の住む西京区では,京都大学桂キャンパスと桂イノベーションパークが隣接し,イノベーションの大きな成果を上げているとお聞きしています。一方で,西京区は市内11行政区で最も事業所,つまり働く場が少ない行政区です。区内に働く場が増え,働く世代の方々にとって更に住みやすく,生活しやすい魅力ある地域となることが課題であり,スタートアップ事業支援が課題解決の大きなツールとなることを期待しています。働く場の創出,市民生活の豊かさへつなげていくことが,京都市が公として関与していく重要な意味であると考えます。本市としてどのようにスタートアップ事業支援に取り組まれるのかお尋ねします。 次に,市周辺部における市バス運賃に関する課題について質問します。交通局では,観光混雑対策としての市バスから地下鉄への利用促進を図るため,地下鉄バス一日券の見直しと共に,ゴールデンウィークと秋の観光シーズンには,東山エリアと金閣寺エリアから京都駅へのルートにおいて市バスから地下鉄への無料乗継を実施され,今年度には,市バス440台分に相当する延べ2万6,000人を超える方々を地下鉄へと誘導されるなどの効果があったことが,先の産業交通水道委員会でも明らかになりました。また,昨年11月に公表された市民生活との調和を最重要視した持続可能な観光都市の実現に向けた基本指針と具体的方策について,中間取りまとめには,市民を中心とした利用頻度の高い方に対する将来的なバスからバスへの無料乗継ぎを視野に入れた検討を行うと盛り込まれました。 私は,バスからバスへの無料乗継ぎは,観光客の移動経路の分散化に加えて,市周辺部から市中心部へのバス移動や地域内でのバス利用の幅が広がることで,市周辺部にお住まいの市民にとってもメリットが大きいと考えます。令和2年度にバスからバスへの無料乗継ぎの在り方の検討を開始するとお聞きしています。私は,観光客のみならず市民の利便性向上を,ぜひ検討の視点に加えていただきたいと要望します。そこで,来年度の将来的なバスからバスへの無料乗継ぎを視野に入れた検討の方向性,考え方とその効果,実現へ向けてのスケジュールについてお答えください。 現在の市バス運賃は,乗車1回当たり230円といういわゆる均一運賃区間と距離比例の運賃体系である調整運賃区間に大別されます。調整運賃区間の地域で均一運賃とするためには,市バスより先に運行していた民間バス事業者に市バスの運賃へ合わせてもらう必要がありますが,事業者によっては運賃値下げになる区間もあることから経営への影響を懸念されており,各事業者の理解・賛同を得ることが最大の課題であるということも理解しています。しかし,均一運賃区間外では市バス一日乗車券などが使えないなど,同じ京都市民として合点がいかないとの声があることも事実です。市内を全て同一の運賃体系とすることは交通局にとって最重要の取組課題であると考えます。交通局においては,これまでも市バス均一運賃区間の拡大に真摯に取り組んでこられたことは承知していますが,無料乗継ぎなど運賃の在り方を検討していく流れの中で,均一運賃区間の拡大にも強い決意を持って,更に一歩踏み込んだ取組をお願いしたい。今後の取組についてお答えください。 最後に,小中学校などでのスクールカウンセラーの配置と教育相談体制の充実に関して質問します。小中学校などで,それまで教職員が対応していた心理相談業務に,より専門的な知見と対応が必要として,平成7年度に,国においてスクールカウンセラー事業が開始されました。京都市教育委員会では,その重要性を認識され,平成16年度には全市立中学校にスクールカウンセラーが配置されたことをはじめ,平成27年度までには,全ての市立高等学校,市立支援学校及び市立小学校に配置が完了し,その後は全校への配置時間の拡充に取り組まれています。スクールカウンセラーは,カウンセリングを通じた子供や保護者への心理的ケアはもとより,教職員研修などを通して,教職員の発達障害児対応の知識や技能向上,子供の学校不適応や問題行動に対する早期発見と未然防止に大きく貢献しています。 (パネルを示す)一方で,ますます顕在化,深刻化するいじめや児童虐待への対応,災害や事故に遭った児童生徒への心のケアに加え,教員のメンタルヘルスケアや負担軽減のためにも,スクールカウンセラーの存在が重要となってきています。本市の令和元年度におけるスクールカウンセラーの配置状況は,表に示すように,大半が週8時間,年間280時間ですが,いまだ年間160時間以下の学校が多くあります。児童生徒数が多い大規模校の教員から,子供たちのために,スクールカウンセラーの配置時間をもう少し増やせるとよいとのお声が私へ届けられてもいます。全体的な配置時間の充実と共に,児童生徒数などに応じた実態に即した柔軟な対応が要るのではないでしょうか。 2006年度から2007年度にかけて,教育相談に関するアンケート調査が文部科学省によって行われ,全国的に改善もなされてきたところですが,児童生徒を取り巻く社会環境の急速な変化が進む中にあって,教育現場における心理相談のより一層の体制の充実が必要です。そこで,本市における教育相談の実態を改めて調査し,スクールカウンセラーの配置をはじめ相談体制の充実を求めます。教育長のお考えをお答えください。 以上で私の質疑を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手) ○副議長(青野仁志) 岡田副市長。 〔岡田副市長登壇〕 ◎副市長(岡田憲和) 私からは,スタートアップ事業支援について御答弁を申し上げます。文化・芸術,大学,伝統産業から先端産業まで多種多様な産業が集積する京都は,時代を先取りしたベンチャー企業やグローバル企業を数多く輩出してまいりました。また最近では,世界的なアクセラレーター企業等が続々と京都に進出し,経済センターやKRP等の拠点も含め,スタートアップ企業を支援する環境はますます充実してきております。このような環境の中から,京都の強みであります文化・芸術と科学技術を融合させた企業が次々と立ち上がり,世界を視野に活躍するとともに,社会的課題を解決し,持続可能なまちを支える地域企業に成長する。そのことが,京都で広い視野を持ち,社会的課題に立ち向かう若者が育ち,世界中から更に人材が集まる好循環を生み,都市格の向上や働く場の創出,市民生活の豊かさにつながると確信をしております。 今年度,国はスタートアップ・エコシステム拠点都市を選定し,集中的に支援することとしておりますが,これに何としても選定されるよう,京都府,経済界,産業支援機関,大学とオール京都で,また大阪,神戸とも連携して取り組んでいるところでございます。あわせて,スタートアップ企業の事業拡大に不可欠なオフィスや産業用地の不足に対応するため,本市独自の取組として学校跡地などでの創業イノベーション拠点の整備や,オフィス需給の実態調査なども進めてまいります。今後とも,起業するなら京都と世界の人々が憧れ,活気あふれるスタートアップの都・京都の実現に全力で取り組んでまいります。私からは以上でございます。 ○副議長(青野仁志) 鈴木副市長。 〔鈴木副市長登壇〕 ◎副市長(鈴木章一郎) 私からは,市バス運賃についてでございます。全国の路線バス事業者の約7割が赤字,このような厳しい経営環境の中,京都市バスにおきましては,この間,54両増車して路線・ダイヤの充実を図るとともに,乗継割引制度の充実や均一運賃区間の拡大など,運賃制度の改善に努めてまいりました。運賃制度につきましては,市民の皆様にとっての利便性と共に,市民の足を将来にわたって守っていくための一定の収益性の確保が必要です。同時に,乗車券の割引制度が複雑化しており,日常利用の方への還元の観点も踏まえ整理していくことも重要です。 その柱の一つが,バスとバスの無料乗継ぎを検討の軸に据えた割引乗車券の抜本的見直しであり,混雑対策に寄与し,利便性向上にもつながるものであります。見直しに当たっては,磁気カードの精算や利用が縮小傾向にある中,キャッシュレス化や乗降時間の短縮につながるICカードをより一層普及させるため,ICカードによるポイント還元制度を用いた割引サービスを導入してまいりたいと考えております。また,導入に当たっては,市民の皆様を中心とした利用頻度の高い方にはより多くの割引が受けられる方向性を目指してまいります。今後,経営に与える影響もしっかりと見極めながら,来年度に制度案をお示しし,システム構築や機器の改修を経て令和5年度末までの実施を目指してまいります。 もう一つの柱が,均一運賃区間の更なる拡大であります。この間,京都バスと市バスが競合する全ての地域へ均一運賃区間を拡大してまいりました。現在,桂・洛西地域をはじめとする三つの調整運賃区間を運行する民間バス事業者と協議を進めておりますが,運賃のシームレス化を促進する観点からも,御理解を得られるよう更に努力を重ね,均一拡大の早期実現に向け全力で取り組んでまいります。以上でございます。 ○副議長(青野仁志) 在田教育長。 〔在田教育長登壇〕 ◎教育長(在田正秀) スクールカウンセラーの配置と教育相談体制の充実についてお答えいたします。平成27年度に全市立学校への配置を完了いたしましたスクールカウンセラーにつきましては,年間延べ約2万人の児童生徒や保護者への心理的ケア,約2万4,000人の教職員への助言等を通じ,学校において重要な役割を果たしております。本市ではこうしたニーズの高まりを受けまして,配置時間数が少ない小学校での充実を図るため,令和2年度には約60の小学校の配置時間数を倍増するなど,一部小規模校を除き全市立学校に年間280時間以上の配置ができるよう予算の拡充をお願いしております。さらに政令市教育委員会と一体となって,教職員定数としての算定による財政措置について国に対して要望しているところでございます。 また,平山よしかず議員御指摘の教育相談に関する実態調査は,極めて重要であり,本市では毎年度スクールカウンセラーの活動状況等に関する調査を実施してまいりました。今後,一層きめ細やかに教育相談の状況を把握し,学校規模に応じた配置と共に,緊急事案等についても適切な加配を行うなど,学校の実情に合わせた柔軟な配置に努めてまいります。今後,令和元年度に当初の計画を1年前倒しし,全中学校区への配置を完了いたしましたスクールソーシャルワーカーとの連携強化も含め,各校におけます教育相談体制の充実に努めてまいります。以上でございます。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ○副議長(青野仁志) 暫時休憩いたします。 〔午前11時38分休憩〕 〔午後1時再開〕 ○議長(山本恵一) 休憩前に引き続き,会議を行います。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ○議長(山本恵一) 休憩前の議事を継続し,質疑を続行いたします。 天方浩之議員に発言を許します。天方議員。 〔天方浩之議員登壇(拍手)〕 ◆(天方浩之議員) 西京区選出の天方浩之です。民主・市民フォーラム京都市会議員団を代表し,小島信太郎議員と共に質疑いたします。それに先立ち,年初以来,猛威をふるっている新型コロナウイルスにより,お亡くなりになられた皆様の御冥福をお祈りするとともに,療養中の皆様に対し心よりお見舞い申し上げます。 また,過日の京都市長選挙において,多くの皆様の御支援で門川市長が見事4選を果たされたことを心よりお祝い申し上げます。門川市長におかれては,投票率が20年ぶりに40パーセントを超えたこと,京都市長の4選は,高山義三市長以来二人目であるということを重く受け止め,その職責をしっかり果たし,市長選挙の公約である市民の皆様との141のお約束を力強く実行されることを期待しております。私たち民主・市民フォーラム京都市会議員団も,門川市政を支えつつ,二元代表制の下,チェック機能を果たしながら全力で頑張ってまいる所存です。 まず初めに,令和2年度一般会計予算と次期京都市基本計画策定について質疑します。令和2年度の予算案は,人生100年時代の安心づくり,子育て・教育環境日本一の推進,命を守る,防災減災先進,環境先進のまちづくり,力強い経済の持続的発展と都市の活力の創造,文化・スポーツの力を暮らしと心の豊かさにつなげる世界の文化首都・京都の実現や観光の京都モデルの構築,まちづくりを支える持続可能な財政の確立の五つの政策を柱としています。この政策を実現するための予算編成をするうえで,一般会計における財源不足額は300億円であり,職員数の削減などの人件費の削減で17億円,事業見直し40億円,資産有効活用20億円,その他歳出の精査,財源の確保など30億円を予定し,合計107億円の削減をしたうえで,特別な財源対策額は193億円であります。 本市の特別の財源対策は,通常の市債に上乗せして発行できる行政改革推進債の発行と,将来必要となる市債の償還のための公債償還基金の一般会計への取崩しであり,この二つの活用により,来年度の財源不足を解消しています。来年度の特別の財源対策額の推移を見ると,平成28年3月の予想では13億円,昨年2月時点は84億円,先日の2月6日の広報発表では193億円が提示され,その特別の財源対策の内訳は,公債償還基金取崩し119億円,行政改革推進債51億円,税制改正に伴う減収に対しての資金手当を行うための市債として調整債23億円であります。 来年度は,京プランの後期計画の最終年度であり,本来は,特別の財源対策をせずに予算を立てるはずであったのにもかかわらず,中期財政見通しの上でも,特別の財源対策の額の予算見積もりをしてきましたが,最終的には来年度193億円が提示されました。このような状況になっていることをいかがお考えでしょうか。来年度は,京都市基本計画はばたけ未来へ!京プランの後期計画5箇年計画の最終年度であり,また,令和3年度からの次期京都市基本計画を策定するための年度でもあります。そのために,令和2年度の予算策定は,後期計画を総括し,未来を志向する極めて重要な予算編成が必要です。 少子高齢化を迎える中,市長がうたう全国トップレベルの福祉,医療,子育て,教育を誰一人取り残さないものにし,生活をしていると,今や身近に感じられる貧困,虐待,孤立という現代における課題をどう克服していくのか。毎年のようにやってくる災害への備え,この度発生した新型コロナウイルスへの対応,また,消費税10パーセントへの改定後の経済対策など,SDGsやレジリエンスのキーワードの下,本市もしっかりと取り組まなければなりません。 あわせて,後期計画の5年間の投資的経費総額は3,540億円で,その実績と見込みは3,672億円であり,132億円の増であります。そのうち一般財源は25億円の増加のみであり,おおむね計画どおりに推移していると見るべきです。ちなみに,来年度は,中央卸売市場第一市場や市庁舎整備,市立芸大移転整備,東北部クリーンセンター大規模改修などを計上しています。この間も,京都市美術館,南部クリーンセンター第二工場などについて事業を実施してきましたが,このような本市の大型公共事業が,一般会計の歳出の増加になり,結果として,特別の財源対策の額が拡大になったわけではありませんが,市民にとっていかに必要な施設であるかを伝え,必要以上に財政についての誤解や心配,不安を起こさせないように広報に取り組むべきであります。 来年度は,令和3年度からの京都市基本計画の新プランを策定するための最終年度になりますが,社会福祉費が増加傾向にあるうえで,より市民の命を守る使命を果たすことが重要になってきます。そのうえで,今後の投資的経費の必要性と,その事業効果の説明責任を果たさなければなりません。この二つの大きな歳出額を要する課題をどう克服する新プランにするのかをお尋ねします。 一般財源の収入については,本市市税,地方交付税,臨時財政対策債,府税交付金などを見込んでいます。主な市税は,市民税の個人分は1,170億円を見込み,9年連続増,法人分は259億円,税制改正に伴い昨年に比べ大幅に73億円減でありますが,固定資産税は1,094億円で,8年連続増,宿泊税は42億円であります。市税については,徴収額が好調であります。 一方,地方交付税,臨時財政対策債は,来年度は857億円,令和元年度の994億円から137億円減額,後期計画では,当初考えていた交付額よりも減額されており,国の財政も厳しい中,今後も本市が求める交付税額が措置されるか,大きな課題であります。地方交付税は,国が算定する基準財政需要額の計算方法など,地方から見ると課題があるなど,あくまで国基準で配分されるものであります。そして,その仕組みは,本市としての地方税収が増加すれば交付額が減額措置され,市税増収につき25パーセントの交付税が措置される仕組みです。 しかし,ますます市税である市民税や固定資産税の増収が今後も重要になってくることには変わりはありません。その中,企業誘致や雇用環境の充実による正社員化など,主な地方税が法人・個人市民税,固定資産税と限られている中,本市の雇用環境や用途規制などのまちづくりの在り方などを市民に分かりやすく示し,本市はより緻密な数値計画に取り組み,そして,都市格を上げ,新たな住民や企業を呼び込み,他都市に流出させない魅力ある京都をつくることが必要であります。 平成30年10月から,観光目的税で宿泊税が導入されましたが,本市への観光客や宿泊事業者に協力を求めるものであり,今後,市民に本市財政の状況を理解していただく努力をしながら,課税自主権による新税の導入の議論を進めなければなりません。観光行政について,市民生活との調和が課題でありますが,観光産業と言われるものを分類し,観光消費額の精査をし,入洛客5,275万人の経済効果を本市の税収増につなげるよう検討するべきです。いかがお考えですか。 人件費削減,事業見直し,資産の有効活用は,後期計画では,数値計画以上の実績と取組をしてきましたが,今後の新プラン策定では,この三つの主要課題は,収支不足改善のための引き続きの必須課題であります。人件費の削減は,少子高齢化で社会福祉費が増加傾向にある中,より丁寧な市民サービスが求められます。働き方改革の下,会計年度任用職員を含め,市職員が生き生きと働ける職場づくりに努めることを考えた上での実施を求めます。そのうえで,適正人員や新しい部・課の設置などに取り組むことが必要です。事業見直しは,その中身や予算額を効率化させてきましたが,今後は,その事業そのものの取捨選択が迫られます。住民サービスの低下を招くことが予想されますが,慎重に選択する必要があります。資産の有効活用は,大規模な本市所有土地などがなくなる状況の中,府市協調や国と連携し,より民間や住民の要望に応じた資産売却なども必要だと感じています。そこで,新プラン策定においてのこの三つの主要課題における財源確保の必要性と取組についてお尋ねします。いかがお考えですか。 次に,西京区における新たなモビリティ・サービスの充実について質疑します。歩くまち・京都における新たなモビリティ・サービスの活用は,自動運転の社会実験に向けた検討会議における6回にわたる議論の内容を取りまとめる予定であり,この活用は,令和元年度現在の視点で,20年後のまちの姿を見据えながら,今後の10年間の技術やサービスの進化を予想し,京都の課題解決やまちづくりに有効と考えられる未来に向けた技術や取組の方向性を示したものであります。 また,平成30年度,国土交通省先導的官民連携支援事業を活用した調査の結果が,昨年3月に報告されています。これは,都心部や観光地周辺における混雑対策力不足への対応や洛西ニュータウンやらくなん進都などの郊外部における公共交通の持続可能性の観点から,既存の枠組みに捉われない新たな都市交通システムについて調査したものであります。構想する次世代型PRT,パーソナルラピッドトランジットとは,米国のベンチャー企業が本市に構想提案してきたもので,多数の定員2名の電動小型車両が,車両間等で通信しながら専用通行帯で自動走行することにより,大きな輸送力を供給するとともに,需要に応じて輸送力を調整する仕組みであります。この調査では,新潟市のBRT,富山市のLRT,名古屋市のガイドウェイバス,大阪府のモノレール,東京都のゆりかもめ,本市の地下鉄と比較し,有人か無人か,ピーク時の輸送力,施設の建設場所の想定,4キロ当たりの整備コストなどにより比較検討されています。 そのうえで,次世代型PRTは,大量輸送が可能であること,整備が比較的安価であるという調査結果が報告され,有効な交通機能であると証明されました。その中,本市,周辺部である西京区は,本市地下鉄東西線の太秦天神川駅からの西伸は,多額の費用が掛かり,平成16年度の近畿地方交通審議会の答申では,中長期的に望まれる路線とされていながら,本市財政が厳しい中,建設が未実施であり,長年の本市としての課題であります。洛西ニュータウンを中心に洛西地域住民にとっては,交通網の充実は大きな課題であり続けています。その中,新たなモビリティ・サービスの充実は,大変喜ばしいことでありますが,今までもBRT,LRTについては,京都市会でも議論をしてきたところであります。この度の次世代型PRTやBRT,LRTについて,改めて周辺部における社会実験をするなどして,洛西地域を含めての西京区民の機運を高めるような丁寧な議論が必要であります。いかがお考えですか。 次に,市営住宅のストック有効活用について質疑いたします。京都市住宅マスタープランや京都市市営住宅ストック総合活用計画が令和3年度に新たに始まります。市営住宅は,セーフティネットの役割としての住宅を提供し,所得に比例して家賃が決められるものであります。エレベーターの設置,耐震改修,障害のある方,お年寄りの方に対応しやすくするなど,安心安全の観点の中で,市営住宅の建替えや改修を行ってきました。その中,市営住宅は全市で約2万3,000戸でありますが,本市での空き家率は約25パーセントと高いものになっています。八条団地においては,民間デベロッパーと組んで,民間マンションを造り,新規住民の入居を促すと同時に,洛西地域ではリノベーションを図り,若年世代が入居しやすくしたり,時代に応じた工夫をされています。 一方,そもそもお風呂が設置されていない住戸も数多く,現代の生活に対応していない昔からの課題も存在します。市営住宅の建設立地は郊外が多く,入居競争倍率は,駅近や新しい建物や単身者用は競争率が高くなるなど課題が散見されています。本市でも,急速な少子高齢化を迎える中,民間住宅を含めて,空き家率が高くなる傾向があり,セーフティネットとしての市営住宅の確保に当たっては,今までのストック計画で整備してきた完成物件も含めて,整備したことに固執せず,民間との連携も考えたうえで,空き住戸を含め,ストックの有効活用を図っていくことが重要と考えます。いかがですか。 最後に,今後の西京区洛西地域のまちづくりについて質疑します。洛西ニュータウンは,当時,計画人口を4万900人,計画戸数は1万900戸と想定していました。平成27年国勢調査によると,急速な少子高齢化を迎え,人口は現在2万2,899人であり,65歳以上の高齢化率37.3パーセントは,本市平均25.8パーセントより高い状況にあります。4小学校区で構成する洛西ニュータウンの1万869戸の居住環境の内訳は,UR3,052戸,府営住宅799戸,本市の市営住宅2,725戸,低層の分譲や戸建ては3,365戸,高層分譲は928戸であり,市営住宅が全体の25.1パーセントを占めています。また,戸建て住宅や分譲マンションは,京都市住宅供給公社が販売したものも数多い状況です。 現在の状況ですが,市営住宅の空き家率が約25パーセントと高い団地もあり,戸建て住宅は,都市計画により,敷地面積を広く取ることが規制されています。URが,全国的な位置付けの中でどう取り扱われるかは,本市も注視し,連携・提携する必要性があります。そのような状況で,今後想定する計画人口と住宅戸数の適正化や在り方についてどのようにお考えですか。 本市の京都市持続可能な都市構築プランでは,西京区,桂地域などについても本市全体での位置付けを示しています。また,洛西地域を管轄する洛西支所は,洛西地域の課題に特化して活躍される使命が期待されています。住民の意見や要望を反映させた平成19年のまちづくりビジョン,平成29年から4年間の計画であるアクションプログラム実施など,これまでに蓄積してきたものや今後の課題を抽出することを期待しています。そのうえで,洛西ニュータウンや大原野・大枝・桂坂を含めた洛西地域のそれぞれの長所を生かしながら,隣接している市町村のそれぞれの人口は,亀岡市は8万6,849人,向日市は5万6,397人,長岡京市は8万492人であり,広域連携をする視点でのまちづくりも必要であります。いかがお考えですか。 洛西地域及び周辺環境は,まちづくりビジョン策定以降,環境変化が生じています。自動車交通の要所となる,二外・大原野IC,沓掛IC,JR桂川駅,阪急洛西口駅の新駅開業,キリンビール京都工場の跡地開発によるイオンモール桂川開店。阪急京都線高架下利用の洛西口・桂駅間プロジェクトなど。最近では,洛西ニュータウン内の西陵中・福西小・竹の里小統合による小中一貫校創立のためのプラン作成や,市立芸大跡地については,サウンディング型調査により,跡地利活用について民間事業者の意見募集を開始しています。このような状況で,洛西地域やその周辺が変化を遂げてきました。この状況で再び,住民の皆さんの課題や要望を丁寧にお聴きし,政策実現のための議論や調査・研究をし,市民・行政・民間が緻密に連携できる新たな仕組みづくりが必要であると考えます。いかがお考えですか。 これで私の質疑を終わります。御清聴誠にありがとうございました。(拍手) ○議長(山本恵一) 門川市長。 〔門川市長登壇〕 ◎市長(門川大作) 天方浩之議員の御質問にお答えいたします。 今後の財政運営についてでございます。京プラン実施計画では,来年度特別の財源対策から脱却することを目標としておりましたが,国からの地方交付税の大幅な削減などにより,一般財源収入が実施計画策定時の見込みから133億円と大幅に減少したことが大きな重しとなり,特別の財源対策を講じざるを得ませんでした。市民の暮らしを将来にわたって守っていくためには,こうした特別の財源対策に頼る財政構造から早期に脱却する必要があると考えております。一方で,こうした厳しい財政の中にあっても,市民の暮らしを守るための予算はしっかりと確保しなければなりません。来年度は,誰一人取り残さない,貧困ゼロ,虐待ゼロ,孤立ゼロに向けた支援を充実させるほか,災害に備えた防災・減災対策予算も72億円,14パーセント増額し,572億円を確保しております。新型コロナウイルス感染症対策や景気の先行きリスクへの対応についても,府市協調で中小企業・地域企業をしっかりと支援してまいります。 また,中央市場,西京区総合庁舎整備等の公共投資事業も安心安全,地域の活性化,災害時の拠点等の観点から,市民にとって極めて重要な事業であります。社会福祉と公共投資,この双方を両立させるため,来年度策定する新たな基本計画・実施計画では,京都の強みを生かした経済の活性化が,市民の皆さんの安心と豊かさにつながり,それが税増収につながるという王道を歩むと同時に,更なる税外収入の確保,徹底した歳出改革,地方交付税の算定根拠の明確化と必要額の確保に向けた国への要望についても,これまで以上に強力に取り組んでまいります。 次に,洛西地域における公共交通についてでございます。京都は,我が国初の路面電車を走らせるなど,進取の気風あふれたまちであり,これまでからLRT・BRT等の新たな公共交通システムの効果や課題についても検討を重ねてきており,くわえまして,近年国内外で未来の交通システムの研究が進展していることから,米国スタートアップ企業の次世代型PRT構想の調査を実施し,その輸送力や整備費等についても有用な調査結果を得ております。市内中心部から西部・南部地域へとつながる京都市創造都市圏・環状ネットワークにつきましては,これらを踏まえ検討してまいります。 なお,洛西地域については,これまでから四つのバス事業者と鉄道事業者,京都市とで公共交通事業者のワーキンググループを機能させて,ニュータウンと主要駅を結ぶバスが1日に450回以上運行されるなど利便性の向上に努力してまいりました。当面の課題としまして,この鉄道と連接したバスネットワーク網が更に効率的・効果的に運用できるよう関係者と共に取り組んでまいります。このように既存の交通の利便性の向上と未来の交通システムを生かしたまちづくりについて,令和2年度に設置を御提案しております歩くまち・京都総合交通戦略審議会において活発に御議論いただき,様々な英知を結集して取組を推進してまいります。 次に,洛西地域のまちづくりについてでございます。洛西ニュータウンでは,人口減少や急速な高齢化等の社会的課題を克服し,将来の世代に受け継ぐ魅力あるまちづくりを目指すため,多くの住民参加の下に平成28年度から徹底した議論を重ね,具体的な活性化策を盛り込んだアクションプログラムを策定しました。現在,子育て支援や高齢者の居場所づくりなど,プログラムに基づく地域主体のまちづくりが活発に進められており,本市といたしましても,引き続きこうした熱心な活動を支援するとともに,令和2年度も洛西竹林公園内の子どもの楽園の整備やサイクリングによる観光プログラムの開発,大原野地域の活性化,中山石見線の道路整備など,洛西地域の魅力を高める取組を推進してまいります。 同時に,アクションプログラムの到達点を見極めながら,ニュータウンの取組を糧に,将来に向けた更なる課題である空き家対策や住宅団地の更なる魅力の向上の取組,洛西地域全体,西京区全体の活性化へつなげていくことが求められております。ニュータウンを洛西,さらに西京区全体の活性化へつなげてまいることが重要であります。今正に,新しい市の基本計画の策定と並行しまして,西京区におきましても,住民,事業者,学識者等が幅広く参画する区民会議におきまして,新たな区基本計画に向けた熱心な議論が積み重ねられております。西陵中学校区の小中一貫教育校創設に向けた取組をはじめ,芸大跡地を洛西地域はもとより,京都の西の玄関口として市全体の活性化に寄与するよう活用することや,向日市,長岡京市,亀岡市など隣接する都市との連携や交流を深めていくことなど,西京,洛西地域の未来を見据えた様々な御意見を丁寧にお聞きし,課題や希望を皆様で共有して,新しい区基本計画に位置付けてまいります。そしてその実現に向けて,皆様と共に全庁挙げて取り組んでまいります。 以下,副市長及び関係理事者が御答弁申し上げます。 ○議長(山本恵一) 鈴木副市長。 〔鈴木副市長登壇〕 ◎副市長(鈴木章一郎) 私からは,2点答弁申し上げます。 まず,税収の増加策についてでございます。本市の財政は,これまで以上に厳しい状況にあり,持続可能な財政を確立するためには,自主財源の根幹をなす市税収入の更なる確保が極めて重要であることは,天方議員御指摘のとおりでございます。税収の確保,担税力の強化に向けては,景観政策の骨格と活力あるまちづくりを両立させたうえで,新たな産業用地の創出に向けた取組やスタートアップ・エコシステムの形成などの経済政策を力強く推進してまいります。一方で,今後の財政運営を見通す令和3年度以降の中期財政見通しの作成に当たりましては,現行の財政見通しにおいて京プラン実施計画策定時の見込みから令和2年度の一般財源収入が133億円と大幅に減少したことも十分に踏まえ,取り組んでまいります。また,新たに設置いたします持続可能な行財政審議会においては,新税を含む課税自主権の活用も含め中長期的な視点で専門的見地からの議論に加え,本市の厳しい財政状況を市民の皆様と共有し,市民ぐるみの議論を深めてまいります。 次に,本市の魅力を生かした観光振興等を通じた税収増の取組についてでございます。観光は,宿泊業,運輸業,飲食業等にとどまらず,ものづくり,農林業,さらには文化・芸術や伝統産業に至る非常に裾野の広い総合産業であります。京都経済全体の活性化に寄与する観光の振興は,波及経路はかなり複雑かと思いますが,広く京都市の魅力向上を通じ,地域企業の活力向上や雇用の創出,ひいては宿泊税のほか固定資産税や市民税,あるいは新税など,税収の増加にもつながることから,今後とも市民生活を最重要視した観光都市・京都モデルの構築に強力に取り組み税収増につなげてまいります。 続きまして,行財政改革についてでございます。まず人件費の削減については,これまでから水準の高い行政サービスを提供するために,各職場の繁忙状況等も十分に考慮し,必要な部署には必要な人員を増員しつつ民間にできることは民間にを基本方針に,委託化,民営化などで効率化を進め,業務量の減少が確実に見込める部分について職員を削減しております。引き続き人工知能,いわゆるAIや定型的な作業を自動化するRPAの活用による職員の負担軽減などの働き方改革を更に進めながら,同時に効率的な執行体制の構築に取り組んでまいります。 次に,事業見直しについては,来年度におきましても,新規・充実事業等の立案に当たり,スクラップ・アンド・ビルドを徹底するほか,新たな寄付や協賛金の獲得,事業の自走化などにより,公費負担の軽減に取り組んでおります。次期の実施計画の策定に当たりましては,社会経済情勢の変化や事業効果も踏まえ総点検し,市民生活への影響を考慮しつつ,抜本的な見直しを進めてまいります。また,資産の有効活用につきましては,国や府とも連携を深め,施設の統廃合などによります資産の掘起こしを積極的に行い,引き続き貸付資産の売払いや資産有効活用市民等提案制度の活用を進めるなど,様々な手法を用いながら財源の確保に努めてまいります。今後,厳しい財政状況が続く中,来年度は,庁内の体制を強化するとともに,新たに設置いたします外部有識者会議での議論を踏まえ,改革を具体化させ,実施計画に盛り込んでまいります。私からは以上でございます。 ○議長(山本恵一) 鈴木都市計画局長。 〔鈴木都市計画局長登壇〕 ◎都市計画局長(鈴木知史) 住宅政策についてでございます。本市の市営住宅では,長期間の使用によって傷みが激しくなったことなどで再整備に多額の費用を要するといった事情のほか,浴室がないことから公募に適さないなどにより,一定の空き家があることは天方浩之議員御指摘のとおりでございます。しかしながら,これらの空家につきましても,セーフティネットとしての大切なストックとして有効に活用するために,国庫補助を活用し,子育て世帯向けにリノベーションした住戸として供給するなどの取組を実施しているところでございます。さらに今後は,高齢化社会を見据えたグループホームへの転用など,民間の活力も生かした更なる有効活用を検討してまいります。 洛西ニュータウンにおきましては,その活性化のため,地域ぐるみで策定したアクションプログラムに基づく地域主体の活動が活発に進められております。その中では,戸建住宅や集合住宅など,多様な住宅があるニュータウンの特性を生かし,居住者のライフサイクルに合わせて,お年寄りだけで住むには広すぎると感じるようになった戸建て住宅にお住いの方に,UR住宅への住み替えを支援するといった試みも始まっております。将来的な市営住宅団地の再生につきましても,より安心,快適に住み続けられる住環境の確保のため,民間の事例も踏まえて検討していくこととしており,URや府営住宅も含め,持続可能なニュータウンの在り方を見据えて検討を進めてまいります。 ○議長(山本恵一) 次に,小島信太郎議員に発言を許します。小島議員。 〔小島信太郎議員登壇(拍手)〕 ◆(小島信太郎議員) 民主・市民フォーラム京都市会議員団の小島信太郎です。会派を代表いたしまして,天方浩之議員と共に質問いたします。昨年4月に山科区民の皆様より信託を頂き,初当選を果たすことができましたこと,本2月市会において代表質疑の機会に恵まれましたことに改めて感謝申し上げますとともに,責任の重さを胸に刻むところです。 質問に先立ちまして,新型コロナウイルス感染症対策について要望します。市長選挙の終盤,市内初の感染者が確認され,門川大作京都市長の陣頭指揮の下,府市連携による迅速な対策が採られました。その後,京都マラソンも大きな混乱なく無事に開催することができるなど,この間の対応を会派として評価いたします。しかしながら,感染症対策は今が正念場であるとされ,予断を許さない段階にあります。昨日には,政府より,全国の小中学校,高校,特別支援学校を春休みまで臨時休校とするよう要請があり,生徒,保護者はもとより市民生活全体に対して重大な影響が懸念されます。本市における混乱が過大にならないよう,市民の冷静かつ的確な感染症対策の広報啓発,感染症の拡大防止と経済等への影響軽減に向けて,引き続き不断の取組を要望いたします。 初めに,地域コミュニティ,特に自治会・町内会の活性化について質問いたします。本年1月17日,阪神淡路大震災が発生してから四半世紀・25年の節目を迎えました。私は当時まだ8歳でありましたが,震災の恐ろしさは強烈な記憶として残っております。改めて,お亡くなりになられた方々に対して心より哀悼の意を表します。 阪神淡路大震災において,残念ながら命を失った方の4人のうち3人は,倒壊した建物や倒れた家具等による圧死でございました。一方で,同じく下敷きの被害にあった方で,一命を取り留めた方の実に77パーセントは,御家族もしくは御近所の方によって救助されたことが明らかになっております。災害の現場で大切な命を守る要として,地域コミュニティ,地域の絆が最も重要な役割を果たしたと言えます。これまで本市では,平成24年4月に施行した京都市地域コミュニティ活性化推進条例に基づき同年5月に計画を策定,地域コミュニティサポートセンターを設置するなど,自治会・町内会の活動支援に精力的に取り組んできました。しかしながら,全市の推計加入率は計画策定時の約70パーセントから,平成30年度には67.7パーセントと微減しており,数値目標として掲げた77パーセント達成から遠のいているのが現状です。 町内会のルーツは,戦前の隣組制度であると言われておりますが,当時の隣組に課せられていた主たる役割,すなわち住民同士の監視という役割は,もちろん現在には受け継がれておりません。自治会・町内会は行政の末端組織や下請ではなく,地域の自治組織として積極的な意識,姿勢で行政と協働し,みんながみんなのために活動し,共に受益し合う社会の理想を実現する最少単位のコミュニティであるべきです。本市として,令和という新しい時代,また,京都市地域コミュニティ活性化推進計画の次期改定を目前に控え,これからの時代に求められる自治会・町内会の在り方を市民と共に考え,自治会・町内会の活性化,加入促進に向けて,一層力強い支援を進めていかなくてはならないと考えます。 計画の策定以来,最も喜ばしい傾向の一つとして,転入者や未加入者に加入を呼び掛けている,と回答した自治会・町内会の割合は,平成26年度の調査の52.0パーセントから,平成30年には80.1パーセントと大幅に上昇していることが挙げられます。献身的な加入の呼掛けにより,新たな世帯の加入が進む一方で,正に門前払いで加入を断られた町内会長のお声など,地域では加入促進に苦慮する声もしばしば耳にするのも事実です。例えば,若い世代の情報源となるインターネット上には,様々自治会・町内会を批判・否定する辛辣な意見が多く存在しております。インターネット上に限らず,はびこる痛烈な否定論を払拭し,加入促進をすることは容易ではありません。 冒頭,災害時における地域コミュニティの重要性について申し上げました。本市では,これまで条例の施行,計画の策定,並びにアンケートの実施を通じて,地域コミュニティ,自治会・町内会について調査・研究を行ってきました。その成果として,自治会・町内会の魅力や機能,重要性,また,市民がどういった役割を求めているのか等について,改めて本市としての見解をお聞かせください。自治会・町内会に対する否定論を打ち消し,加入促進を支援するために明快な答弁を期待いたします。また,実際に加入の呼掛けをする際には,啓発チラシを利用するのが効果的です。各行政区,又は学区自治連合会が作成したチラシを用いるケースも多くありますが,本市として,自治会・町内会の加入促進の取組をバックアップするために,先の答弁の内容を盛り込み,今一度,より啓発効果の高いチラシの作成を検討すべきと考えますがいかがでしょうか。 自治会・町内会の加入率の増加を妨げている要因として,加入者の退会があります。これまでのアンケートから主な退会理由として,役員をやりたくないという理由が上げられています。加入促進を進めるうえで,町内会長はじめ班長もしくは組長など役員の負担軽減と,組織の効率化を考えていかなくてはなりません。役員の負担を嘆く声がある中で,空き家の増加,高齢化,未加入者の増加等により,役員のなり手が極僅かな世帯に限られ,毎年のように役員を担当しなければならず,年々住民が疲弊していく,いわば限界自治会・限界町内会が存在しております。存続が危ぶまれる状況からの打開策として,近隣の自治会・町内会との合併を検討するケースがありながら,実際に合併するには障害が立ちはだかります。とりわけ,これまで各会が積み立ててきた会費の取扱いが大きなハードルとなると言われております。自治会・町内会の合併における住民間だけでは解決しがたい課題に対して,住民が限界を迎える前に,本市として一定明確な提言ができるよう研究する必要があると考えますがいかがでしょうか。 地域の自治組織である自治会・町内会と行政をつなぎ,また唯一行政からの委託を受けて活動するのが市政協力委員です。これまで,ポスター掲示や回覧チラシについて負担軽減が取り組まれてきましたが,委託される活動の大部分を占めるのが市民しんぶんの配布であり,全市版と区民版の市民しんぶんを毎月二度にわたり各町内全世帯に配布することは,市政協力委員の大きな負担になっているのは間違いありません。行政と地域の架け橋である市政協力委員の活動に対する理解を深めるためにも,市民しんぶんの配布については,市民版と区民版の配布を一括で済ませられるよう発行時期を調整することや,市民版と区民版の発行回数を隔月にするなど,大幅な負担軽減に取り組むべきと考えますがいかがでしょうか。市政と地域コミュニティは,京都市の発展,地域の活性化を担う車の両輪です。自治会・町内会の活性化支援に向け,一層真剣な取組を願います。 次の質問に移ります。2月9日の毎日新聞紙面に,少子化対策として将来的に児童手当を拡充し,第1子に月1万円,第2子に3万円,第3子には6万円,つまり子供が3人いる家庭には計10万円支給するというアイデアが政府内に浮上したという記事が掲載されました。現在の児童手当の給付総額を大きく上回る財源を必要とするなど実現性の有無や,そもそもの政策の是非は別といたしまして,2019年に生まれた子供の数が統計開始以来最少の推計89万400人と落ち込む中,異次元の子育て支援政策が必要であるという認識が広がることを期待いたします。 本市では,子育て環境日本一を掲げ,国定義の待機児童ゼロの継続に向け,次年度の予算案には令和2年度4月の242人の受入枠の拡大,さらに令和3年度以降に400人分の受入枠の拡大に向けて,保育所等を整備すべく10億1,900万円の予算を計上するほか,深刻化する保育士確保事業の充実,これまでから50億円の一般財源投入により,国基準の1.33倍の保育士の配置,全国平均の1.34倍の処遇改善を実現するなど,厳しい財政状況の中でも子育て環境の充実に注力をしてきました。 自治体における子育て支援は,単に出生数,出生率の増減につながるだけでなく,子育て世代の転入,転出に大きく影響します。各自治体において子育て支援が積極的に取り組まれる中,これから親元を離れ,結婚して子育てをする若い世代は,近隣自治体の子育て環境を注視し,定住地を選択しています。結果として,子育て支援に手厚い自治体は若い世代の転入が増え,子供の数が増え,将来にわたる好循環が期待できる一方で,子育て支援が薄い自治体は若い世代が転出し,子供が減り,現役世代が加速度的に減り続けるという悪循環に陥ります。子育て支援の在り方で自治体の将来は正反対の道筋をたどるといっても過言ではありません。 異次元の子育て支援が求められる中,本市においても徹底した取組が必要です。しかしながら,本市の子育て環境における最たる課題は,子育て支援に掛ける財源,また待機児童ゼロの継続をはじめとする大きな成果に対して,市内外における評価が伴っていないことだと考えております。京都で子育てをしたいと思ってもらえる環境を整えることはもちろん,市内はもとより市外の子育て世代から評価されることによって初めて,子育て政策は京都市の成長戦略となり得ます。予算に見合った子育て支援に対する評価を得られるよう,情報発信に努めていかなくてはなりません。名も実も伴った子育て環境日本一に向け,あらゆる情報発信の方法を検討する覚悟が必要と考えますがいかがでしょうか。 また,本市の子育て環境を発信する上で,京都ならではの魅力ある支援や特典を設けることで,子育て世代の目を本市に向けることはできないでしょうか。9月市会では,大阪・池田市の子育て特典を紹介しました。第3子が生まれた世帯には,池田市内に本社をおくダイハツ工業の協力の下,1年間無償で自動車をリースするというものです。子育て家庭にとって嬉しい支援であることはもちろん,ダイハツ工業にとっても自社製品をPRすることができ,双方に一定の利益がある支援形態であるといえます。 本市で子育てをする魅力を発信するため,ふるさと納税の返礼品としても注目される京焼・清水焼をはじめとする伝統工芸,市内に拠点を置く企業や大学,さらには社寺仏閣等と,一定ウィン・ウィンの関係の下,連携し,本市ならでは子育て支援・特典の実施を検討するべきと考えますがいかがでしょうか。あれをやりました,これをやりましたというようなアピールというものは,私自身の政治信条には合ってはおりませんが,本市として本市の将来を考えるうえで悠長なことは言っておられません。全力で子育て支援の環境,また子育て支援の充実に向けてアピールを含めて取り組むことを要望いたします。 次に,子育て環境日本一を目指す本市として,児童虐待の防止に取り組んでいかなくてはなりません。我が会派においては,児童虐待への対応強化について予算要望に盛り込み,児童相談所の体制強化や警察等関係機関との連携について強く要望してきました。本市では,これまでの取組に加え,令和元年度には,児童相談所,並びに各区役所・支所における大幅な体制強化が図られるとともに,令和2年度には,警察や近隣住民が寄せる通告への対応を専任で担う職員を新たに配置するなど,児童相談所の体制強化並びに関係機関との連携強化に取り組んできました。 一方で,この間,全国で発生した児童虐待事件への関心や啓発活動の効果により,平成26年から平成30年の4年間で,児童虐待の相談・通告件数はおよそ1.55倍,認定件数は1.75倍に急増しており,それに伴い児童相談所の業務は増え続けております。常に現場の声を聞きながら,業務量の増加に体制強化が追い付いているのか,児童相談所が適切に運営されているのか,絶えず多方面から検証する必要があると考えます。本市として,種々の児童相談所並びに関係機関の体制強化策の効果の検証,並びに児童相談所の運営の評価について今後どのように取り組んでいく必要があると考えていますか,お答えください。 令和2年4月には,しつけを名目とした体罰の禁止や,児童相談所の機能強化策が盛り込まれた改正児童虐待防止法が適用されます。改正法では,児童相談所は虐待した保護者に対して医学的,心理学的指導を行うよう努めるとされております。本市児童相談所では,これまで虐待を行った保護者に対して,児童福祉司の専門性を高めるための研修を実施する,また,虐待をした保護者の支援プログラムについて専門性を持った外部団体に委託をするなど,虐待の再発防止に努めてきました。 しかしながら,2017年の国際NGO団体の調査では,約6割の日本人がある程度の体罰を容認しているということが明らかになっており,あくまでしつけであり,体罰であると主張する保護者が,虐待を繰り返さないよう支援を行うことは容易ではありません。専門的かつ効果的な虐待再発防止に向けた対策,支援プログラムが必要と考えられます。法改正に伴う,これまで,また今後の本市における虐待した親に対する支援の方針についてお聞かせください。全国的に虐待の認定件数は増加している中,死亡事件など危険な虐待は減少傾向にあるとされています。しかし,本市の宝である子供の命は,誰一人奪われることを許してはなりません。今後とも,虐待の防止に向け,全力の取組を期待し,切に願います。 最後に,山科区における要望をいたします。これまでから,バス利用環境において,市バス運行エリアと山科をはじめとする民間バス運行エリアにおいて格差が生じていることが課題とされてきました。まず,バス待ち環境について,これまで民間バス事業者との協議の下,一定整備が進められてきたところでありますが,周辺バス停留所との格差など,今なお区民からの相談,要望は尽きず,バス待ち環境の一層の整備拡充のため,本市の支援を求めてまいります。 また,9月市会の市長総括においても求めてきました,京阪バス308系統西本願寺清水寺ラインの京都駅周辺におけるバス停留所をはじめ,市バスとの停留所の共同利用促進についても,バス利用者である市民の利便性向上のため,引き続き前向きな協議を求めます。 さらに,昨日の富きくお議員の質問でもございましたが,盛んな地域主体のモビリティ・マネジメントが大臣表彰の受賞に結び付いた鏡山地域循環系統バスをはじめ,くるり山科,小金塚地域循環バスの3路線について実証運行から本格運行への移行,そして増便要請に対する検討など,一層の取組を求めます。民間バス運行エリアの交通利便性の向上に向け,本市の献身的な連携,支援を要望し,質疑を締めくくります。御清聴ありがとうございました。(拍手) ○議長(山本恵一) 門川市長。 〔門川市長登壇〕 ◎市長(門川大作) 小島信太郎議員の御質問にお答えいたします。 子育て支援についてでございます。本市では,子育て支援を市政の最重要施策の一つに掲げ,子供や若者を社会の宝として地域と一緒に健やかで心豊かに育むことを共通規範とする京都はぐくみ憲章の下に,多くの市民,子育て関係者の皆様の御協力を得て,様々な施策を展開してきました。その結果,年度当初で,保育所は国基準で6年連続,学童クラブ事業は8年連続で待機児童ゼロを達成したほか,全国学力テストにおいて政令市でトップクラスの成績を収めるなど,本市の子育て環境は高い評価を頂いているところであります。多くの子育て世代の方々を京都に呼び込むためにも,こうした全国トップレベルの子育て環境をしっかりとPRしていく必要があります。これまでから,市内の子育て世帯向けの情報発信として京都はぐくみアプリ等を通じて,子育て支援情報の発信を行うとともに,市外に向けましても,私自身が出席したシティセールスの場等をはじめとしまして,京都移住サポートセンター京都などにおいて積極的なPRに努めてきました。今後とも,京都に住みたい,住み続けたい,子育てしたいと市内外の子育て世代に感じていただくために,引き続きあらゆる場面,媒体を通した情報発信に取り組んでまいります。 次に,市内の大学,企業等と連携した京都らしい子育て支援についてでございます。これまで看護系大学等での妊産婦等福祉避難所の事前指定や幅広い大学生等の学生ボランティアによる学習支援,さらには児童館等における文化芸術・社会体験事業等,本市の特色である大学・学生さん・文化芸術と連携した子育て支援を推進してまいりました。さらに,本市の働き掛けに呼応して,文化体験や絵本等の寄贈等,市内の企業,社寺など有志の方から年間200件にも及ぶ支援を頂いております。子供たちや子育て家庭に大変喜んでいただいております。引き続き,市内の大学や企業等と緊密な連携を図りながら,京都ならではの子育て支援を推進してまいります。 次に,児童虐待の防止についてでございます。児童虐待を根絶し,掛け替えのない命を徹底的に守り抜く。私はこの考えの下に,市長就任以来,児童相談所の児童福祉司を全国トップレベルに配置とするとともに,昨年4月には,地域の子育て支援の拠点である区役所・支所の子どもはぐくみ室に24名,児童相談所に5名の計29名の職員を増員するなど,市政の最重点事項の一つとして取組を進めてまいりました。一方,社会的な認知度の向上や面前でのDV等も虐待の対象となったこと等により,全国的に児童虐待の相談通告件数は増加傾向にございます。しかし,このような状況だからこそ,私はあえて今回児童虐待ゼロへの挑戦を掲げ,その実現に向けて全力で取り組んでいく,そうした決意を新たにいたしております。 このため,来年度からここ数年急増する警察からの通告等に対応するスタッフを児童相談所に新たに6名配置し,早期発見・早期対応に向けて一層の体制強化を図ります。加えまして,一時的に支援の必要な子供を御家庭で預かっていただく養育里親の更なる推進を図るため,児童相談所を養育里親の募集から里親委託後の相談支援までを包括的に行う機関として位置付けまして,新たに当該業務を行う職員を専任で配置するなど社会全体で子供を支えていく取組を強化してまいります。こうした取組を継続的に充実していくためには,専門的な観点からの検証が重要であることから,既にある児童相談所の第三者評価制度等において,医師や弁護士,学識者等による取組事例の検証を行うなど,より実効性があるものとなるよう取り組んでまいります。 次に,児童虐待を行った保護者に対しましては,児童相談所において心理療法の手法を盛り込んだ支援プログラム等を活用し指導を行うとともに,最も身近な相談・支援機関であります区役所等の子どもはぐくみ室においてしっかりと寄り添い,丁寧な支援を行っております。一方で,子供の掛け替えのない命を守るためには,いかなる状況であってもき然とした対応が重要であります。そのため子供が危険にさらされる場合には,何よりも優先して子供の安全を確保する,そのために警察とも連携しながら,ちゅうちょすることなく一時保護等を行い,そのうえで保護者支援等必要な支援に取り組んでまいります。引き続き,決意を新たに子供の安心安全を第一に据えながら,児童虐待ゼロの実現に向けて取り組んでまいります。 以下,副市長及び関係理事者が御答弁申し上げます。 ○議長(山本恵一) 村上副市長。 〔村上副市長登壇〕 ◎副市長(村上圭子) 私からは,自治会・町内会の活性化についてお答え申し上げます。京都では,自分たちのまちは自分たちで守るという自治の伝統が受け継がれており,一昨年の台風豪雨など度重なる災害により多くの被害が発生しましたが,尊い命は守られました。これは本市の防災・減災対策としてのハードの取組と,地域における声掛けをはじめとするソフトの取組の緊密な連携による成果であり,大きな力を発揮していただいた地域の皆様に改めて心より敬意を表します。地域において住民同士の関わりが増えることは,子育てのしやすさや高齢者の住みやすさの向上,犯罪などへの不安感の減少にもつながるとのアンケート分析結果が出ており,安心安全なまちづくりに地域コミュニティが果たす役割は大変重要であります。その活動の基礎である自治会・町内会の多くが抱える高齢化や担い手不足などの課題に対応するため,本市では,地域コミュニティ活性化推進条例を制定し,自治会・町内会の運営や活性化の相談に応じる地域コミュニティサポートセンターの設置・運営のほか,チラシやハンドブックなどを活用した啓発にも取り組んでおり,先ほどのアンケート分析結果につきましても,これを掲載したリーフレットの全戸回覧を行ったところ,地域の役員の方からは,加入の意義やメリットを説明しやすくなったなどといったお声を頂いております。小島議員の御提案も踏まえ,加入の意義などを分かりやすくお伝えできるよう,地域活動ハンドブックの改訂を進めるとともに,例えば行事を見直して役員の負担軽減を図った事例など,参考になる情報を紹介するなど,地域コミュニティサポートセンターにおいて個々の地域の実情に応じた支援を行ってまいります。現在,京都市地域コミュニティ活性化推進計画の改定に向け,誰もが自治会・町内会活動に参加しやすくなる方策などについて議論を重ねているところであり,今後とも京都が誇る地域力を未来に引き継いでいくべくしっかりと取り組んでまいります。私からは以上でございます。 ○議長(山本恵一) 藤原総合企画局長。 〔藤原総合企画局長登壇〕 ◎総合企画局長(藤原正行) 市民しんぶんの配布についてでございます。市民しんぶんは,福祉・子育て・教育や各種行事のお知らせなど,市民生活に欠かせない情報を数多く掲載し,市政協力委員の皆様を通じて各世帯に届けられているところでございます。令和元年度の市政総合アンケートでは,市民の約7割の方々が市民しんぶんから市政情報を得ている,と御回答いただいており,市民しんぶんは市民の皆様にとりましても,最も身近で重要な京都市の広報媒体となっております。また,全ての区共通の内容を掲載する全市版を毎月1日に,各区に特化した内容を掲載する区版を毎月15日に発行することで,タイムリーな情報発信にも努めておるところでございます。市民ニーズが非常に多様化する中,このようにきめ細かく情報を発信する重要性は,今日ますます高まってきていると認識をいたしております。市民しんぶんの配布回数を減らしますと,必要な時期に必要な情報をお届けすることが困難となってまいります。市政協力委員の皆様におかれては,市政の広聴業務等を担っていただくとともに,自治会・町内会と密接に関わっていただきながら,日頃から地域の方々へのお声掛けや顔の見える関係の醸成など,地域コミュニティの活性化にも重要な役割を果たしていただいているところでございます。市政協力委員の皆様の負担軽減につきましては,これまでから印刷物を減らす工夫,配布時期の統一など様々な対応をしてまいりましたが,今後も市政協力委員の皆様の御意見もしっかり踏まえながら引き続き検討してまいりたいと存じております。以上でございます。 ○議長(山本恵一) 次に,宇佐美賢一議員に発言を許します。宇佐美議員。 〔宇佐美賢一議員登壇(拍手)〕 ◆(宇佐美賢一議員) 日本維新の会市議団左京区選出の宇佐美賢一です。会派を代表し,この後に登壇します同僚の菅谷浩平議員と共に門川市長へ令和2年度予算案及び関連議案に対し質疑いたします。 門川市政4期目のスタートとなるこの代表質疑でありますが,それぞれ市民に直接選ばれた市長と議会の二元代表制の下,緊張感を持って,今を生きる市民のため,将来を担う子供たちのため,京都,日本,そして世界の人々の未来のため,前向きで建設的な議論を行ってまいりたいと思います。市長におかれては,市民に分かりやすい明確な御答弁をよろしくお願い申し上げます。 質問に入る前に一言申し添えます。新型コロナウイルス感染症に関し,市民の安全安心な暮らしのために,既に本市においても多方面にわたり鋭意御対応いただいているところと存じますが,感染症の拡大防止はもちろん学校など子供に関わる事業,観光にとどまらず企業活動全般に影響が出ている現状を十分に把握し,特に子供の居場所づくりについて,学童クラブ事業などは子供が過密な地域もありますので,必要があれば学校施設の臨時的活動なども含め臨機応変に御対応をよろしくお願いいたします。 さて,選挙戦前の9月定例会の市長総括質疑において,私は12年間の門川市政の行財政改革について,様々な面で改革が進み,財政改善は一定進むも他都市に比べて改善スピードに遅れがあると指摘をさせていただき,市長は,いよいよスピードアップのときであると答弁されました。また,選挙戦において,今までの継続ではないチャレンジだとの意気込みと共に,財政再建について言及をされていらっしゃいました。そこで,まずお尋ねしたいのは,市長は政治家として何をもって財政再建とされるのかというゴールと,その覚悟についてであります。今回の令和2年度の予算編成において,一般会計で収支が合わずに特別の財源対策を193億円計上,そのうち将来世代の資金を先食いする公債償還基金の取崩しが119億円,また過去に発行したことのない調整債を23億円緊急避難的に発行するといったように,一般会計が危機的状況です。国が返済に責任を持つ臨時財政対策債を除いた一般会計の実質借金残高も増える計画です。 また,令和元年度の補正予算も提案されていますが,こちらも公債償還基金を21億8,000万円取り崩し,さらに予備費の財政調整基金もゼロになる。一般会計は,正にすっからかんと言ってもいいでしょう。これだけ見たら,選挙戦で門川市長が言及されていた財政再建というフレーズは一体何だったのだと市民の皆さんに思われてしまうのではないですか。確かに,市民税収が堅調に増加しているのにもかかわらず,それ以上に国から下りてくる交付税が減る,国の税制改正で今まで京都市が収入してきた法人税の一部ががっぽり国に召し上げられるなどの要素が大きいとはいえ,それも国の財政悪化を考えれば想像できていたことであって,だからこそ,国が返済に責任を持つという臨時財政対策債以外の市債残高を減らす,収入を増やす,組織改革を行うなどの対策を他の政令市はスピード感をもって行ってきたのではないですか。縮み志向にならないとおっしゃいますが,他の大都市もこの間,別に縮み志向になっているとは思えません。まず,市長のおっしゃる財政再建とは何を示すのか,特別の財源対策の脱却だけなのかどうか,どういった財政の状態を目指すのか,具体的な数値を持ってお示しください。 また,何よりそれはいつまでに行うのですか。目標を明確にしなければ組織は動きません。市長がおっしゃるチャレンジ,政治家としての具体的な方向性,ゴールを市民にお示しください。また,それを断行する決意について,今まで12年間続けられてきた市長の報酬2割カット,これは今後どうされるのか。この厳しい状況を乗り切るための政治姿勢をどう示されるのか。また,万が一乗り切れなかったとき,どうされるのか。1期4年で3,400万円の退職金の取扱いも含め,テレビの前の市民に政治姿勢を明確にお示しください。 次に,厳しい財政への対応策を検討するため,市長が設置される行財政改革のための財政有識者会議についてお伺いします。我々はこの財政有識者会議に市長の政治姿勢が表れると考えます。チャレンジか,それとも従来の延長か,いずれでしょうか。 まず第一に,審議の幅についてです。一般会計が厳しいことは先ほども述べたとおりではありますが,中身を見ていますと,別会計である地下鉄の過去の赤字もいまだそこに影響しています。地下鉄の赤字を一般会計で穴埋めし,その際に一般会計で借金した残高が,まだ約800億円あり,その毎年の返済額がピークを迎えつつあります。今年度も約36億円も一般会計から支出されます。もちろん地下鉄が最悪の赤字状況下での政治判断として一般会計で赤字を引き受けたわけですが,この返済は2047年まで30年近く一般会計を圧迫し続けます。地下鉄側の会計で払ってもらえれば助かりますが,地下鉄本体も有利子負債が3,677億円と依然全国一厳しい状況であります。縦横のたった二本の路線しかない地下鉄で,今後更に打ち手はどうするのか,これも重要な財政の課題です。このように,一般会計はもちろん,連結の全会計にしっかりメスを入れていただきたいし,その際には,議論の制約を設けず,地下鉄に限らず公営企業の経営形態についても,例えば独立行政法人のようなものがいいのか,市が全額出資する株式会社化する方が良いのか,今の経営規模のままでいいのか,合併すべきものはないかなども検討していただきたい。もっと言えば,府と市の関係の中で協調して改善ができるものはないのか。そこまで幅をもった議論をしていただきたいと考えます。 第二に,具体的な項目です。新税と敬老パスの議論は欠かせないと考えます。税については,複数の家屋を持っていて空き家になっているケースは,例えば住民票の登録がなければ持ち家促進のための固定資産税の軽減税率を適用しない。他府県の住民ならば課税等の負担を強化するなどを行い,税収等と,その結果,住宅流通量も増加させ,若い世代を含む定住人口の増加も併せて目指してはいかがですか。また,世界遺産を訪れる人に御負担を更に求めることはできないか。例えばこういった新税また新しい負担金・分担金の検討を聖域なく検討していただきたいと考えます。 また,敬老パスについても,予算が約50億円まで膨らんでいます。市民の目線,若い世代の目線でいえば,大学生の地下鉄の通学定期券は全国一割高であるのに,御高齢者は例えばパスの交付が一番多い年間3,000円負担の方は,月に250円でバスも地下鉄も乗り放題。その分の乗った運賃は無料ではなく税金で支払われる仕組みです。御高齢者間でも,お住まいの場所によってパスを使えない,使いづらいなどの政策効果の偏りも指摘されています。子供たちのため,次の世代のためにも御負担の在り方を見直し,一定の痛みを分かち合うことには御理解いただけるのではないでしょうか。市長,新税と敬老パスは御審議いただけるのでしょうか,お答えください。 三つ目に,人材登用についてお伺いいたします。是非人事にもチャレンジして執行機関の中心に新しい風を入れていただきたいと思います。副市長か局長か,はたまた特別顧問の設置か,それは問いませんが,今までとまったく違う感覚で,新しい人材を責任ある立場に登用いただいてはいかがですか。新しいチャレンジをするときに,組織が変に落ち着いてしまっていてはいけません。門川市長はオール京都でとおっしゃいますが,ある意味で私はそのとおりと思います。ベッドタウンのような小さな町で行政課題が限られているところでは,リーダー一人で何かを変えられるのかもしれませんが,この京都のように幅広い重層的な構造を持つ都市で,更に世界へ発信していこうというときに,どれだけ同じ志を持つ仲間が集まり,力を合わせるかは大事なことであります。幾ら有識者会議で良い答申があっても,具体的に執行できなければなりません。人が変われば,見える景色も変わるでしょう。文化面や経営面で新しい力をお借りしてはいかがですか。京都にはふさわしい人材が豊富にいらっしゃるでしょう。市長のお考えをお聞かせください。 さて,2020東京オリンピック・パラリンピック,2025年は大阪・関西万博と世界から日本が注目される機会がやってきます。この機会を,京都市はどう生かすのでしょうか。世界はGAFAと呼ばれる多国籍企業が席巻する社会になってきました。ただ,GAFAでもそのままでは扱えないものがあります。それは固有の精神文化であり,伝統であり,場所です。京都は,自然と調和を大切にし,世界中から異なる文化を受け入れながら,時代を超えて発展してきました。京都の精神は,今,世界的に注目されているSDGsの精神にも通じるものであります。京都のコピーは作り出せても,京都そのものはここにしかありません。東京や大阪も京都にはなれません。私は維新政治塾1期生ですが,故堺屋太一先生のお話の中で,官僚が主導してきた中央集権の金太郎飴的なまちづくりを終え,それぞれの地方の特徴を生かした楽しいまちづくりをしようというような提唱をされていました。維新は地方のことは地方で決める,地方が自立すると言います。それはグローバル社会の中で地方が生き生きと栄え伸びるためであります。その栄え伸びる自治体の最有力なまちが京都であると思いますが,外国人観光客が増えてきている中で,京都が横着になっていないかと懸念しています。京都に来てみたいと,わざわざ少なからぬお金と時間を費やして来た人々に対して,公害と広言する風潮も広がってきています。世界文化自由都市宣言や市民憲章から見ても,こういった風潮には慎重に対処するべきであると考えます。 確かに,外国人の急増や宿泊施設の急増で摩擦が広まっていることは事実です。しかし,どちらかというと向こうも戸惑っているのではないでしょうか。ごみ箱もない,たばこもどこで吸えばいいか分からない,日本のマナーも分からない,宿泊する場所は予約したらそこだった。せっかく,世界から注目される機会であるわけですから,この際,京都市民がそれぞれの立場で大事に思うことを改めて考え直すとともに,相手に伝えていくことが今後大事ではないでしょうか。それも単に禁止や注意をするだけでない。幅広い意味で,培ってきた文化,新たな文化を伝える。若者にも積極的に担ってもらう。京都の1000年の歴史には輝く部分もあれば,厳しく辛い部分もあります。ただ,京都はその過去を更地にしてしまうのではなく,まちのあちらこちらに,人々の心に刻みつつ進歩してきたまちです。その深みもまた京都の良さの一つであると思います。 市長は,京都駅東部に新しい京都のシンボルゾーンをつくろうとされています。崇仁地域に市立芸大を移転させる。では,そこで,市長は一言で言えば何を発信されようとしていますか。文化ですか。文化や1000年の都は一般的な言葉であって,日本国民には一定通じても外国人にはどうでしょう。私は,京都が培ってきた歴史・文化・生活様式・環境への配慮は,平和で文化的な社会を望む世界の人々の光になると思います。昭和26年に制定された京都市歌にも歌われるひかりの都,我が京都。そこに魅力を見出し,人々が引き寄せられる。私は自信を持ってひかりの都を世界に発信していってはどうかと思います。世界で敬意をもって京都が語られるようになれば,世界が変わり,自然と摩擦も減り,そして京都の人口も減らないのではないでしょうか。また,その発信のためにも,万博の際には芸大の一部など東部エリアに京都の新しい玄関口としての啓発・広報機能を持った施設を置いてはいかがですか。京都はどこに向かうのか,世界に何を発信するのか,その広報施設のことも含め,市長のお考えをお聞かせください。 質問項目の最後は,中学校の給食についてです。我々維新は,中学校においても温かい全員給食の実施をと提言してきました。大阪市においては維新の吉村市長,現在は大阪府知事ですが,温かい全員給食を4年の任期中,全ての中学校で実現すると公約し,達成されるようです。そのうえで,まず丁寧な議論が大事と考え,京都市での実態調査を求めてまいりました。 さて,現在,本市では選択制の中学校給食が実施されていますが,一部の小中一貫校では全員制給食が実施されています。今年度,選択制給食を実施している学校の生徒・保護者には食の調査が実施されました。このこと自体は評価できます。しかし,なぜ,全員制給食の中学生の実態調査をしないのでしょうか。これでは政策比較ができません。この調査の実施に先立ち,我々維新市議団では,全員制の学校も調査対象にするよう求める申入書を教育長へ提出しましたが,そのまま調査が実施されてしまい遺憾であります。選挙戦の最中,門川市長は1パーセントの声も聴くとおっしゃっていたようです。全員制給食を食べている中学生の生徒数は,この10年で3パーセントに増えました。その子供たちの声,保護者の声は今一体どうなのか,追加で調査を行ってください。そのうえで,保護者や有識者を加えた中学生の給食の在り方を検討する審議会を設置して,今の時代に即した給食の在り方を再検討してください。いかがでしょうか。お答えください。 次に,要望させていただきます。幾度となく要望しておりますが,長期未開園のままとなっている公園予定地の早期整備着手をお願いします。私の地元の松賀茂公園については,ただでさえ公園が少ない中で,設備も老朽化しており,子供たちが安心して遊べる環境を望む声,正直言って見苦しい未整備部分の改善を求める声,これ以上放置しないようにしていただきたい。また,同じく宝が池公園については,子供たちのスポーツに大勢が訪れる場所であり,より伸び伸びとしたスペースの確保のため,また妙法の送り火で注目をされる山の健全な管理のためにも,全面開園に向けた取組をしていただけますよう改めて強く要望いたします。 最後になりますが,本年はお隣の大阪で,いわゆる大阪都構想の住民投票が実施される見込みです。その是非は大阪の皆様が決めることですが,様々な面で地方政治に関心と注目の集まる年になるでしょう。この地方政治に関心が高まる機に,門川市長におかれましては,京都ならではのやり方で,今私が申し上げましたような課題意識に基づいた大きな前向きなチャレンジをされることを期待申し上げ,私の代表質疑を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手) ○議長(山本恵一) 門川市長。 〔門川市長登壇〕 ◎市長(門川大作) 宇佐美賢一議員の御質問にお答えいたします。 財政再建についてでございます。私が市長に就任した当初,危機的な経営状態にあった地下鉄の経営健全化の柱の一つとして,10年間で1日5万人の増客を目標に設定しましたが,周りからは達成不可能と言われましたが,市民の皆様の御協力の下,全職員の力を結集して当初の目標を2年前倒しで達成し,この10年間では7万人の増客となりました。そして,先日の選挙においては,財政の健全化も争点となり,その中で私は,未来に責任を持ち,持続可能な財政を作ることを市民の皆様とお約束し,信任を頂きました。政治家として,お約束したことについては必ず実現いたします。財政再建とは,特別の財源対策から脱却し,市民の皆様の暮らしを守るために,福祉予算など増え続ける行政ニーズを見極めつつ,必要な財源を税収や地方交付税等の財源の増加で賄い,長期的に持続可能な財政を確立することであります。そのために,力強い経済を実現し,市民の皆様の豊かさ,税収の増加につなげていくと同時に,民間資金,資産の有効活用等の税外収入の確保や,人件費などの歳出見直しも断行してまいります。あわせて,国に対しまして,地方交付税等の必要額及び予見可能性の確保を強く要望してまいります。 一方で,市政運営に責任を持つ市長として,今後の経済状況が極めて不透明な中,根拠のない数値目標をスローガンのように掲げるわけにはいきません。当選後,直ちに特別の財源対策の脱却に向けた目標を明らかにするために,令和3年度以降の中期財政見通しを作成するように指示いたしました。経済の先行き等が極めて不透明な中で極めて困難な取組ではありますけど,この見直しは来年度の早期に公表いたします。また,先ほど申し上げた税収増加,税外収入の確保,歳出見直しの具体的な数字を外部有識者会議の議論も踏まえて固め,次期基本計画の実施計画において明確にしてまいります。 以下,副市長及び関係理事者が御答弁申し上げます。 ○議長(山本恵一) 岡田副市長。 〔岡田副市長登壇〕 ◎副市長(岡田憲和) 私からは2点御答弁申し上げます。 まず,人材登用についてでございます。本市では,あらゆる施策の企画・立案の段階から,市民の皆様と共に汗する共汗により,京都が誇る市民の皆様,事業者の皆様などの英知を結集して,質の高い施策事業に取り組んでまいりました。また,これまでから専門委員でありますとか二条城特別顧問,美術館長,歴史資料館館長などに高度な学識経験を有する専門家の方や文化人の方を登用するとともに,行政での業務経験では得難い高度な専門的知識などが求められる職につきましては民間人を登用するなど,外部の知見や視点等を取り入れ,執行力の強化につなげてきたところでございます。加えまして,組織の執行力やそれを支える職員力を高めるためには,職員が民間から大いに学び,経営感覚や文化力を養うことも重要でありますことから,著名な経営者や文化人を講師に招いた研修や民間企業等への派遣,実行委員会形式による事業者と本市が協働で行う取組への職員の参画等に積極的に取り組んでいるところでございます。今後とも,審議会等での外部の知見や経験も積極的に取り入れつつ,未来の京都のために挑戦と改革に取り組む市役所づくりに努めてまいります。 次に,京都駅東部エリアについてでございます。京都は,千年以上にわたって都が置かれてきた悠久の歴史の中で,多様な文化を交流させ,伝統の継承と創造を繰り返しながら,文化の重層性を育んでまいりました。本市では,こうした京都の都市特性の下,京都市立芸術大学の崇仁地域への移転を見据え,その周辺を文化芸術で活性化していくため,昨年3月,京都駅東部エリア活性化将来構想を策定いたしました。この将来構想の実現に向けまして,大学の周辺では若き芸術家や起業家の活動を支援することにより,文化芸術とサイエンス,テクノロジーを融合するとともに,国内外からの新たな人の流れを生み出すなど,文化芸術とまちの共生に取り組んでまいります。令和7年度の大阪・関西万博の開催は,文化芸術,歴史,食文化,人々の暮らしの文化など,多面的で奥深い京都の魅力を世界の人々に実感いただく絶好の機会であり,こうした魅力は京都を挙げて発信していくことが必要であると考えております。そうした中で,京都駅東部エリアにおいては,文化芸術都市・京都の新たなシンボルゾーンとして文化芸術を創造し,産業等も融合し,多くの人々を引き付け,新たな価値を生み出し続ける京都の姿をしっかりと発信できるよう工夫をしてまいりたいと考えております。私からは以上でございます。 ○議長(山本恵一) 鈴木副市長。 〔鈴木副市長登壇〕 ◎副市長(鈴木章一郎) 持続可能な行財政審議会についてでございます。特別の財源対策はいつまでも続けられるものではなく,こうした対策に頼らずとも,必要な財源を賄える持続可能な財政を早期に確立していく必要があります。そのためには,京都の最大の強みである文化を経済の活性化,市民の豊かさ,税収の増加につなげ,それが更なる成長・発展の原動力となる文化と経済の好循環を実現させることや,スタートアップ・エコシステムの形成など,都市の成長戦略を描くことが極めて重要であります。 同時に,本市の極めて厳しい財政状況について市民の皆様と危機感を共有し,社会福祉を含むあらゆる市民サービスの持続可能性について,しっかりと検証していくことが不可欠であります。新たに設置をいたします外部有識者会議では,前提条件を設けず,こうした都市の成長戦略や市民サービスの在り方をはじめ,新税を含む課税自主権の活用,保有資産の戦略的なマネジメントなどについて,市民にも開かれた場で議論を深め,歳入・歳出の両面からの改革を更に加速させていくことで持続可能な財政の確立につなげていきたい,このように考えております。こうした基本的な考え方の下で,新税や敬老乗車証といった具体的な審議項目につきましては,現在作成中の中期財政見通しの内容も踏まえ,今後聖域を設けることなく検討してまいります。私からは以上でございます。 ○議長(山本恵一) 川端監察監。 〔川端監察監登壇〕 ◎監察監(川端昌和) 市長の給与及び退職手当についてでございます。市長の給与等につきましては,広汎かつますます多様化・複雑化する自治体のかじ取りという重要な職責にふさわしい水準であるべきであり,他都市と比較しても適正なものと考えております。一方,市長の給与については,平成13年3月から15パーセントカットを行っておりましたが,門川市長就任後,平成21年2月からは20パーセントに引き上げており,来年度も非常に厳しい本市の財政状況に鑑み,継続してまいります。また,退職手当につきましては,地方自治法及び本市条例に基づくものであり,その水準については,民間企業における支給状況や他都市との均衡等を考慮し,平成25年に約13パーセント,平成30年に更に約3.8パーセント引き下げるなど,適宜必要な見直しを行っております。今後とも,市長の給与等の取扱いにつきましては,本市の財政状況や社会経済情勢等を踏まえつつ,引き続き必要に応じて検討を行ってまいります。以上でございます。 ○議長(山本恵一) 在田教育長。 〔在田教育長登壇〕 ◎教育長(在田正秀) 中学校給食についてお答えいたします。本市では,平成12年度から完全自由選択制の中学校給食を導入しており,これまで生徒・保護者・学校から様々な御意見を伺い,改善を図りつつ学校現場で定着しております。そうした中で,平成30年度の学校給食栄養摂取基準の改正,令和3年度から中学校の新学習指導要領が実施されること等を踏まえまして,この度約20年ぶりの実態調査を実施いたしました。この実態調査は,経年変化を見る観点から,前回と同様の全中学校と抽出した約2,000名の生徒を対象としたうえで,保護者の意見をお伺いするため,新たにその保護者も対象に加え,生徒の栄養摂取状況を踏まえた献立の充実や保護者の利便性の向上など,現行の選択制の中学校給食の一層の充実を図るために実施したものでございます。そうした今回の調査の趣旨から,改めて全員制の給食を実施している施設一体型の小中一貫校への調査を実施する考えがないことを申入れ書を御提出いただいた際にお伝えし,説明させていただいたところでございます。今後,調査結果の集計・分析につきましても,保護者や有識者にお諮りし,その御意見を反映しながら,現行の中学校給食の一層の充実を図ってまいります。以上でございます。 ○議長(山本恵一) 次に,菅谷浩平議員に発言を許します。菅谷議員。 〔菅谷浩平議員登壇(拍手)〕 ◆(菅谷浩平議員) 北区選出の菅谷浩平です。宇佐美賢一議員に引き続いて,日本維新の会京都市会議員団を代表して質疑をさせていただきます。 まずは,都市公園法改正による市内公園の独自ルール策定のための協議会設置について提言いたします。私は,3年前の平成29年3月,市長総括質疑において,一元的な市内の公園の使用方法などを地域情勢に応じて,公園が独自にルール化できるよう見直すことを市に対して求めました。その後しばらくして,国においても,一つに,立地条件がいいにもかかわらず,十分利用されていない公園もあるのではないか。二つ目に,ボール遊び禁止,バーベキュー禁止など一律禁止ではなく,公園を利用する地域住民等と公園利用のローカルルールを決めていく仕組みがあってもいいのではないかといった問題意識が持たれるようになり,平成30年に都市公園法が改正され,公園管理者,つまりは本市が管理している公園であれば,京都市が,その公園の利用者の利便性向上に必要な協議を行うための協議会を組織することができるようになりました。この協議会は,公園管理者と地域の関係者が情報交換を行い,公園のローカルルールの策定に向け協議しながら,公園に応じた活性化策や利用のルールなどを取り決めて実行していくことを目的として,法律にも位置付けがなされました。協議会は,公園管理者,学識経験者,商工関係団体,公園利用の利便性向上に資する活動を行う者などによって構成されることを想定しており,協議が整った事項については,その結果を尊重しなければならないとされています。 つまり,どういうことかと申しますと,例えば,市内の公園は,現在,幼児や小学生などによる少人数のボール遊びを除いて,一律に球技が禁止されています。ですが,周辺に球技のできる適当な場所がないなどの事情があれば,地域住民の方々が公園管理者である市や学識有識者と協議会を設置して,どういう条件の下であれば,子供やそのほかの公園利用者が安全に,そして伸び伸びと公園を利用することができるのかを協議し,その話合いがまとまれば,公園独自のルールとして,規制が緩和できるという仕組みです。まさに,3年前に私が門川市長に対して求めたことが国全体で進められようとしています。 実は,北区には京都市が管理する公園で,人数やバットの仕様の有無などを気にせず,思いきり球技ができる,いわゆる,球技広場が存在していません。市内でこの球技広場がないのは,北区のほかに下京区と東山区と山科区の4行政区だけであります。おまけに,市内の小学生は,なるべく他学区へは遊びに行くなとも言われています。子供たちの親も,なるべく自分の家から遠くまで遊びに行かせることには抵抗がありますが,共働き世帯が増加する昨今,なかなか一緒に公園まで付いて行くこともかなわないのが現状であります。そんな中で,球技広場すらない行政区の子供たちは,一体どこで球技を楽しめばいいのでしょうか,現代の子供たちは,著しい体力の低下がデータ的にも顕著に表れています。あれもしてはだめ,これもしてはだめと使いづらい公園のままで本当に良いのでしょうか。これまでの規制の下では認められなかったことも,柔軟な発想で一定の要件を満たせば,協議会でルールを決めた後に,従来の球技広場のように利用できるなどの運用の見直しを求めたいと思います。 そもそも考えればおかしな話で,市内の公園の数は約900箇所あるそうですが,それらの公園を一定のルールで縛る必要が本当にあるのでしょうか。安全面の確保や利用者としてのマナーなど,最低限のルールは必要であると考えますが,ボール遊び以外にも,バーベキューができる公園や大道芸や移動動物園などができる公園が市内に存在したっていいではありませんか。地域住民のニーズに応じた公園の在り方を住民が主体となって決められる,こういった方向性に市はいち早くシフトすべきと考えますが,本市のお考えをお聞かせください。 次に,本市の東京事務所と京都府の東京事務所との一元化について提言します。今年に入り,私は本市の東京事務所と府の東京事務所の両方を現地視察してきました。現在,京都市の東京事務所は,都内の千代田区丸の内の一等地に建つ丸の内北口ビルディングの14階にあります。令和2年度の東京事務所に掛かる予算額は3,811万円で,そのうち賃料は年間約2,070万円で,京都市は平成29年12月,東京駅八重洲口にあった京都館の閉館を機にこちらに移転をしてきました。一方の京都府の東京事務所は,国会から徒歩5分,東京メトロ永田町駅から徒歩1分に位置しており,公益財団法人が管理する都道府県会館の8階にあります。 このように,現在,京都府と京都市は別々に東京事務所を構えておりますが,既に大阪府と大阪市では,東京事務所を平成24年7月に一元化させ,堺市も昨年12月に日本都市センターから移転をする形で,都道府県会館内に大阪府,大阪市,堺市が一つの東京事務所の中で運用されるようになりました。また同じく,近畿の兵庫県と神戸市も,平成25年4月から神戸市が都道府県会館内に移転する形で一元化がなされています。今回,私は京都府と京都市が別々に存在させている府と市の東京事務所の一元化を市長に提言したいと思います。これから,府と市の東京事務所を一元化すべき理由を幾つか述べていきたいと思います。 まず1点目は,コストの面です。既に一元化をされている大阪府の東京事務所の次長からお話を聞くことができました。それによると,大阪府の場合は,元々大阪府だけで使用していた場所に大阪市が移ってくることで,面積は半分になったが,賃料も折半に。昨年からは堺市も加わることで,より明らかな財政効果があったということでありました。京都府の東京事務所の中も視察してきましたが,恐らく十分に本市の職員が引っ越しできるだけのスペースはありそうでした。 次に,京都府との相互の連携力がアップするということです。恐らく,京都市と京都府の東京事務所の職員同士は,既に相互の連携ができていると言うかと思います。しかしながら,同じ事務所で働くのと別々の建物で働くのとでは,明らかにコミュニケーションの差が出るはずですし,そのような関係性では相互の連携による相乗効果は期待薄であります。くしくも今月行われた京都市長選挙において,門川市長は府市協調を前面に押し出されて選挙戦を戦い抜かれておられました。ですが,府と市,双方の事務所を訪れた際にも,入り口には一見しただけでは全くと言っていいほど目立たない所に,それぞれのパンフレットが数種類ほど置かれているだけで,相乗効果や連携といったものが私の目を通しては全く感じることができませんでした。とはいっても,門川市長,間違っても私が東京事務所のパンフレットを充実させてくださいなどと求めていると誤解だけはなさらないようお願いいたします。 私が今回,市長に提言をしているのは,あくまで府と市の東京事務所の一元化であります。先日の予算説明の場でも,職員の方から来年度に府市協調で進める事業の内容の説明を受けましたが,私にはどれもこれまでの延長でしかないように見受けられました。4期目はこれまでの延長ではないと市長がおっしゃられるのであれば,東京に別々にある府と市の事務所の一元化程度の事業は,府市協調の姿勢で,今すぐにでも着手できるよう直ちに府と協議を始めていくべきと考えますがいかがでしょうか。門川市長の府市協調の御決意のほどをお伺いしたいと思います。 ここで一旦答弁を求めます。 ○議長(山本恵一) 岡田副市長。 〔岡田副市長登壇〕 ◎副市長(岡田憲和) 私からは,東京事務所について御答弁を申し上げます。東京事務所は,首都圏において大きく二つの役割を担っております。一つは,国の政策や予算についての情報収集,連絡調整を行う拠点としての役割でございます。二つ目は,シティセールスの拠点としての役割でございます。京都の魅力を首都圏メディアに積極的に売り込みますとともに,観光情報の発信,移住希望者への相談対応などを行っております。また,企業版ふるさと納税をはじめとする民間からの支援や投資の獲得に向けて首都圏の民間企業等との連携強化にも力を入れており,いわば首都圏での戦略拠点としての役割を果たしております。京都府を含むほとんどの道府県や多くの政令市は,国からの情報収集のために,お話にありましたように永田町近傍に事務所を設置しておりますが,本市はシティセールスの拠点としての機能を重視し,これまでから東京駅近くに事務所を設置してまいりました。とりわけ首都圏の民間企業との連携につきましては,今後ますます重要になってくると考えておりますが,数多くの路線が乗り入れる丸の内の現事務所は,交通のアクセスが抜群でありますとともに,多くの企業やにぎわい施設が集積しており,シティセールスの戦略的な拠点として,他の自治体に比べ大きな強みがございます。本市といたしましては,こうした立地の優位性を最大限に生かし,京都の魅力の発信と企業との連携強化を強めていきたいと考えております。京都府との連携につきましては,これまでから観光情報の相互発信や移住相談等でしっかりと取り組んでおりますが,今後も更なる工夫をし,連携強化を図りながら,京都市東京事務所ならではの役割をしっかりと果たしてまいりたいと考えております。以上でございます。 ○議長(山本恵一) 山田建設局長。 〔山田建設局長登壇〕 ◎建設局長(山田哲士) 都市公園の利用の在り方についてでございます。公園は,幅広い世代の方々が利用され,市民生活に憩いと潤いをもたらす貴重な都市空間であります。また,健康増進や市民活動・地域コミュニティ形成の場,災害発生時の避難場所としても重要となってきております。そのような中,平成29年6月に都市公園法が改正され,公園利用者の利便性の向上や利用ルールづくりについて地域住民の皆様等と必要な協議を行うための協議会を設置することが可能となりました。一方,本市におきましては,かねてより京都ならではの地域力を生かし,管理する900以上の公園の約4分の3で,地域のボランティア団体であります公園愛護協力会を結成いただき,除草・清掃などへの御協力や,管理に関する地域における窓口,また運営の一部など,大きな役割を果たしていただいております。 公園利用の安全等に関するルールにつきましては,全市的に定めておりますが,地域における具体的な利用に当たりましては,公園愛護協力会や自治連合会等の地元団体と日常的に意見交換を行い,そのお声を生かしております。また,公園の再整備を行う際には,地域の皆様や公園利用者とのワークショップを開催し,そこで出された御意見・協議内容を整備に反映させております。菅谷議員御指摘の球技利用につきましても,例えば平成25年に再整備を行いました上京区の橘公園におきまして,地域の皆様の御要望を踏まえ,新たに球技ができる公園として整備するなど,これまでから地域のニーズに応じた公園づくりを進めてまいりました。今後とも,住民の皆様のお声にしっかりと耳を傾け,地域ニーズに沿った安心安全で魅力あふれる公園として御利用いただけるよう引き続き取り組んでまいります。以上でございます。 ○議長(山本恵一) 菅谷議員。 〔菅谷浩平議員登壇〕 ◆(菅谷浩平議員) 公園利用に関しては,残念ながら北区含め4行政区の子供たちがどうしたらいいのかという問い掛けに対して,全く答弁がありませんでした。引き続きこの問題については追及していきたいという風に思います。 次に,交通局や上下水道局など一部市役所職員の移動時間の短縮について提言をいたします。私は昨年の決算特別委員会で,増加する職員の時間外勤務手当の削減方法として,現在滋賀県大津市で行われている午後6時以降の役所の庁内パソコンの電源が自動的に切れるシステムの導入の検討など,いわゆる残業ゼロの取組を行財政局に提案したところ,業務に支障を来すおそれがあるとの理由で,前向きな答弁はいただけませんでした。 そこで,今回は,職員の日中の勤務時間における無駄な時間を少しでも削減する取組を市長に対して提案したいと思います。現在,市役所職員は,ここ河原町御池付近を中心に,多くの職員の方が仕事をされています。一方で,京都市南区にある上下水道局や右京区にある交通局にも多くの職員の方が職務に従事されており,これらの職員は,職員間同士の会議や議員への報告・説明などで度々市役所と勤務先を行ったり来たりしています。例えば,京都駅南側の八条口近くにある上下水道局から市役所までは,ドアトゥドアで片道約20分の往復40分,同じく,太秦天神川駅すぐのサンサ右京内にある交通局から市役所までも片道約25分,往復50分が移動時間として掛かっています。これは,就業時間である8時間のうち約1割が移動時間に費やされている計算になります。 私は,先日,霞が関の働き方改革の一環として,厚生労働省の改革若手チームが,省内にて試験的に導入をし始めた国会議員にオンラインで政策を説明できるスマートコミュニケーションブースの仕組みを学んできました。この取組は,職員が,議員会館などに出向かなくても政策について説明できるようにするといった目的で,通話ソフトスカイプなどで議員のパソコンやタブレット端末と省庁をつなぐ仕組みを半年間試験導入しています。京都市の職員が,重要な会議や報告・説明などで時間を掛けて市役所に来られることは歓迎されてしかるべきと考えますが,職員からも市役所に登庁する時間に負担を感じている者もいるとお聞きしています。このような仕組みが整備されれば,働き方改革は改善されるはずですし,無用な残業の発生も抑制ができます。 今回,私が御提案申し上げているようなシステムを導入すれば,職員の勤務時間における無駄が削減され,雇用する側も雇用される側も双方にとってプラスであります。今年度からは,私が以前から求めてきたペーパーレス化の取組が市役所の一部ではありますが,試験的に導入されるようになりました。京都市も少しづつですが,組織として変わってきていると感じています。是非とも,職員の働き方に関しても,働き方改革の一環として,職員がより効率的に仕事ができるための環境の整備と取組の推進を求めたいと思いますが,いかがでしょうか。 最後に,地下鉄駅構内にある広告の空き問題について質問いたします。京都市の2020年度の当初予算案によると,市営地下鉄事業は3年連続の黒字ではあるものの,多額の累積赤字と今後予定されている地下鉄車両の莫大な更新費により先行きは厳しく,市バス事業に至っては,民間バス会社による受託の撤退が影響して2年連続の赤字になると予想されています。 5年前,私は,市営地下鉄の広告の空き状況について,それらをできる限り埋める努力をするように状況の改善を交通局に対して求めました。当時の交通局の答弁は,他都市と比較しても京都市はよくやっているといった内容であり,交通広告に関して言えば,この5年間,際立った取組がなかったように感じるのは大変残念であります。現在でも,駅構内や市バスの車内などを見渡しても,広告の空きは目立ちます。一度,皆さんも是非御覧になっていただけたらと思いますが,この空き広告は,交通局の売上げを圧縮していることは明らかであり,交通局の担当に現状の説明を求めましたが,どこの駅に,どれだけの広告費の伸びしろがあるのかの整理もなされておらず,こうしたところにも,現状の交通局の広告費収入が横ばいで低調に推移をしていることが如実に表れているなと感じました。 そこで,今回,佛教大学,立命館大学,同志社大学の学生たちと烏丸線・東西線合わせて31駅全ての駅構内の広告をチェックし,どれくらいの空き広告があるのかを調べました。調査対象は,交通局から事前に資料として提供された駅構内の主に電照広告と呼ばれる広告に限定をして調査しました。今回,この電照広告の空き具合を31駅にわたり調査したその数は,約700箇所であります。東西線と烏丸線の各駅には空き広告の多い駅と少ない駅があり,優秀な駅では空き広告率が0パーセントの駅も1駅ある一方で,空き広告率が33パーセント以上,つまり3箇所に1箇所が空き広告の駅が,私たちの調査では5駅も存在するなど,京都市交通局の認識と我々の調査に基づく認識とでは大きな開きがあることも感じました。 電照広告は,各駅ごとに料金が設定されています。例えば,近鉄線と乗り入れる竹田駅の電照広告は,ホームに設置されている僅かに8箇所だけですが,1箇所当たりの年間の契約料は120万円にもなります。ただし,そのうちの半分は広告代理店が買取り契約をしていますので,実際に交通局として営業から管理までに責任を負うのは,たったの4箇所しかありません。それにもかかわらず,4箇所のうちの2箇所が現在空き広告です。ここだけでも年間の逸失利益は240万円です。市バスや地下鉄初乗りの利用客に換算すると,1年間で約1万人のお客様に余計に御利用いただく計算になります。もちろんこれは単なる一例であることは言うまでもなく,こうした事例が交通局が管理する広告には数多く存在をしています。5年前,初めて営業広告に関する質問をした際には,これは,職員のやる気の問題で何とかなる,もっと本気を出せば収益を上げられると思っていましたが,それだけでは難しいと今回の一連の政務調査を通じて感じました。 そこで,交通局には今一度考えをリセットしていただき,営業広告にもきちんと焦点を当てていただきたい。そして市バス,地下鉄事業の収入にきちんと寄与できるよう,局内における職員の意識改革はもとより,人員体制の強化などによる営業体制の見直し,管理体制の見直し,営業広告のサービスの見直しなど,それこそ私が以前から提案している外部との人材交流や,特別なポストを設置するなどしてでも,抜本的な広告収入増に向けた改革を求めたいと思いますがいかがでしょうか。以上で私からの代表質疑を終わります。ありがとうございました。(拍手) ○議長(山本恵一) 門川市長。 〔門川市長登壇〕 ◎市長(門川大作) 菅谷浩平議員の御質問にお答えいたします。 ICTを活用した働き方改革についてでございます。少子化等に伴い労働力人口が減少する中,職員の真のワーク・ライフ・バランスを実現し,必要な市民サービスを向上させていくためには,限られた時間で成果を上げる生産性の高い働き方への転換が必要不可欠となっております。徹底的な業務の効率化を図ることが重要であると私も認識しております。働き方改革の推進には,トップの強い意志と姿勢が大事であり,私はこれまでから,時間を意識した生産性の高い働き方へ転換するよう全職員に対してメッセージを発信するとともに,あらゆる機会を通じて時間への意識を変えることの徹底など,時間は資源であるという意識改革を進めてまいりました。今年度はペーパーレス会議にシステムを導入し,幹部職員の定例会議の準備作業等の省力化はもとより,幹部職員の意識改革等に大きく貢献しております。 さらに,人工知能,いわゆるAIを活用した会議録作成支援システムを導入いたしました。また,定型的な作業を自動化するRPAの試行実施を行い,年間の作業従事時間の8割程度の削減が可能である業務もあるなど大きな効果が見込めることが確認できたところであります。来年度は更に本格的に実施するため,移動中や外勤先などにモバイルワーク専用のパソコンを携帯し,執務室以外の場所でも業務を遂行できるモバイルワークを試行的に実施し,職員が移動時間や待ち時間を有効に活用できる環境を整えてまいります。今後も最新のAIやICTを積極的に活用し,生産性を向上させることはもとより,職員が新たな政策の企画立案等に注力することで,年々多様化,高度化する行政課題に適確に対応し,市民サービスを向上させるなど,働き方改革の成果を市民の皆様にしっかりと還元できるように取り組んでまいります。 以下,関係理事者が御答弁申し上げます。 ○議長(山本恵一) 山本公営企業管理者。 〔山本公営企業管理者登壇〕 ◎公営企業管理者(山本耕治) 地下鉄駅構内の空き広告に関する御質問についてでございます。言うまでもなく,広告事業は駅ナカビジネスと並ぶ貴重な収益事業であり,その収入の合計は,市バス・地下鉄の運賃収入の約5パーセントに相当する約22億円に達しており,交通局の経営に大きく寄与していると認識いたしております。広告事業の展開に当たっては,何よりも広告主のニーズを把握することが重要であり,広告主のニーズや広告に関する知識を熟知する広告代理店21社と連携を密にしながら,効率的に事業を運営しております。これに伴う職員体制は,営業推進室長以下6名ですが,この5年間連続して11億円を超える収入を確保しております。この広告料収入は,東京都などの大都市を除く他都市平均を上回っており,中でも市バス1台当たりの広告料収入ではトップ水準となっております。 また,交通局には,現在地下鉄に2,181枠,市バスに3,237枠の広告枠がありますが,常にその稼働状況を把握し,掲出率の向上にも努めております。議員御指摘の電照広告については,交通局では708箇所設置しており,そのうち約8割に当たる562箇所は広告代理店と長期間の広告掲出契約を締結しているため,広告掲出の有無にかかわらず広告料を収入しております。残りの約2割の電照広告については,駅ナカビジネスなどの交通局事業の広告をできる限り掲出する努力を行っております。引き続き,広告主のニーズを踏まえ,デジタルサイネージなどの新規媒体の設置,広告を長期間掲出した際の広告料の割り引くなどの販売促進,また電照広告枠のLED化等による既存媒体の価値を高める取組や,広告枠の空き状況を広告代理店がリアルタイムに把握できる仕組みの導入など,広告代理店の営業活動を支援するとともに,空き枠への広告掲出を促す取組も展開し,広告料収入の増収,広告枠の有効活用に努めてまいります。以上でございます。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ○議長(山本恵一) 暫時休憩いたします。 〔午後3時4分休憩〕 〔午後3時34分再開〕 ○議長(山本恵一) 休憩前に引き続き,会議を行います。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ○議長(山本恵一) 休憩前の議事を継続し,質疑を続行いたします。 江村理紗議員に発言を許します。江村議員。 〔江村理紗議員登壇(拍手)〕 ◆(江村理紗議員) 右京区選出の江村理紗です。地域政党京都党市会議員団を代表いたしまして,小山田春樹議員,神谷修平議員と共に,令和2年度の予算案について質疑いたします。 まずは,門川市長,過日の市長選挙で4期目の御当選誠におめでとうございます。私たち京都党の各議員は,京都市が緊迫した財政状況であることから,市の財政再建や民間活力の一層の促進を提言する村山祥栄前京都市議を応援してまいりましたが,残念ながら結果は及びませんでした。今回の選挙で示された民意をしっかりと受け止め,私たちとしての反省点を洗い出し,向き合ってまいります。今回の市長選挙では,財政の立直しや人口減少への対応,市内への観光客急増に伴う対応が争点となったほか,西京区の洛西ニュータウンへの新交通整備についても各候補から整備に向け提案がなされました。都市開発の前提だった市営地下鉄東西線の延伸は,財政難で進まないまま40年が経過し,改めてこれまでの行政対応にスポットが当たる機会となりました。門川市長からは,京都市政は,みんなで作る自治会の大きな組織のようなもので,誰一人取り残さないとのお言葉もありましたとおり,新たなスタートを切られましたこれからの4年間に,是非市民の皆様から寄せられた市民生活における切実なお声に耳を傾けていただき,課題解消に向けお取組をいただきますようよろしくお願いいたします。 そこで,まずお聞きいたします。今回の予算案には,市長と市民との141のお約束・公約の8割を計上となっておりますが,これらの具体的な達成時期や数値目標などは今後どのように管理されていかれるのか,また,どのように市民の皆様にお伝えなさっていくのかをお示しいただきたいと思います。 また,今回の市長選挙では,増加する観光への対策が争点の一つとなりましたが,新型コロナウイルスが猛威をふるう中,あっという間に観光客は激減し,繁華街や観光地は閑散としてまいりました。観光産業はぜい弱で浮き沈みの激しいというリスクを再認識させられます。今回の観光客激減が京都に与える影響や緊急的に想定される被害はどのくらいであると想定されますでしょうか。全体の産業の中で,観光産業はどのくらいが適正であるとお考えでしょうか。市長も,昨今は観光に注力なされることから少しトーンを下げられたようにお見受けいたしますが,どのように受け止めておられるのか御所見をお聞かせください。 最後に,市長は3期12年を振り返られた際に,財政については課題が残るとの見解を述べられました。今回は御当選後初めての予算案となります。令和2年度の予算案は,公債償還基金の取崩しが更に積み重なるうえに,調整債という新たな禁じ手を追加され,本来中期財政見通しに沿って進めていれば,特別な財源対策から既に脱却し,財政再建に向け軌道に乗り始めているはずにもかかわらず,目標未達のまま更に傷口は拡大しております。財政調整基金も底を尽きました。常に新たなサービスを求められる分,税収を増やすことで帳尻を合わせていくということを財政当局は見据えておられるようですが,その見通しはここまで財政が緊迫してしまっていることからも大変危惧しております。後に,同僚議員からも財政について質疑いたしますが,この財政面においても,確実な目標達成に向けての管理を徹底いただきますよう要望いたします。 京都党市会議員団は,今後も二元代表制の下に,市長と議員は車の両輪であるという良き緊張感を堅持し,より良い京都市政を見据え政策提案をいたしますとともに,時には考え方の違いから厳しい指摘もいたしますが,市民の皆様の幸せと京都市の発展を願うという同じ思いの下,更なる政策の実現に向け全力で取り組んでまいります。 以上で私の質疑を終えます。ありがとうございました。(拍手) ○議長(山本恵一) 門川市長。 〔門川市長登壇〕 ◎市長(門川大作) 江村理紗議員の御質問にお答えいたします。 今後の市政運営についてでございます。今般の市長選挙におきまして,多くの市民の皆様から御信託を頂き,引き続き市政を担わせていただくこととなりました。全身全霊で市政運営に臨み,市民の皆様とお約束した公約の全てを必ず実現いたします。既に公約の8割以上を来年度予算案に計上したほか,ほかの施策につきましても,具体化に向けて速やかに検討を開始するよう指示しており,スピード感を持って実行してまいります。今後,現在策定を進めております京都市基本計画の実施計画に公約の全てを盛り込み,全庁を挙げて着実に推進してまいります。また,市民の皆様と課題・目標・行動を共有することが極めて重要であります。数値目標等も含め,施策の進捗状況につきましてもしっかりと共有しながら,市民の皆様と共に汗する共汗で,くらしに安心,まちに活力,みらいに責任のまちづくりを力強く進めてまいります。 以下,関係理事者が御答弁申し上げます。 ○議長(山本恵一) 糟谷観光政策監。 〔糟谷観光政策監登壇〕 ◎観光政策監(糟谷範子) 京都の産業と観光についてでございます。京都はものづくりのまちであるとともに,商業,サービス業から農林業まで,多種多様な産業が重層的に集積するまちでございます。その中で観光は,宿泊業,飲食業,小売業はもとより,運輸業や製造業をはじめ様々な産業とつながり,多くの雇用を生み出している総合産業です。京都経済にとって観光は大きな強みの一つであり,今後とも市民の豊かさにつながるよう全力で取り組んでまいります。今回の新型コロナウイルス感染症の拡大により,観光関連のみならず様々な分野の事業者から,事業や経営に影響が出ているとお伺いしており,改めて観光の裾野の広さを感じております。このまま感染拡大が長期化すれば,京都経済全体にも大きな影響を及ぼすものと考えており,既に緊急融資の受付を開始しておりますが,引き続き,個々の事業者の皆様の状況をしっかり把握し,的確な支援を実施してまいります。以上でございます。 ○議長(山本恵一) 次に,小山田春樹議員に発言を許します。小山田議員。 〔小山田春樹議員登壇(拍手)〕 ◆(小山田春樹議員) 右京区選出の小山田春樹でございます。江村理紗議員に続き,神谷修平議員と共に京都党市会議員団を代表して質問いたします。どうぞよろしくお願い申し上げます。門川市長におかれましては,4期目御就任おめでとございます。心からお祝い申し上げます。 さて,私は,まず最初に,京都市の深刻な財政状況と市の取組について質疑をさせていただきます。先の市長選挙におきまして,市の財政再建の課題は大きく取り上げられ争点の一つとなりました。令和2年度当初予算編成の時点で,およそ300億円の収支の不足があります。これはどのような政治的な立場に立つにせよ,この事実は厳然たるものであります。そこで,この厳しい現実を直視して,危機感を持って予算編成を行うべきだと考えますが,市長は本市の財政状況について,今の時点でどのように評価されていらっしゃいますでしょうか。また,財政状況が悪化した基本的な原因は何であるとお考えでしょうか。まずは,現状に対する基本認識をお伺いいたします。 先に示されました令和2年度当初予算案の概要によりますと,予算編成の基本姿勢と政策の柱が示され,子育て支援,教育環境の充実,防災,環境,地域経済の発展,文化を重視した都市づくりなど,門川市政4期目初年度として,これまでの市政総仕上げとも言うべき方針が打ち出されております。一方,財政再建については5番目の政策として掲げられ,令和元年度2月補正で財政調整基金が枯渇し,公債償還基金を当初予算に比べて22億円追加で取り崩したこと,令和2年度は,一般財源収入が82億円減少し,この10年で最大の下げ幅になったことなど厳しい財政状況が示されています。 そこで,問題になるのがこの財源対策であります。市は,令和2年度の特別の財源対策として行政改革推進債の発行51億円,調整債の発行23億円,公債償還基金の取崩し119億円,合わせて193億円を見込んでいます。これは,新たに借金を作り,返すべきお金を取り崩していくという方針であり,令和2年度末の公債償還基金残高は1,355億円となってしまい,あるべき残高の3分の1を取り崩すというとんでもない事態を想定していることになります。早急に抜本的な対策を講じなければ,市の財政は危機的な状況を迎えてしまいます。市長は,今後税収を増やすために具体的にどのような施策をお考えなのでしょうか。新税の導入など今後の検討事項を含めて,基本的なお考えをお聞かせください。 私は,財政危機を打開するには,収入を増やし支出を減らすしかないと考えております。これは,民間企業,一般の御家庭でも基本は同じだと思います。収入が増える見通しが立たないのならば,収入に見合った支出にする。収入の範囲内で予算を立てるというのが当たり前のやり方だと思います。市長は,縮み志向にならない,縮小一辺倒にしないとよくおっしゃいますが,厳しい現実を直視して予算編成に取り組んでいただきたいと切にお願い申し上げます。収入を超える予算を組み,足りない分は借金すればいいという考え方は直ちに改め,特別の財源対策を行わないで予算を組むという配分方式を取るように考えておりますが,市長のお考えをお聞かせいただきたいと思います。 本年度当初予算案の概要では,新規140事業,充実36事業が計上されていますが,300億円の収支不足がある現状で,更に収支バランスの悪化を招くことは必至です。ゼロベースで支出を見直し,費用対効果の低い支出,緊急性のない支出を大幅にカットしてスリムな予算にすることを求めますが,市長の見解をお聞かせいただきたいと思います。 例えば,市の広報については,総合的な見直しを行い,市民しんぶんは編集から配布まで可能な限り民間業者へ委託するとともに,NHK,民放,地域コミュニティFM放送局,インターネットを活用するなど,紙媒体中心主義からの脱却を図ることを提言したいと思います。また,各種補助金についての総点検,職員給与体系,昇格制度の改革を検討していくことを求めます。やる気のある有能な職員が能力を発揮できるように,思い切った制度の改革が必要だと思います。民間企業出身者による人事・研修制度の再検討を行うよう提言いたします。いかがお考えでしょうか。徹底した行財政改革を推進して,財政の健全化を実現するためには,民間企業の経営者の発想と知恵に大いに学ぶべきだと思います。大胆に発想の転換を図り,市政改革に当たって更なる民営化を進めていくことを強く求めます。市長の答弁を求めたいと思います。 次に,京都駅東部エリア活性化将来構想,分かりやすく言えば,京都駅東部エリアの再開発と市立芸術大学の移転問題について質疑をいたします。先の市長選挙の争点にもなりましたが,京都市立芸術大学の京都駅東部エリア,崇仁地区への移転問題は,民意を踏まえて様々な視点から総合的に判断すべきだと考えます。私たちは,市長選挙の結果,多くの市民が市立芸大の移転を受け入れたと判断しております。そこで,特に重視すべき課題は,交通至便で東京,大阪,名古屋をはじめ他都市からアクセスの良い京都駅東部エリアの開発をどのように進めるかであると思います。市長は,スタートアップ支援拠点の設置を発表しておりますが,さらに地域経済活性化につながるようにすべきだと考えます。京都駅東部エリアにオフィスビルなどを建設して,総合インテリジェントスポットとしての開発を民間企業と共に推進することを提言いたします。市長のお考えをお聞かせください。その際に,建物の高さ制限,看板への規制も柔軟に緩和すべきだと考えますが,いかがでしょうか。 そして,市の財政状況が極めて厳しい中で,移転の経費をどう捻出していくかも重要な課題です。市長が移転費用を寄付金に期待する考えをお持ちだとすれば,寄付金は現在幾ら集まっているのか,今後増える見通しがあるのかなど,しっかり検証すべきだと思います。また,西京区のキャンパス跡地の有効活用についても,地域住民が不安を感じないように住民の声を聴いて検討すべきだと思います。 財政再建を実現するには,市の税収増が極めて重要な課題になります。民間企業の力で,積極的に京都経済の活性化を図っていくべきであり,文化都市であると同時に経済都市として京都市が栄えていくことがとても重要だと思います。世界一の文化都市として京都市と並び立つパリ市は,経済都市として大きな成果を挙げており,大いに見習うべきです。市の税収を増やすためには,今こそ稼ぐまち京都をつくらなくてはいけないと私は思います。 さて,先の市長選では,京都市の交通問題が争点の一つとなりました。観光と市民生活の調和は大きな課題です。とりわけ,通勤,通学,買物など市民の日常生活の手段としての公共交通機関の充実は,財政状況が厳しい中でも,早急に取り組まなくてはならない課題だと思います。私たち京都党市会議員団は,これまでにBRT,LRT,新交通システムの導入など,具体的な提言をしてまいりました。また,市長選挙において,私たちが応援した村山祥栄候補は,市バスを通勤・通学路線と観光路線で分けて整備すること。市営地下鉄の利用促進のため,市バスから地下鉄への乗入れを無料にすることなど,具体的な政策提言を行いました。財源には,宿泊税の収入を充てるという構想です。また,洛西ニュータウンへの交通アクセス改善のために,路面電車とバスの良い面を合わせたBRTの導入を提案しました。市の財政状況が厳しい中では,建設コストが高くない方式が必須条件となります。市長は,こうした具体的な提言についてどうお考えでしょうか。党派を超えて,これこそオール京都で取り組んでいくことが必要だと思いますが,いかがでしょうか。 市長は,選挙中に地下鉄東西線の洛西ニュータウンへの延伸を主張されましたが,今もその構想を実現しようとお考えでしょうか。その場合,建設費用はどのくらい掛かると計算しているのでしょうか。市長が初当選されて就任された当時,市営地下鉄の赤字で非常に苦労されたと伺いましたが,東西線の延伸は莫大な費用と長い工期を要することから新たな大幅赤字を生むことは充分予想されますが,それでもこの構想を実現しようとお考えでしょうか。建設,運用コストの低いBRTの導入をはじめ,様々な方策を総合的に検討されてはいかがでしょうか。 最後に,京都市独自の給付型奨学金を民間企業と一体となって実現してほしいとお願いいたします。私はよく西院駅前で街頭演説を行います。近くに立命館大学行きのバス乗り場がありますので,学生がよく通ります。先日,4回生でもうすぐ卒業だという学生と対話をいたしました。就職も決まりやれやれなんですが,社会に出ると早速奨学金を返さなくてはいけないので,気が重いです。月10万円を4年間借りて,利子を入れると500万円近く返さなくてはいけないのです。まじめな学生さんでした。私は,これを聴いて,これは政治の力で何とかしなくてはいけないなと思いました。大学の授業料は,とても高くなってしまいました。卒業するまでに必要な学費は,私立大学で400万円から500万円,国公立大学でもおよそ240万円掛かります。 私は,昨年春の市会議員選挙で,市独自の給付型奨学金制度の実現を訴えました。利子を付けてお金を貸す奨学金制度は一種の教育ローンであって,奨学金の本来の目的である教育の機会均等,無償化とはほど遠い制度です。幸い,給付型奨学金制度は国の政策として大きく前進しており,低所得者に対する奨学金制度は次第に拡充する方向だと思います。それでは,京都市は何を成すべきなのでしょうか。今は京都市内の大学で学んでいても,将来,京都市で働かない人,学ばない人に対しても,市が給付型奨学金の予算を付けることでは,市民の理解が得られません。ですから,将来市内で就職する人,市内の大学院などに進学して研究する人に対象を限定することが必要だと思います。また,市の財政状況を考えますと,多額の予算を付けることはできません。そこで,私は,民間企業の力で給付型奨学金を少しずつ拡充していくことが現実的だと思います。美術館,競技場のネーミングライツで企業のイメージを高めるというのもいいのですが,それだけではなく,企業名を付けた給付型奨学金を創設していただきたいと思います。企業の経営者の皆さんにぜひお願いしたいです。それは,優秀な人材を確保していくためにも有意義な取組だと言えます。 まずは,市が民間企業にお手本を示す形で,成績優秀者に対する給付型奨学金制度を実施していただくようにお願いいたします。例えば,年間100名を対象に,自宅から通学する者に年間40万円,下宿して通学する者に年間80万円給付すると,初年度に年間6,000万円程度,4回生まで対象が広がる4年後に2億4,000万円の予算が必要になりますが,市の年間予算のおよそ0.03パーセントぐらいの額です。これくらいの予算は無駄な支出を削れば確保できると思います。まずはやってみることだと思います。市が率先して給付型奨学金制度を実現すれば,民間企業も参加しやすくなると思います。一人でも多くの若い優秀な人材が京都市に住み続けて活躍していただくためにも,ぜひ実現してほしいと思います。市長のお考えをお聞かせいただきたいと思います。 私たち京都党市会議員団は,徹底した行財政改革を推進して,市の財政再建を実現していく政策を提言しております。将来に借金のツケを残さない,最終的に起債ゼロの健全な財政を実現することは,次の世代への責務だと考えております。行財政改革は,市民一人一人の生活を応援する政策,子育て支援,子供やお年寄りを大切にするまちづくりなどに必要な財源を確保するために行うものです。子供の医療費無料化を中学3年生まで拡大し,中学生に全員制給食を実施する政策は,財源を作る努力をしながら実現していきます。私たちは,財源の裏付けのない無責任なばらまき政策にはくみしません。(発言する者あり) ○議長(山本恵一) 御静粛にお願いします。 ◆(小山田春樹議員) (続)私たち京都党は,基本的に小さな政府論に立っていますが,教育・福祉などを軽視する緊縮財政論者ではありません。皆様に京都党の政策への御理解をお願いして私の質疑を終わらせていただきます。御静聴ありがとうございました。(拍手) ○議長(山本恵一) 門川市長。 〔門川市長登壇〕 ◎市長(門川大作) 小山田春樹議員の御質問にお答えいたします。 今後の市政運営についてでございます。私が市長就任当初,本市の財政は,全会計で300億円を超える赤字を抱える危機的な状況でありましたが,経済政策と行財政改革に徹底して取り組み,連結との赤字は解消,本市が返済に責任を持つ実質市債残高は17パーセント,3,379億円縮減,個人市民税も9年連続で増加しております。 しかし,国からの地方交付税の大幅な減少や,大都市に不利な地方税制改正等によりまして法人市民税が大きく減少する中,一昨年の相次ぐ災害への復旧・支援に147億円もの多額の費用を要しました。事業のスクラップ・アンド・ビルドや,民営化・民間委託化,新たな協賛金,寄付金の獲得など,あらゆる行財政改革等を断行しましたが,福祉や子育て,市民生活の安心安全を守り,未来の京都への先行投資を行うために必要な財源が不足し,特別の財源対策を講じざるを得ない非常に厳しい財政状況となっております。特別の財源対策は,いつまでも続けられるものではありませんが,これを直ちに脱却するために,極端な支出カットだけで収支差を埋める予算編成を行った場合,市民生活に大きな悪影響を与え,かつ経済活動を委縮させ,かえって将来の税収減少や,更なる財政悪化を招きかねません。このため,歳出の不断の見直しに合わせまして,スタートアップ・エコシステムの構築などによる強い経済の確立,景観政策の骨格を堅持しつつ活力あるまちづくりと両立させるとともに,課税自主権も積極的に活用し,税収の増加を図り,特別の財源対策からの脱却に向けた取組を加速させてまいります。 なお,広報の見直しにつきましては,来年度から,紙媒体だけでなくメディアが求めるコンテンツを制作し,インターネットなどで広める新たな手法を導入予定であり,また本市の人事・研修制度につきましても,これまでから優れた実績を上げておられる民間企業のリーダーの方々等からの御提案を踏まえまして,取組を創造的に発展させてきております。引き続き,徹底した市民参加の下,都市の成長戦略と行財政改革を一体的に推進し,市民の皆様の豊かさを税収につなげ,持続可能な財政を確立してまいります。 以下,副市長及び関係理事者が御答弁申し上げます。 ○議長(山本恵一) 鈴木副市長。 〔鈴木副市長登壇〕 ◎副市長(鈴木章一郎) 私からは,公共交通機関の充実についてでございます。京都市創造都市圏・環状ネットワークは,市内中心部から西部・南部圏域へとつながる交通アクセスを格段に向上させ,京都の新たな活力を担うまちづくりを府市が一丸となって進める構想であり,近年の技術の進展を背景とした新たな交通システムも含めて幅広く検討を進めていくものでございます。これまでから,京都のまちの特性に見合った持続可能な公共交通システムや新たな技術の活用について,LRT・BRT等の検討にとどまることなく,自動運転の社会実装に向けた検討会議を設置し,地域特性に応じた新たなモビリティ・サービスの活用を有識者に御議論いただいております。 平成30年度には,国の補助金を活用し,国土交通省とも意見交換を行いながら,米国のスタートアップ企業の構想を参考に,自動運転技術を活用した新たな交通システムについて,LRTやBRT,地下鉄等と性能や特徴,整備費等を比較しながら調査を行いました。この結果,当該システムについては,先ほどの質疑でも天方議員からも御紹介をいただきましたが,大量の輸送力を有しながら,既存の交通システムと比較しても整備費が安価であることなど,有用な調査結果を得ることができました。世界的にも先進的な仕組みであり,開発状況等の情報収集を行い,その進捗に応じて安全性や技術基準の確立に向けて,国において精力的に検討が行われるよう本市としても積極的に役割を果たしてまいりたいと考えております。今後とも,地下鉄等の既存公共交通に加え,新たな交通システムの活用も含め,様々な手法を検討してまいります。私からは以上です。 ○議長(山本恵一) 藤原総合企画局長。 〔藤原総合企画局長登壇〕 ◎総合企画局長(藤原正行) 私からは,2点についてお答え申し上げます。 まず1点目は,京都駅東部エリアについてでございます。本市では,京都市立芸術大学の崇仁地域への移転を見据え,昨年3月に京都駅東部エリア活性化将来構想を策定いたしました。この将来構想では,文化芸術を核に,先進的な研究・創造活動に取り組む場を創出し,文化芸術に関するイノベーション,伝統産業の振興などを推進し,文化芸術を基軸としたまちづくりを進めることとしております。具体的には,京都市立芸術大学のキャンパス内に,芸術を核に,他大学や企業等と科学・医療・福祉・産業・伝統文化など様々な分野との交流・連携を図り,先進的な研究・創造活動に取り組める場を作ります。また,キャンパス周辺では,若手起業家への支援など,地域経済の活性化に寄与するスタートアップ・エコシステムの構築に向け,文化芸術とサイエンス,テクノロジーの融合を促進するコワーキングスペースや研究施設等を備えたビジネスの創造拠点を創出してまいります。 将来構想の実現に当たりましては,隣接する京都駅西部エリア,東南部エリアの取組とも十分連携しながら,文化芸術の力で経済を活性化させますとともに,文化芸術とまちが共生し,市民の皆様にも豊かさを実感していただけるまちづくりにしっかりと取り組んでまいります。こうしたことをまちづくりの面からも実効あるものとするため,新景観政策の更なる進化の中で,京都の景観の守るべき骨格をしっかり堅持しながら,地域ごとのビジョンに応じたまちづくりを推進することとしており,東部エリアを含む京都駅周辺エリアについても地域の魅力を高める優れた計画を誘導する特例制度等の活用を検討してまいります。 次に,2点目は,給付型奨学金制度についてでございます。意欲のある学生が経済的理由により進学を断念することがないよう,支援が必要な低所得者世帯を対象に,高等教育段階の教育費の負担軽減を図っていきますことは,教育の機会均等を図りますうえでも重要な課題であると認識しております。奨学金については,全国の学生の二人に一人が活用しており,また,京都で学ばれている約15万人の学生の4分の3は全国から来られ,さらに京都の高校生の半数は全国に進学されているなど,全国規模で学生の皆様の動きがあることを踏まえますと,公平性の観点から,国において統一的に教育の機会均等を実現するため,奨学金の充実が図られるべきものという風に考えております。このため,本市ではこれまでから国に対し,給付型奨学金事業の着実な実施等を強く要望してきており,また,平成28年9月市会におきましては,給付型奨学金の創設等を求める意見書を御議決いただいているところでございます。 このような活動の結果,国においては着実に奨学金制度の充実がなされてきており,真に支援が必要な低所得者世帯の学生を対象とし,授業料や入学金の減免に加え,住居費,通学費等の生活費を賄う給付型奨学金の額と対象者を更に大幅に拡大する高等教育の修学支援新制度が令和2年4月から実施される予定でございます。今後とも学生の皆様が安心して学べる環境の更なる充実に向けまして,国に対して引き続きしっかりと要望してまいります。以上でございます。 ○議長(山本恵一) 次に,神谷修平議員に発言を許します。神谷議員。 〔神谷修平議員登壇(拍手)〕 ◆(神谷修平議員) 下京区選出の神谷修平です。昨年4月の市会議員選挙において初当選させていただきました。地域政党京都党市会議員団を代表して,江村議員,小山田議員に続きまして質疑させていただきます。よろしくお願いいたします。 近年,大阪北部地震や西日本豪雨など大きな災害が続き,市民の皆様の防災意識は年々高まっております。私自身も,阪神淡路大震災で被災し,避難所での生活も経験いたしました。その経験から,今回京都市の防災について幾つかの項目に分けて質疑させていただきます。 まず一つ目は,避難所の充足率についてです。現在,市内の充足率は55.4パーセント,最も充足率が低かった上京区では32.8パーセント,私の地元下京区では57.4パーセントであります。つまり,もし花折断層地震が直撃した場合,避難所に押し寄せた避難者の約半数の方が避難所に入れない,または最低限のスペースが確保されないという事態が起こります。そこで,充足率を100パーセントにし,安心して避難できる環境整備をしていくことが求められます。その解決策として,災害時に小学校の教室を開放するという方法がございます。京都市では,教育委員会との調整や被災後数日で再開される学校に支障を来すケースが多いため,事前に学校の教室が開放されるかどうかは決まっていないのが現状です。しかし,教室を開放すれば充足率は100パーセントになります。大阪市では,空調設備のある普通教室や特別教室を使用することによって災害時の様々な対応を考えておられます。さらに,緊急時の教室開放の権限を学校長から区長などへ移管し,現場で混乱せずスムーズに避難できるよう計画段階でのルールづくりを行うことも必要であると考えますが,こういったことも踏まえ,現在避難所の充足率を上げるためにどういった取組をされているかお聞かせください。 また,災害用トイレの配備率の問題もございます。災害時は水道管破裂などで,大抵通常のトイレは使えないという事態が発生いたします。現在,市内の配備率は77.1パーセントとなっております。しかし,各行政区ごとの配備率を見てみると,100パーセント充足している2区に対し,配備率が50パーセント台と低迷する2区と,区によってかなりの開きがあります。50パーセント台の区では,即日トイレに行列ができ,汚物があふれる事態が発生しかねません。この問題は,大半の災害用トイレが一部の大きな拠点備蓄倉庫に積まれており,各区に配備ができていないことにあります。配備するには保管場所の確保が課題かと思いますが,各学校に3から5基程度の災害トイレの保管場所は,1基1平米くらいのスペースなので,やる気になれば確保できるはずです。また,車椅子の方の災害用トイレの設置数がまだまだ足りていないとお聞きしております。したがいまして,今の状況をしっかりと把握し,各区に保管場所を確保していくことが必要かと思いますがいかがでしょうか。 次に,避難行動要支援者の名簿の取扱いについて質問させていただきます。避難行動要支援者とは,自力で避難できない方々のことであります。この方々は,できる限り周辺住民の力を借りて避難させねばなりません。にもかかわらず,地元では,どこに避難行動要支援者がいるか実際のところ把握できていないのが現状です。なぜなら個人情報の関係により,発災してから名簿を提供するというルールになっているからです。現行では被災後,地元に名簿が提供されるまで最長3日が掛かると予測されています。高齢者や障害のある方々は,健常者の方々より発災時の避難への意識は高く,それは逃げ遅れることへの不安から来るものです。その不安解消のためにも平常時からの名簿の活用をすべきだと考えます。内閣府でも平常時での名簿の活用を推進しており,また他都市では条例を作ることによりこの問題をクリアし,平常時から地域と共有している事例も増えてきております。また平常時から名簿を利用できるようになれば,現在遅々として進んでいない事前の個別避難計画を策定することも推進していくことができます。実際に災害が起こった場合,現在の把握状況では助けられる命が助けられないという事態になります。災害はいつ起きるか分かりません。個人情報保護の観点は確かに重要ですが,これは人命に関わる問題です。平常時から名簿が使用できるようルール化していくべきと考えますが御所見をお聞かせください。 続いて,福祉避難所についてです。災害時の対応でもう一つ前に進めなければいけないのが,要配慮者の避難をサポートすることです。要配慮者とは,高齢者や妊婦,障害者のうち通常の避難所では生活できない方々のことです。要配慮者の方は福祉避難所に避難しますが,現状は一度,通常の避難所に行ってからでないと福祉避難所に入れないことになっています。しかし,要配慮者の方々の中には一般避難所に行ってからというのでは,状態によっては大きな負担になるといったケースもございます。また,受け入れる一般の避難所の負担も大変なものになると考えられます。そういった観点からも,福祉避難所に直接入れる仕組みづくりが必要であると思います。また,福祉避難所として現在289箇所が事前指定をされており,約8,400人の方が利用可能な状況だとお聞きしています。それに対して,現在把握している要配慮者の方々は約6万2,000人おられ,まだまだ不足している状況です。このような観点からも,まず行政区に1箇所からでも試行実施を早急に始めるべきでありますし,受入状況を改善していくべきと考えます。この2点についてお答えください。 次に,ペットの避難の問題です。ペットについては,発災時,その家族を置いて避難することはできないことから,避難されない方というのが実際に熊本地震の際におられました。京都市では現在約90箇所において避難所へのペットの受入体制のマニュアルが策定されています。このペット避難問題は,動物の問題と捉えず,飼い主が避難できないという人的課題だと捉えて取り組むべきものでもあります。ペットは飼い主にとってはとても大切な存在ですが,動物が苦手な人や動物に対してアレルギーを持っている人が共同生活を送る避難所では,ペットの鳴き声や毛の飛散,においなどへの配慮が必要です。避難所のペット対策については,事前にペット同伴避難のルールを決めておくことが重要になってきます。飼い主が責任を持って避難所でペットを飼育するための居場所の確保や,ケージなどを用意するなど具体的な対応を事前に検討すべきです。また,ペット避難所は屋外設置が基本となっていますが,室内犬は阪神大震災のように真冬時の屋外避難は生死に関わる問題で,当然飼い主としては屋外避難などさせられるはずもありません。その点についても,一歩進んだ屋内非難を検討せねばならないのではないかと考えます。併せて平常時から,飼い主の方々への災害時の備えについての啓発,また,市町村へのペット同行避難に対する意識付けを定着させ,地域の避難訓練においては,ペット同行避難も含んで行うよう更に啓発していくべきであると考えますがいかがでしょうか。 続きまして,文化財の防火対策について質疑させていただきます。私自身,市会議員に当選させていただく以前は,文化財保存修復師として10年間文化財に携わってまいりました。その経験も踏まえ,何点か質疑させていただきます。昨年の4月にフランス・パリのノートルダム大聖堂において発生した火災,昨年10月の沖縄の首里城での火災など,世界的に有名な文化遺産が焼失する大変痛ましい出来事が連続して発生いたしました。ノートルダム大聖堂の内部には火災報知機や消火器はありましたが,スプリンクラーなど自動消火設備はありませんでした。首里城に関しても,火災で焼失した建物は復元されたものであったため,消火設備が不十分であったことが原因の一つであると考えられます。京都市において,今回の火災は他人ごとではありません。京都市内には数多くの文化財建造物が所在しています。本市においても,これまでに火災による貴重な文化財の被害が少なからず発生しております。日本の文化財は,可燃性の高い木や紙を材質とするものが多く,火災などで一度失われると取返しがつきません。そのためその防火対策は重要な課題です。 一方で,文化財保護法が改正され,昨年4月に施行されたところでございますが,観光をはじめとした文化財の活用が今後一層促進されることになりました。このことにより,これまで以上に多くの人たちが文化財に接する機会が増えることが予想され,文化財の防火対策は,文化財の保存に加え,観光などで文化財を見学される方々の安全にもつながる重要な課題です。そんな中,文化庁は,昨年4月に文化財所有者に対して,防火設備の整備状況等のアンケート調査を実施いたしました。この調査の結果,京都市の防火対策の状況は,国宝の場合,消火栓設備の設置率は100パーセントでしたが,消火栓設備177件中38件の21.5パーセントにおいて,設置後未改修による老朽化により問題ありと判明しました。重要文化財の場合,消火栓設備の設置率は87.7パーセントで,こちらも1,143件中155件の13.6パーセントで未改修による老朽化により問題ありと判明いたしました。 そこでお尋ねいたします。この消火栓設備に問題ありと判明した建造物に対して,今後どのような取組をされるのでしょうか。また,京都市指定の建造物に関してましては,今回のアンケートの対象外であったことから,まだ状況を把握できていないとお聞きしています。市指定文化財においても早急な調査が必要かと思いますがどのようにお考えでしょうか。 また,今回の調査結果を受けて,文化庁では,文化財の火災リスクなどの把握と,それに応じた防火設備の整備に関する新たなガイドラインを策定いたしました。とはいえ,文化財の耐震に関する指針が平成11年度から施行されておりますが,実際のところ,文化財の耐震化は遅々として進んでいないのが現状です。今回も新たなガイドラインが策定されましたが,防火設備の整備が進むか懸念されるところでございます。この点に関しては,一定の補助の充実も必要であると考えます。以前から,京都府では,府指定文化財への消火器の設置に関して補助の対象となっておりましたが,京都市では,市指定文化財への消火器の設置に関して補助の対象外となっております。来年度予算案では,5年間,消火器の設置を含む防災対策において補助を拡充しておりますが,今回の新たなガイドライン制定を機に,京都市でも消火器の設置を含め,防災対策の補助を今後も継続的に行っていくべきと考えますがいかがでしょうか。 また,文化庁は,このガイドラインの中でスプリンクラーの設置を勧める通知を出しております。調査によれば,全国の重要文化財の施設でスプリンクラーを設置しているのは,4,543件のうちのわずか66件。全体の1.5パーセントにも満たない数です。なぜここまで設置率が低いのか。それは,費用面の問題もありますが,スプリンクラーは配水管を建物内部に張り巡らすため,文化財自体を傷つけてしまうリスクがあることや,機器の誤作動により,万が一,火災が起きていないのに作動すれば,貴重な文化財が水によって損害を受ける恐れがあるからです。しかし,ノートルダム大聖堂,首里城は共にスプリンクラーの設備がなかったため,ここまでの被害になってしまったことも事実であります。 日本で初めて世界文化遺産に登録された国宝姫路城では,計1,078個のスプリンクラーが設置されています。また名古屋市においても,首里城の火災を受け,防火対策のため,昨年完成した名古屋城本丸御殿と木造復元を目指す新天守閣に,それぞれスプリンクラーを設置する方針を発表いたしました。京都市にも,世界遺産であり国宝でもある二条城がございます。姫路城では当初反対の声もあったそうですが,一度消失してしまったら取り返しがつかないとして設置に踏み切ったといいます。名古屋城でも,人命と同時に建造物などの文化財を守る観点も重要だと考え,今回設置の方針に踏み切りました。もちろん元の姿を残すことは大切ですが,初期消火装置として効果のあるスプリンクラーの存在は重要です。文化庁が移転してくる京都においては,文化財の防火対策はほかの都市の指針となるべきだと考えますし,一定の態度を示すべき時期だと思います。二条城においてスプリンクラーに関して現在どういったお考えをお持ちでしょうか。また,スプリンクラーだけでなく,放火などの防犯にも効果のある監視カメラの増設による監視強化などの設備の一層の充実も必要であると考えますが,どういう対策を考えておられるでしょうか,お答えください。 以上で私の質問を終わります。皆様,御清聴誠にありがとうございました。(拍手) ○議長(山本恵一) 門川市長。 〔門川市長登壇〕 ◎市長(門川大作) 神谷修平議員の御質問にお答えいたします。 文化財の防災対策についてでございます。ノートルダム大聖堂及び首里城の火災を目の当たりにして,文化財の防災対策の重要性を改めて痛感いたしました。私自身が先頭に立ち,直ちに世界遺産をはじめとする文化財建造物に対し緊急の防火指導を行ったところであります。国においても緊急調査を実施し,国指定文化財の防火対策を重点的に進める防火対策5箇年計画を昨年12月に策定されたところであり,本市としても,これに基づいて自動火災報知設備の改修など,防火設備の整備が進められるよう所有者と連携を緊密にしてまいります。なお,市指定文化財につきましては,国の調査の対象とはなっておりませんが,自動火災報知設備等の設置状況につきましては,本市の日常の指導管理業務の中で確実に把握しております。防火対策を更に万全なものとするために,来年度予算案におきまして,初期消火に有効な自動火災報知設備の設置・更新に対する補助率を新設の場合は3分の2から5分の4までかさ上げするとともに,消火器の設置等についても新たな補助対象にする予算案をお願いしているところであります。既に補助制度のある防犯カメラ等と合わせまして,まずは今後5箇年で集中的に取組を進めてまいります。 また,二条城へのスプリンクラーの設置についてでございますが,議員御紹介の姫路城は,消防車が容易に近づけないことや上層階からの避難通路を確保する必要があることから,スプリンクラーが設置されていますが,このような事情がなければ国宝である木造建造物の本体を傷つけ,また衝撃などでの誤作動により障壁画等を破損する危険性を考慮して設置しないとの考え方が,現時点までの我が国における文化財保護の一般的な形でありました。現在二条城においては,消火栓や放水銃をはじめとする防火設備に加えまして,防災・防犯カメラについても,城内一円に配置しております。今後更に万全を期すために,文化庁等とも連携協議しながら防災対策の一層の強化に努めてまいります。 以下,関係理事者が御答弁申し上げます。 ○議長(山本恵一) 村上副市長。 〔村上副市長登壇〕 ◎副市長(村上圭子) 避難行動要支援者名簿の活用についてでございます。避難行動要支援者名簿については,要配慮者の安否確認のために使用する名簿として,災害時に避難所運営協議会に提供することとしております。また,平常時の活用については,災害時の迅速な対応にもつながる日常の取組として,守秘義務のある民生委員や地域包括支援センターに避難行動要支援者等の名簿を提供するとともに,同意が得られた方については,学区の社会福祉協議会等にも提供し,地域における日頃の見守り活動に活用いただいているところです。平常時からの名簿の提供については,市民の皆様の生命や生活を守るうえで有効であると認識しておりますが,一方で,個人情報保護の観点から慎重な検討が必要であります。一部の都市では,条例に基づき事前提供を拒否した方以外の名簿を協定を結んだ団体等に提供する方式を採用しているところもあり,こうした事例も参考にしつつ,引き続き名簿の活用の在り方を検討してまいります。 次に,福祉避難所についてでございます。福祉避難所の開設に当たっては,施設の被災状況や職員の参集状況の確認,福祉避難所へ移っていただく方の選定と施設との調整を行う必要があるため,まずは,一般の避難所に避難していただくこととしております。福祉避難所に直接避難する仕組みの構築については,移送手段や移送支援者の確保等,実施に当たっての課題も多いことから,慎重に検討を進めてまいります。また,現在の福祉避難所の受入可能な人数については8,481人であり,大規模災害時における重度の要配慮者の想定避難者数約4,000人分は確保しているところですが,大規模災害が発生したときには,開設が困難な施設も想定されることから,引き続き拡充に取り組んでまいります。以上でございます。 ○議長(山本恵一) 森元危機管理監。 〔森元危機管理監登壇〕 ◎危機管理監(森元正純) 指定避難所についてでございます。本市におきましては,これまでから,地震等の大規模災害時に,市民の生活や情報の拠点となる避難所について小・中学校などの公共施設を中心に指定を行ってまいりました。災害時の教室等は,大規模災害発生後,学校教育活動を再開する際に必要となる重要な場所ですが,障害のある方,妊産婦などの要配慮者の避難スペースとしての活用等,教育委員会と密に連携のうえ,災害の状況に応じた活用をすることとしております。この間,耐震性を持つ施設も増加してきており,引き続き各区役所・支所と連携し,公共施設・民間施設にかかわらず避難所の指定拡充に努めてまいります。 次に,災害用トイレについては,平成26年3月に策定した京都市備蓄計画に掲げる整備目標を平成30年度末までに達成しております。計画策定後の熊本地震等の大災害や国の避難所におけるトイレの確保・管理ガイドラインを踏まえ,昨年3月に避難者100人当たり1基から,50人当たり1基の整備に目標を引き上げております。令和5年度末までに整備を進めてまいります。また,各区での災害用トイレの保管についても,既に避難所運営資機材として全避難所に配備している簡易トイレ及び凝固剤に加え,貯留式仮設トイレ等の区役所・支所や避難所への備蓄を一層推進してまいります。今後もこれらの目標をできるだけ早期に達成できるよう,関係局と連携して,大規模災害への備えについてより万全なものとなるよう取組を進めてまいります。以上でございます。 ○議長(山本恵一) 三宅保健福祉局長。 〔三宅保健福祉局長登壇〕 ◎保健福祉局長(三宅英知) ペット同行避難についてでございます。本市では,ペットを飼っている方もそうでない方も,適切な避難行動ができるよう,地域防災計画に避難所におけるペット受入体制の整備を掲げ,各避難所における運営マニュアルに位置付けていただく取組を進めております。平成28年度から延べ100回以上,本市の総合防災訓練をはじめ,各区,各学区における防災訓練等において,ペットの同行避難訓練や避難所設営の実演を行うなど,市民理解を得るための先進的な取組を実施しております。また,飼い主自らえさや水を備蓄しておき,避難所での生活にも対応できるようしつけに取り組むなど,普段から十分な備えを行っていただく必要があります。このため,動物愛護センターにおいて,飼い主向けのペットの防災講座を開催するとともに,今年度は,総合防災訓練や民間企業との合同イベントにおいて,ペットの防災に取り組むNPO法人の協力も得て,ペットの車中泊の実演という新たな取組も行っております。これらの取組により,ペットを飼っている方もそうでない方も,相互に理解を深め,避難所におけるペットの受入体制の整備をより一層着実に進めていくことで,人と動物が共生できる潤いある豊かなまちの実現に努めてまいります。以上でございます。 ○議長(山本恵一) これをもって質疑を終結いたします。 平山たかお議員。 ◆(平山たかお議員) 議事進行について動議を提出いたします。 ただ今議題となっております議第1号から議第17号,議第19号,議第20号,議第22号から議第26号,議第29号から議第37号,議第42号,議第290号から議第293号,議第296号,議第297号,議第303号から議第312号,議第314号及び議第316号から議第320号の56件については,現在設置されております予算特別委員会に付託のうえ,慎重審議願いたいと思います。 (「賛成」と呼ぶ者あり) ○議長(山本恵一) ただ今,平山たかお議員から動議が提出され,動議は成立いたしております。 お諮りいたします。ただ今の平山議員の動議のとおり決することに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○議長(山本恵一) 御異議なしと認めます。よって平山議員の動議のとおり決します。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ○議長(山本恵一) 日程第3ないし日程第16,議第18号京都市浄化槽保守点検業者の登録に関する条例の一部を改正する条例の制定について,ほか13件,以上14件を一括議題といたします。 2月20日の議事を継続いたします。 本案はただ今お手元に配付してあります議案付託表のとおり,所管の常任委員会に付託いたします。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ○議長(山本恵一) 日程第17,請願審査結果についてを議題といたします。 委員会報告書は配付いたしておきました。 これより表決を採ります。本件は,教育福祉委員会報告書のとおり,1件を採択することに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○議長(山本恵一) 御異議なしと認めます。よって本件は,教育福祉委員会報告書のとおり決しました。 間もなく午後5時になりますが,あらかじめ会議時間を延長いたします。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ○議長(山本恵一) 日程第18,議第285号ないし議第289号,議第302号,議第313号及び議第315号令和元年度京都市一般会計補正予算,ほか7件,以上8件を一括議題といたします。 予算特別委員長の報告を求めます。予算特別委員長椋田隆知議員。 〔椋田予算特別委員長登壇(拍手)〕 ◆予算特別委員長(椋田隆知) 本委員会に付託されました議第285号令和元年度京都市一般会計補正予算ほか7件につきまして,審査の経過と結果を御報告申し上げます。 当委員会といたしましては,2月20日の本会議で付託を受け,21日に,第1分科会では環境政策局,行財政局,総合企画局,文化市民局及び消防局に対して,第2分科会では保健福祉局,子ども若者はぐくみ局,都市計画局,建設局及び教育委員会に対して,第3分科会では産業観光局に対してそれぞれ質疑を行い,25日に各分科会の報告を受けた次第であります。 今回の補正予算は,政府の安心と成長の未来を拓く総合経済対策による財源等を活用した防災・減災対策及び学校におけるコンピューター学習環境の充実等のほか,新型コロナウイルス感染症対策や,見込みを上回った社会福祉関連経費等の補正などについて,市税収入が予算を上回る一方で,地方交付税等が大幅に減収となったことによる収支不足を補填するため,特別の財源対策である公債償還基金の取崩しを追加で行うほか,国庫支出金及び市債等を財源として,総額114億4,300万円を補正しようとするものであります。 以下,審査の過程において論議されました主な事項について順次申し上げます。 まず,安心と成長の未来を拓く総合経済対策を活用した事業の推進につきましては,道路,橋りょう,河川の防災・減災対策等に関して,本補正予算案を編成するに当たっての防災・減災の観点に対する認識,市民の命と暮らしを守ることは行政に課せられた役割であることを認識し,都市基盤の整備及び防災・減災対策を着実に推進する必要性,新型コロナウイルスの影響により,橋りょうの耐震補強・老朽化修繕に必要な材料が中国から仕入れられず,工事の遅れは避けられない見通しであること及び代替品の値段が高くなることの確認,神奈川県逗子市の斜面崩落の原因究明も踏まえ,優先順位を見直しながら着実に進める必要性,大宮交通公園再整備事業に係る本市負担額の更なる軽減に向けた取組状況,防災・減災の観点からの大宮交通公園の再整備事業に係るPark-PFIのメリット,大宮交通公園の再整備事業において民間事業者の利益が優先され,地元からの要望が軽視されることへの懸念などについて質疑や御意見があったほか,学校施設環境改善に関して,災害時の避難場所として体育館よりも教室を利用する方が費用対効果が高いと考えられることから,教室の避難所機能を充実すべきであるとの指摘などについて質疑や御意見がありました。 また,GIGAスクール構想の実現に関して,構想に基づき全ての子供たちが同じようにスキルアップできる仕組みとなるよう本市の教育環境を整備する必要性,構想の実現に向けた本市の方向性及び決意並びに1校当たりの整備費用,構想の実現のための指導方法の習得が教員の新たな負担につながることへの懸念,構想の実現に向け,校内通信ネットワークが増強されることに伴い増大する通信費等のランニングコストに対する国からの財政措置の有無,校内通信ネットワークの整備内容及び今回の補正予算でネットワーク環境が全て完了するかの確認,令和3年度以降の一人1台のパソコン端末設置に向けた計画の詳細並びに教職員及び児童・生徒のデータ管理や個人情報保護の観点からの対策,多額の市債を発行して国が進める構想の実現に付き合う必要はないとの指摘などについて質疑や御意見があったほか,就職氷河期世代活躍支援事業に関して,事業の対象年齢を明確に定めず幅広く支援の門戸を開く必要性,フリーターや無職の人への支援の有無,就職氷河期世代の抱える様々な個別の事情をしっかりとくみ取り,企業とのマッチングができるスキルを持った相談員を配置する必要性,本事業において成果連動型の業務委託を導入しないことの確認,事業者にとってインセンティブとなる取組の有無,仕事がなく困っている人と担い手不足に悩む事業者とがマッチングできるような取組とする必要性,国,府と連携し,本事業が企業と支援対象者の双方にとって良いものとなるよう取り組む決意,派遣労働を原則自由化した派遣法改正が非正規雇用を増大させたことへの認識と同法の抜本的改正を国に求める必要性,府と市の就労支援窓口の一本化に向けて今後協議を進める必要性などについて質疑や御意見がありました。 このほか,中央市場施設再整備事業,第一市場に関して,中央市場再整備の進捗状況,施設整備費総額600億円の今後の見通しと600億円ありきではなく,場内事業者の負担増とならないよう身の丈に合ったものとする必要性などについて質疑や御意見がありました。 次に,新型コロナウイルス感染症対策につきましては,感染症に対する相談体制の強化等に関して,専用相談窓口への相談件数,社会福祉施設や宿泊施設への注意喚起及び各施設からの相談状況,並びに想定される対策に係る本市からの事前周知の状況,現在までの検査件数及び検査の結果が出るまでに要する時間,府保健環境研究所との共同化以後の検査の実施に係る府との役割分担,市立病院からダイヤモンド・プリンセス号へDMAT派遣を行った際の現場の指揮系統及び安全対策等の事前確認の状況並びに医療従事者の安全確保及び業務の科学的根拠を本市としてしっかり把握する必要性,大型イベントの開催に係る現在の対応を方針転換する際のポイント,中国からの物品納入の遅れなど中小企業にも影響が生じていることを踏まえて,市民が安心できるよう迅速に対応する必要性,本市行政機関で感染が生じると行政サービスに大きな支障を来すことから,保健福祉局が陣頭指揮をとり周知を図るなど,市職員の予防に努める必要性などについて質疑や御意見があったほか,融資制度預託金,新型コロナウイルス対応緊急資金に関して,補正予算額を10億円とする根拠,新型コロナウイルス感染症による市内経済への影響とその期間の見通し,融資を必要とする事業者に融資が実行されるよう審査を金融機関任せにすることなく本市が関与する必要性,本市職員が事業者の所へ足を運び現場の生の声を聴く必要性,迅速な融資実行に向けて柔軟な対応を金融機関に求める考え,新型コロナウイルス感染症の状況等により当該融資制度の期間延長などを検討する考えなどについて質疑や御意見がありました。 次に,社会福祉関連経費の過不足調整などにつきましては,京都市住吉山墓地における墳墓の改葬誤りによる損害賠償に関して,誤改葬が発覚した経緯及び対応状況,本事案以外に改葬誤りがないことの確認及び再発防止に向けてしっかりと台帳管理を行うとともに,地図データと墓地台帳管理システムの一体的な管理を速やかに実施する必要性などについて質疑や御意見があったほか,職員退職手当に関して,職員退職手当に係る予算現額の内訳,定年等以外の退職者における退職理由などについて質疑や御意見がありました。 そのほか,生活保護扶助費に係る減額補正の要因が受給者数の減少か,医療費の減少によるものかの確認,障害者の施設利用の待機状況に対する認識及び待機者に係る緊急度合いの把握状況,低所得者層の世帯が増え続けていることから,国民健康保険料の更なる引下げに努めるとともに,国の負担割合の引上げについて強く要望する必要性などについて質疑や御意見がありました。 次に,繰越明許費補正につきましては,大型汎用コンピューターのオープン化の推進に関して,一括処理システム及びオンラインシステムの開発内容,新福祉系システムの稼働時期を変更しなければならないと認識した時期,前回の事業者と契約解除に至った経過を踏まえた教訓がいかされたかの確認,稼働時期変更に伴う追加経費の額及び追加経費が掛かることに対する認識,新福祉系システムに係る一括処理システムの開発で生じている不具合の収束に向けた取組状況,工程管理支援事業者との協議の際に,システムに精通した本市の専門職員が出席し,相互理解に不安がない状況下でやり取りがされていたかの確認,本市における大型汎用コンピューターのオープン化が,他都市と比較して特殊で難しいものであるかの確認,二度にわたって遅延している大型汎用コンピューターのオープン化に向けて市総体で取り組む必要性,大型汎用コンピューターのオープン化に向けて早急に体制を整え,今後の見通しを議会に報告する必要性,新福祉系システムの稼働時期の変更に伴い追加経費が掛かることを真摯に受け止めるだけでなく,これ以上経費が掛からないよう体制を強化したうえで,しっかりとやり切る必要性,発注者としての本市の意思が伝わるような仕組みを作る必要性及び事業者との協議方法や情報共有について今後見直す考えなどについて質疑や御意見がありました。 また,東北部クリーンセンター大規模改修工事に関して,建築及び建築設備工事の設計業務に係る一般競争入札における令和2年度の応札見込み及び元年度に応札が不成立になった理由である人手不足の原因,1号炉及び2号炉が停止している期間にしかできない工事があることを踏まえ,タイミングを逃さずに取り組む必要性などについて質疑や御意見があったほか,地籍調査事業に関して,これまでの地籍調査事業における課題及び上京区出水学区における事業完了の見通し,上京区出水学区における地籍調査の進捗状況及び地権者との日程調整などの課題を乗り越え,完了に向けて取り組む必要性などについて質疑や御意見がありました。 また,公共施設ブロック塀安全対策に関して,公共施設におけるブロック塀の撤去及びフェンス等の再設置の状況並びに遅延の理由,公共施設におけるブロック塀安全対策に係る完了時期の見通し及び早急に対応する必要性,早期の改修が必要であることを説明し,協力を求めて進める必要性などについて質疑や御意見があったほか,北消防署移転整備に関して,工事の進捗状況及び関係局と連携し,大宮交通公園の再整備と一体的に進める必要性,現在の北消防署の跡地活用計画などについて質疑や御意見がありました。 そのほか,京都市京セラ美術館付属棟,桜水館整備に当たり,周辺の飲食店を利用することにより経済の好循環創出につなげるためにも,元々の計画どおり付属棟をレストランではなく市民展示スペースにすべきとの指摘,たけびしスタジアム京都第1種公認継続に向けた改修工事における毎年利用している競技団体もある中での工期設定に対する考え方,横大路運動公園において対策が必要となった危険木の状況,京都市プレミアム付商品券を活用した消費喚起・生活支援対策事業実施後の効果検証の必要性,林業用施設災害復旧事業における工事実施箇所付近や復旧箇所で崩落が発生した原因と施工内容の問題点の有無,工事費の高騰に伴う保育園の経営状況及び保育に影響が及ばないようしっかりとチェックする必要性,児童の移動経路における交通安全対策事業の完了時期の見通し並びに電柱幕の設置箇所の優先順位の考え方及び関係機関との連携の必要性,交流促進・まちづくりプラザ整備工事における第3期工事期間中の安全対策,大規模地震に備えた市営住宅入居者の住替えの実施に当たって,入居者の事情にも配慮する必要性,市民及び観光客が安全に歩行できる東大路通の環境整備の実現に向けた今後の方向性,橋りょう工事における繰越しが多く発生している理由及び国,府との連携を密にしてスケジュール感を持って取り組む必要性,自転車走行スペースが途中で分断されることなく安心して走行できる環境の確保に向けて工夫する必要性,本市の財政状況を踏まえて,予算を鴨川東岸線第三工区整備事業ではなく市民の暮らしに直接関係する事業に振り分ける必要性,土地取得特別会計先行取得用地の買戻しにおける未買収用地に係る交渉の状況及び地域内の人間関係等にも配慮して取り組む必要性などについて質疑や御意見があったほか,今回の補正予算全般に関して,国の補正予算が計上されたからこそ,市債を発行してでも進めるべき必要不可欠な事業だけが計上されていることの確認,災害等の緊急対応時に必要な財政調整基金が令和2年度当初はゼロから始まることへの不安及び本市の厳しい財政状況を踏まえ,一つ一つの事業を厳しく精査する必要性,本市の厳しい財政状況を踏まえて財政当局として事業を精査し,各局と連携したチェック体制を構築する必要性などについて質疑や御意見がありました。 概略,以上のような審査の後,更に各会派等において御検討いただき,その結果を26日の委員会で御発表いただきましたところ,次のとおりでありました。すなわち,自民党,公明党,民主・市民フォーラム,日本維新の会,京都党の各議員団及び無所属の委員は,いずれも原案に賛成する。そのうえで,自民党議員団は,議第285号に1個の警告を付す。共産党議員団は,議第288号及び315号に反対し,その他の議案については,いずれも原案に賛成するとのことでありました。そこで直ちに表決を採りましたところ,ただ今お手元に配付してあります委員会報告書のとおり,議第288号及び315号については多数をもって,残余の議案6件については全会一致をもって,いずれも原案のとおり可決すべきものと決定した次第であります。 引き続きまして,議案に対する警告の調整を行いました結果,議第285号に1個の警告を付すことに決定した次第であります。 以下,議案に対する警告を申し上げます。 議第285号令和元年度京都市一般会計補正予算に対する警告 今回提案された補正予算の内,「大型汎用コンピュータオープン化事業」の繰越明許費については,福祉系システムが当初稼働予定であった令和2年1月に間に合わないことが原因であると説明された。 本事業は,平成26年の現行システム分析に始まり,平成28年1月にはオープン化に係る業務システムが発注された。その後,受託事業者による一括処理システム開発に係る遅延の原因が本市と見解の相違が見られ,第三者による検討委員会が開かれた結果,受託事業者との契約を解消し,新たな事業者に発注することになった。 議会としては,平成29年3月24日の付帯決議では,猛省のうえ事業の推進に当たること。平成29年12月8日の付帯決議では,3年間の開発延期,17億円の市民負担増を指摘するとともに,更なる猛省のうえ,市民負担増や計画の遅延がないよう指摘し,進捗状況の議会への報告を求めた。しかしながら,昨年末の委員会において初めて福祉系システムの遅延が報告されるなど,付帯決議の内容が守られていないことが分かった。 また,現在においても福祉系システム稼働の日程が示せないなど,市民理解を得るには程遠い内容である。 稼働日が示されない中での,補正予算を提案することは遺憾である。よって本市会は,理事者に三度猛省を促すとともに,早急に体制を整え,課題への対応策を見極めたうえで,責任の所在を明確にし,十分な総括を行い,市民に理解が得られる内容を議会に速やかに報告することを求める。 以上,本市会は強く警告するものである。以上であります。 これをもちまして委員長報告を終わります。(拍手) ○議長(山本恵一) これより討論を行います。 発言の通告がありますので,これを許します。吉井あきら議員。 〔吉井あきら議員登壇(拍手)〕 ◆(吉井あきら議員) 自由民主党京都市会議員団を代表し,議第285号及び議第313号令和元年度京都市一般会計補正予算案に対し賛成討論を行います。 今回の補正予算では,市民の暮らしの安心を保障するため,道路,橋りょう,河川の防災・減災対策や災害発生時に避難所となる学校施設改善など,安心と成長の未来を拓く総合経済対策を活用した事業の推進が図られることとなっております。そして,今,世界的に大きな影響を及ぼしている新型コロナウイルス感染症に対しては,去る1月31日には市会を代表して山本議長から門川市長に対し,市民の不安を解消するとともに,市民,観光客の命と健康,安心・安全を守るため,迅速かつ適切に対応するよう,5項目の申入れを行ったところでありますが,府市連携の下,相談体制の強化や患者発生に備えた医療等に要する経費を計上し,加えて経営面で影響を受ける中小企業・地域企業向けの緊急資金融資制度の創設を行うなど,今回の補正予算により比較的早い対応がなされており,今後とも確実な対応と制度運用を求めるものであります。 一方,補正予算のうち,大型汎用コンピュータオープン化事業の繰越明許費については,新福祉系システムの開発が稼働予定であった令和2年1月に間に合わなかったため提案されたものでありますが,本事業は,平成26年の現行システム分析に始まり,平成28年1月にはオープン化に係る業務システムが発注され,その後,受託事業者による一括処理システム開発に係る遅延の原因が,本市と同事業者との間で見解の相違が見られ,第三者による検討委員会が開かれた結果,受託事業者との契約を解消し,新たな事業者に発注することとなったものであります。この間,議会といたしましては,平成29年3月24日の付帯決議では,猛省のうえ事業の推進に当たることを求め,さらに平成29年12月8日の付帯決議では,3年間の開発延期及び,17億円の市民負担増を指摘するとともに,更なる猛省のうえ,市民負担増や計画の遅延がないよう指摘し,進捗状況を議会へ報告するよう求めました。 しかしながら,昨年末の総務消防委員会において,初めて福祉系システムの遅延が報告されるなど議会軽視であり,過去二度の付帯決議の内容が守られていないことが明らかになりました。本事業費の総額は,令和元年度の予算編成において,既に約98億1,000万円と莫大な経費が見込まれていましたが,今回の新福祉系システムの稼働時期の遅れにより,追加経費が発生し,現時点では約99億2,000万円が見込まれております。また,現在においても福祉系システムの稼働日程が示せないなど,市民の理解を得るには程遠い状況であり,今回,補正予算を提案されることは誠に遺憾であります。よって我々は,市長をはじめ理事者に三度の猛省を促すとともに,早急に体制を整え,課題への対応策を見極めたうえで,この重要かつ多額の経費を要する事業の責任の所在を明らかにして十分な総括を行い,市民の理解が得られる内容を議会に速やかに報告することを求めます。 以上,議第285号については,我が会派の提案の下,全会派の賛同を得て,強く警告を付すものであり,市においてはこの警告を重く受け止め,実行されることを強く求め賛成討論といたします。ありがとうございました。(拍手) ○議長(山本恵一) 次に,とがし豊議員に発言を許します。とがし議員。 〔とがし豊議員登壇(拍手)〕 ◆(とがし豊議員) 日本共産党市会議員団は,議第285号,2019年度2月補正予算案について賛成の態度を表明しておりますので,その理由を述べます。 今回の補正予算案では,国の補正予算を活用し,道路・橋りょう・河川の防災・減災対策や災害時に避難所となる学校施設の環境改善を主としており,賛成します。各学校施設の環境改善,賀茂大橋・松尾橋などの耐震補強・老朽化修繕,国道162号に面する斜面などの防災対策,七瀬川などの河川整備,桃山駅前広場などバリアフリー工事などについては速やかに行うように求めます。就職氷河期世代活躍支援事業についても,切実な課題です。質疑の中で,京都市として対象になる世代へのアンケート・実態調査を考えているのかただしたところ,京都府・京都市・労働局・経済団体との連携の中で,今年4月以降に都道府県ごとのプラットフォームを作れとなっているので,その中で議論・検討される,実態の把握はしっかりやるとの答弁があったことは評価できます。以上のような理由から,予算案全体としては賛成でありますが,改善すべき点があることから,以下,4点について指摘をします。 第一に,GIGAスクール構想のための構内LAN敷設のために24億円の予算を組んでいる点です。この構想の背景にある経済産業省の提言では,同じ教室にいても端末を使って一人一人が異なる教科や単元を学ぶ個別最適化された学びを目指すべき方向とし,小中学生にパソコン一人1台環境を作るとしています。確かに,教育現場にICT環境の整備や,個々の子供たちに合った学習をきちんと保障することは大切ですが,やはり教育においては共同の学びが必要です。個性豊かな子供たちが集団で学び合ってこそ,考えが深まり,豊かな学習が保障できます。GIGAスクール構想が不登校対策になるなどとの答弁もありましたが,学校に来ることができない子供に電子端末だけ渡して何とかなるというのは全くの幻想であると言わざるを得ません。今,教育現場に必要とされているのは,一人一人の子供たちに寄り添って学びを保障するために,教員やスクールカウンセラーなどを増やすなど,現場の体制の抜本的な拡充です。 第二に,大宮交通公園の再整備事業について,Park-PFI手法を採用している点です。事業の主体が,京都市ではなく民間企業となるため,その事業者の利益と住民の要望が天秤に掛けられてしまいます。大宮交通公園にゴーカートを継続してほしいという要望が通らないのも,事業者の利益を確保できるかどうかという点が判断基準になっているからであります。さらに,地元中小企業に工事が発注されるのかとただしたところ,民民契約だから市の直接の関与は難しいとの答弁でした。住民の声を反映させるためにも,地域経済活性化に最大限寄与する公共事業にするためにも,PFI手法を改め,京都市が事業主体となって地元企業に分離分割発注すべきです。 第三に,鴨川東岸線第三工区について2億800万円の予算を組んでいる点です。答弁では,総事業費は約70億円とのことです。渋滞解消のためとのことですが,公共交通の充実などで車の総量を減らす対策こそ必要です。財政が厳しいと言っているのですから,この事業は中止して,暮らしを応援する予算に転換することを求めます。 第四に,繰越明許費補正の中に,京都市美術館再整備に関わり旧事務棟をレストランに再整備する予算,地域リハビリテーション推進センター,こころの健康増進センター,児童福祉センターを一体化整備する予算が含まれている点です。京都市美術館・旧事務棟は多目的スペースとして市民展示スペースとしても活用可能な施設にされる予定でしたが,途中からレストラン計画とされました。本来の計画に立ち返るべきです。 以上4点の問題点を指摘したうえで,賛成討論とします。ありがとうございました。(拍手) ○議長(山本恵一) 次に,大津裕太議員に発言を許します。大津議員。 〔大津裕太議員登壇(拍手)〕
    ◆(大津裕太議員) 地域政党京都党市会議員団は,議第285号から289号及び議第313号令和元年度一般会計補正予算ほか5件に賛成の立場を表明しており,討論を行います。 本補正予算では,新型コロナウイルス感染症対策,就職氷河期世代の活躍支援,道路,橋りょう,河川の防災・減災対策など,極めて重要な施策への予算が計上されております。特に,新型コロナウイルス感染症対策は,急速な感染拡大防止には,まさにこの1~2週間が瀬戸際と言われております。補正予算に計上されている相談体制の強化及び経済対策の迅速な執行はもちろん,情報収集並びに市民への適切な情報提供,国や府,医療機関との適切な連携など,でき得る限りの対策を積極的に行っていただきたいと思います。 就職氷河期世代の活躍支援は,3年間で集中的に取り組み,国全体で約30万人の正規雇用の就労実現を目指しております。これまでのやり方の延長では,国の打ち出す規模感の成果を出すことは困難です。本市は,企業の啓発を中心に取り組むということですので,ぜひ多くの求人を就職氷河期世代の方に選択していただけるよう知恵を絞っていただくことを期待します。道路,橋りょう,河川の防災・減災対策では,国の予算をうまく活用したハード整備が多く計上されております。本市は厳しい財政状況の下ですので,門川市長の強みである国や府との連携を引き続き最大限生かしていただき,本市の負担を抑えながら市民の安心安全のための整備をお願いいたします。 一方で,今回の補正予算の財源に関して,大変憂慮するものがございます。財政調整基金は枯渇し,公債償還基金の取崩しは予算で計上した枠を22億円も超えて追加計上されております。主要因は,地方交付税の減額補正でございますが,仮にこれがなくても1億6,000万円の財源不足が発生しております。基本的に,補正予算は都度必要なものが計上されていると理解しておりますが,財源は有限です。次年度以降,特別の財源対策が予算より拡大するような運用にならないよう,今まで以上に必要性を厳しく精査しなければなりません。 また,地方交付税の減額補正も夏頃には大方分かっていたという答弁がございました。そうであれば,その時点で議会への報告が必要だったのではないでしょうか。大幅な財源不足が発生することが分かっているのとそうでないのでは,議論の前提も変わってまいります。議会への適切な情報提供を適時行っていただくことを求めたいと思います。 以上で賛成討論を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手) ○議長(山本恵一) 次に,くらた共子議員に発言を許します。くらた議員。 〔くらた共子議員登壇(拍手)〕 ◆(くらた共子議員) 日本共産党議員団は,新型コロナウイルス感染症対策費10億2,000万円を補正する予算案に賛成の態度を表明しています。私は,議員団を代表し討論を行います。 今回の補正は,新型コロナウイルス感染症に対する相談体制を強化し,感染者の中で入院治療を必要とする方の医療費と,京都市内事業者等への経済的影響への緊急的対策,新型コロナウイルス対応緊急資金融資制度の預託金を計上するものです。いずれも必要な事業であると考えます。そのうえで幾つかの点を指摘します。 審議の中で,京都市の相談体制の強化について,保健福祉局健康安全課において夜間二人体制で24時間の緊急相談窓口対応を行っているが,相談内容の傾向が一定化してきたことなどから,相談窓口業務を民間事業者に委託し,担当職員が帰国者・接触者相談センター業務に専念できる体制を作ろうとするものであること,医療費については,検査の結果,新型コロナウイルス感染が判明し,かつ治療が必要な方の入院医療費として一人当たり40万円,10人分の入院医療費を見込んでいるとの説明でありました。 また,検査の実施については,民間の医療機関から検査の申請が出された場合には100パーセント検査すること,検体の運搬については,各区役所の衛生コーナーの職員を含む医療衛生センターの職員が検体を採取した民間医療機関等を回り,衛生環境研究所に運ぶとのことでした。しかし,全国的に日々,感染者数が更新されている状況から,無症状の感染者数は更に拡大していることが想定されています。市民が身近なところで速やかに検査が受けられる体制と医療保障は急務であります。そこで,関西広域連合関係の資料によりますと,京都市衛生環境研究所が1日に検査できる検体数は10検体,京都府保健環境研究所は20検体であります。感染症指定医療機関の病床数は京都市立病院が7床,これを含む京都府内の全ての感染症病床は38床です。これでは余りにも少なすぎます。したがって,国に対して財政措置の拡充と国家的危機管理の対策費として機動的な財政出動を求めること,自治体病院としての京都市立病院の役割が発揮できるよう京都市が責任を果たすことを求めます。 経済対策については,融資制度の預託金で10億円を補正し,市内事業者の売上げ減・原材料費高騰に対応するものです。感染症対策である外国人の入国規制や,国内,市中における人の移動,催し物の自主的な縮小等は必要であるものの,地域経済への影響は看過できません。本予算も組み込み継続的な対策を採ることは重要であります。党議員団は対策本部を設置し各地の調査を行っていますが,昨年10月の消費税10パーセント増税のダメージに重ねてのダブルパンチ。商品の仕込を他国に依存しておれば,その分コスト高で厳しい等の声があります。既存の温泉旅館経営者などからは,相次ぐ宿泊予約キャンセルの影響は大きいとの切実な実態があります。こうした市内事業者にとって,融資は待たれる制度ですが,保証料補填と利子補給などを行っている他自治体の取組もありますから,京都市でもこうした施策を実施すべきです。京都市経済の主体である中小企業の経営支援を緊急事態にふさわしい水準に引き上げる必要があることを申し述べます。昨日の本会議では,これまでの融資制度に加え,新たに国の保障制度を組み入れたより低利で設備資金も含めた使いやすい融資制度を創設していくとの答弁がありました。このことの早急な具体化を強く求めておきます。 この度の新型コロナウイルス感染症への対応を通じて,公衆衛生の土台を再構築することの重要性を再認識します。このこと抜きに経済を安定化させ,発展を望むことはできないのではないでしょうか。政府は2月26日に,今後2週間の全国規模の文化・スポーツイベントの開催延期及び中止等について,また27日に,3月2日から春休みに入るまで,小中学校,高校,特別支援学校の休校を要請しましたが,そうなると保育園や幼稚園の対応,ひとり親及び共働き家庭など,保護者などが仕事を休めない場合の,一人一人の子供の安全確保対策が必要となります。また,仕事を休んだ場合の企業と本人への経済的補償も必要です。さらに休校中の子供たちの学習の在り方などについての不安なき対応を求めたいと思います。 最後に,公衆衛生の要となる保健所については各行政区に復活することが必要であることを申し述べまして,私の討論といたします。御清聴ありがとうございました。(拍手) ○議長(山本恵一) これをもって討論を終結いたします。 これより,表決を採ります。まず,議第288号及び議第315号を一括表決に付します。 本案は,委員長報告のとおり,原案のとおり可決することに賛成の方の起立を求めます。 〔賛成者起立〕 ○議長(山本恵一) 多数であります。よって,本案は,原案のとおり可決されました。 次に,残余の議案6件を一括表決に付します。 本案は,委員長報告のとおり,原案のとおり可決することに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○議長(山本恵一) 御異議なしと認めます。よって本案は,原案のとおり可決されました。 次に,ただ今議決いたしました議案に対する警告についてお諮りいたします。本件は,委員長報告のとおり,議第285号に1個の警告を付すことに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○議長(山本恵一) 御異議なしと認めます。よって,委員長報告のとおり決します。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ○議長(山本恵一) 本日は,これをもって散会いたします。 〔午後5時21分散会〕~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~          議長    山本恵一          副議長   青野仁志          署名議員  田中たかのり          同     ほり信子 △(イメージ)請願文書表「受理番号665」「学費・奨学金の負担軽減と若者の生活・雇用改善」・請願文書表「受理番号666から690まで」「夏季歳末特別生活資金貸付制度の廃止の撤回」 △(イメージ)請願文書表「受理番号666から690まで」「夏季歳末特別生活資金貸付制度の廃止の撤回」 △(イメージ)請願文書表「受理番号666から690まで」「夏季歳末特別生活資金貸付制度の廃止の撤回」・請願文書表「受理番号691」「国民健康保険料の引下げ等」 △(イメージ)請願文書表「受理番号692」「全員制の中学校給食の実施」・請願文書表「受理番号693」「教育条例の改善」 △(イメージ)請願文書表「受理番号694」「京都市計量検査所跡の活用」・陳情文書表「受理番号34」「簡易宿所における防災対策の強化」 △(イメージ)陳情文書表「受理番号35」「小規模宿泊施設の対策」・陳情文書表「受理番号36」「簡易宿所情報の公開」 △(イメージ)陳情文書表「受理番号37」「簡易宿所に係る事業者と住民との意見調整等」・陳情文書表「受理番号38」「介護保険認定給付業務委託化の中止等」 △(イメージ)陳情文書表「受理番号39」「より良い保育を保障するための改善・充実」・陳情文書表「受理番号40」「西陵小中一貫教育校創設の撤回」 △(イメージ)議案付託表・〈請願〉教育福祉委員会報告 △(イメージ)〈議案〉予算特別委員会報告書...